1 / 1
推してたのはオタクだった
しおりを挟む
『アイドルを推してたつもりだった』
──一般人による、尊死の記録。
最初は、ただの“箱推し”だった。
アイドルグループ〈LUCENT〉。
センターの如月天くんは、ビジュも、歌も、ダンスも完璧で、「スパダリ系王子」ってキャラ付けされてたけど──
ほんとは、ちょっと天然で、可愛くて、たまにヘラってるとこが、たまらなかった。
インタビューで「好きなタイプは……俺を振り回さない人」とか言ってたのに、
リアルではめちゃくちゃ他人に振り回されてそうな、あのギャップ。
そんな彼のファンでいられるだけで幸せだった。
……あの日までは。
⸻
「今日、人気配信者の海月さんとコラボします!俺がずっと推してた方です……やばいです……ほんとに無理……」
このポストを見た瞬間、ざわめいた。
天くんが推してた配信者……? 海月って、あの声で殺す系ストリーマー? めちゃ有名な。
「すごい、でも大丈夫? 推し、崩れ落ちない?」
って半分冗談だったのに、始まったコラボ配信の天くんは、
マジで崩れ落ちてた。
⸻
「え、え、え……!? マジで喋ってるんですか? 本物? え、声がやばい……尊死……」
「大丈夫? 深呼吸しようか」
「は、はい……(泣)」
──かわいい。
いや、推しが配信で泣くな。
でも、オタクとしては、これ……勝手に親近感……。
そのうち、海月さんの声が落ち着いてて、
すごくやさしくて、天くんが振り回してもちゃんと拾ってくれてて──
なんかもう、相性が……良すぎて……。
⸻
コラボ配信が終わったあと、X(旧Twitter)で話題になったのは“如月天のガチオタっぷり”だった。
でも私のタイムラインは、なぜか“このふたり、やばくない?”という声で埋まっていった。
その後の流れは、早かった。
・配信中、如月天が後ろを通り抜けた事件
・「おーい、くらげー、飲み物──あ」って言った声が天くんの地声だった事件
・マイクに拾われた「ちゅ」音事件
これ、全部リアルだよ?
⸻
私、如月天を推してたんです。
ひたすら、彼の努力と姿勢と、ちょっと不器用なところが好きで、
応援してたんです。
なのに──今、画像フォルダには、
・海月さんの低音で「天、カメラ入ってるよ」って言う音声切り抜き
・ふたりで同じマグカップを持った配信サムネ
・「そろそろ、推しから昇格してもいいですか?」の名言スクショ
が、増えていってる。
気づいたら、
「このふたりが幸せでありますように」
って、毎日祈ってる。
⸻
最初はアイドルを推してたのに。
いつの間にか、ふたりを推してた。
片方だけじゃだめで、
どっちかが笑うと、もう片方も嬉しそうで。
そういう空気感ごと、全部ひっくるめて愛おしくて──
今はただ、
「公式になれ!!!!」って心から思ってる。
いやもう、なってるのか?なってるよね?(確信
閑話休題
推しの交際を認めたわけじゃない。
けど、事実があまりに供給過多で、
もはや我々は「応援」という名の巡礼を始めた。
⸻
【事実1】如月天、私服が明らかに海月のシャツ
【事実2】海月、朝の配信で「最近、横に人がいるからうるさくできない」発言
【事実3】ふたりの背景、明らかに同じカーテン(しかも柄が絶版)
【事実4】マグカップが“ペア”なのに、それぞれの配信で片方ずつ登場
【事実5】天くんのライブMC「“推し”って言葉、いいよね。自分が言われるより、言う方が好き」
⸻
──オタクたち、発狂。
《Xのファンたち》
• 推しって言葉……海月さんのことだよね……?(確信)
• カーテンの柄で恋の証明するのバカすぎて最高
• マグカップ、公式グッズ出してください(泣)
• これが……真の“供給過多”……
• 2人を推すって、こんなに幸せなんだね……
⸻
もともとは「如月天が好き」だった。
でも、海月さんと並んだ時の表情のやわらかさを知ってしまった。
推しが、推しのままで笑ってる。
“彼にしか見せない顔”を見てしまった。
──沼だった。
⸻
あの事件以来、ファンの中ではすっかり定着した呼び名がある。
『天月供給(てんくら供給)』
※公式ではない。非公式です。非公式なのに供給されすぎている。
⸻
この前なんて、
天くんの新曲がリリースされた直後、
海月さんが配信でBGMに使ってた(※権利OKのやつ)
リスナーが騒ぐ中、本人は一言。
「良い曲だよね。好きな人が歌ってるからってのもあるけど」
チャット欄が爆散した。
⸻
私たちは知ってる。
匂わせじゃない、あれは愛。
堂々と、堂々と
お互いを見てるその姿に、もう一周まわって清々しさすら感じる。
⸻
最初は、天くんひとりを推してた。
でも今は、
海月さんとふたりで、
並んでいるその姿が、
**私の“推し”**になった。
⸻
お願いです。
どうか、
これからもそのままでいてください。
供給も、愛も、全部受け止めます。
むしろ見せてください。
人生の特等席、オタクが確保してます。
事件はある日、海月の投稿から始まった。
《海月》
こいつ、人のマウスに乗ってきて邪魔してくる……
添付された画像には、
黒ぶち模様の小さな猫が、手元にぴったり張り付いている写真。
それだけならただの癒し投稿だった。
──だが数日後。
如月天のオフショットに、同じ柄の猫がうっすら写り込む。
Xが爆発する。
• 柄一致
• 耳のかたち一致
• キャットタワーの形も一致
• そもそも「猫飼いたい」って言ってたの、どっちも今年の春頃
最終的に、
《Xにて》
たぶん共同親権。
っていうか、もうそれでいい。
それがいい。
──一般人による、尊死の記録。
最初は、ただの“箱推し”だった。
アイドルグループ〈LUCENT〉。
センターの如月天くんは、ビジュも、歌も、ダンスも完璧で、「スパダリ系王子」ってキャラ付けされてたけど──
ほんとは、ちょっと天然で、可愛くて、たまにヘラってるとこが、たまらなかった。
インタビューで「好きなタイプは……俺を振り回さない人」とか言ってたのに、
リアルではめちゃくちゃ他人に振り回されてそうな、あのギャップ。
そんな彼のファンでいられるだけで幸せだった。
……あの日までは。
⸻
「今日、人気配信者の海月さんとコラボします!俺がずっと推してた方です……やばいです……ほんとに無理……」
このポストを見た瞬間、ざわめいた。
天くんが推してた配信者……? 海月って、あの声で殺す系ストリーマー? めちゃ有名な。
「すごい、でも大丈夫? 推し、崩れ落ちない?」
って半分冗談だったのに、始まったコラボ配信の天くんは、
マジで崩れ落ちてた。
⸻
「え、え、え……!? マジで喋ってるんですか? 本物? え、声がやばい……尊死……」
「大丈夫? 深呼吸しようか」
「は、はい……(泣)」
──かわいい。
いや、推しが配信で泣くな。
でも、オタクとしては、これ……勝手に親近感……。
そのうち、海月さんの声が落ち着いてて、
すごくやさしくて、天くんが振り回してもちゃんと拾ってくれてて──
なんかもう、相性が……良すぎて……。
⸻
コラボ配信が終わったあと、X(旧Twitter)で話題になったのは“如月天のガチオタっぷり”だった。
でも私のタイムラインは、なぜか“このふたり、やばくない?”という声で埋まっていった。
その後の流れは、早かった。
・配信中、如月天が後ろを通り抜けた事件
・「おーい、くらげー、飲み物──あ」って言った声が天くんの地声だった事件
・マイクに拾われた「ちゅ」音事件
これ、全部リアルだよ?
⸻
私、如月天を推してたんです。
ひたすら、彼の努力と姿勢と、ちょっと不器用なところが好きで、
応援してたんです。
なのに──今、画像フォルダには、
・海月さんの低音で「天、カメラ入ってるよ」って言う音声切り抜き
・ふたりで同じマグカップを持った配信サムネ
・「そろそろ、推しから昇格してもいいですか?」の名言スクショ
が、増えていってる。
気づいたら、
「このふたりが幸せでありますように」
って、毎日祈ってる。
⸻
最初はアイドルを推してたのに。
いつの間にか、ふたりを推してた。
片方だけじゃだめで、
どっちかが笑うと、もう片方も嬉しそうで。
そういう空気感ごと、全部ひっくるめて愛おしくて──
今はただ、
「公式になれ!!!!」って心から思ってる。
いやもう、なってるのか?なってるよね?(確信
閑話休題
推しの交際を認めたわけじゃない。
けど、事実があまりに供給過多で、
もはや我々は「応援」という名の巡礼を始めた。
⸻
【事実1】如月天、私服が明らかに海月のシャツ
【事実2】海月、朝の配信で「最近、横に人がいるからうるさくできない」発言
【事実3】ふたりの背景、明らかに同じカーテン(しかも柄が絶版)
【事実4】マグカップが“ペア”なのに、それぞれの配信で片方ずつ登場
【事実5】天くんのライブMC「“推し”って言葉、いいよね。自分が言われるより、言う方が好き」
⸻
──オタクたち、発狂。
《Xのファンたち》
• 推しって言葉……海月さんのことだよね……?(確信)
• カーテンの柄で恋の証明するのバカすぎて最高
• マグカップ、公式グッズ出してください(泣)
• これが……真の“供給過多”……
• 2人を推すって、こんなに幸せなんだね……
⸻
もともとは「如月天が好き」だった。
でも、海月さんと並んだ時の表情のやわらかさを知ってしまった。
推しが、推しのままで笑ってる。
“彼にしか見せない顔”を見てしまった。
──沼だった。
⸻
あの事件以来、ファンの中ではすっかり定着した呼び名がある。
『天月供給(てんくら供給)』
※公式ではない。非公式です。非公式なのに供給されすぎている。
⸻
この前なんて、
天くんの新曲がリリースされた直後、
海月さんが配信でBGMに使ってた(※権利OKのやつ)
リスナーが騒ぐ中、本人は一言。
「良い曲だよね。好きな人が歌ってるからってのもあるけど」
チャット欄が爆散した。
⸻
私たちは知ってる。
匂わせじゃない、あれは愛。
堂々と、堂々と
お互いを見てるその姿に、もう一周まわって清々しさすら感じる。
⸻
最初は、天くんひとりを推してた。
でも今は、
海月さんとふたりで、
並んでいるその姿が、
**私の“推し”**になった。
⸻
お願いです。
どうか、
これからもそのままでいてください。
供給も、愛も、全部受け止めます。
むしろ見せてください。
人生の特等席、オタクが確保してます。
事件はある日、海月の投稿から始まった。
《海月》
こいつ、人のマウスに乗ってきて邪魔してくる……
添付された画像には、
黒ぶち模様の小さな猫が、手元にぴったり張り付いている写真。
それだけならただの癒し投稿だった。
──だが数日後。
如月天のオフショットに、同じ柄の猫がうっすら写り込む。
Xが爆発する。
• 柄一致
• 耳のかたち一致
• キャットタワーの形も一致
• そもそも「猫飼いたい」って言ってたの、どっちも今年の春頃
最終的に、
《Xにて》
たぶん共同親権。
っていうか、もうそれでいい。
それがいい。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。
とうふ
BL
題名そのままです。
クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。
囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?
虐げられた令息の第二の人生はスローライフ
りまり
BL
僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。
僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。
だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。
救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。
お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる