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〜"デス"ゲーム、開幕〜
18話 苗字=プレイヤー名
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張り詰めた空気の中、ステータスを表示し魔王の鎧を装備してみて思ったことはたった一つ。
かっけーーーー!
なんだこれ、動きやすさを考慮してか、手足の部分は幾つものごつごつとしたリングのようなものが連なっている。例えるなら蛇骨だろうか。そして胸部は、鎧の輪郭辺りに輝かしい深紅の色が特徴の複雑な紋様が刻み込まれている。
鎧は重いどころか、足が僅かに軽くなったような感覚さえ抱く。これは恐らく装備時の『レベルに応じて身体能力が上昇』という効果の影響だろう。
おっと、いけないいけない。戦闘に集中せねば。
「さあ、延長戦だろ?再開だ」
俺が装備を魔王の鎧に変更した理由。それは単純にこの対面において、魔王のローブよりも効果を発揮すると判断したためだ。
魔王のローブで魔術の威力を上昇させても、どうしても魔術師2人が相手では分が悪い。ならば、身体能力を上昇させマッチョを先に殺ればいいと考えたのだ。
先程間合いを詰めた時に俺が勝っているという感覚はあった。ならば、回復をされる前にHPを削り切るだけだ。まあ、狙いは首ちょんぱで一撃だけど。
「さーてっ、と‼」
軽くジャンプを繰り返し、つま先で地を踏みしめ、思い切り蹴る。
「2度同じことが通じるとでも思ってんのか?」
マッチョは俺の行動に対し薄い笑みを作りながら腰を若干落とし、己の得物を体の前で旋回させ疑似的な盾を作る。スキルでも何でもない、力量による技術だ。相当『脳からの伝達』が上手いのだろう。だが
「んんっ!?」
マッチョが俺のある行動に目を見張ったことで手が止まり、斧による盾が消える。
「あ、さっきの戦術若干パクった。ありがと」
<ラオLv23を撃破しました。102人目のプレイヤーを撃破しました>
正直これで終わらせようとは思っていなかったのだが、撃破出来てしまったものは仕方がない。
マッチョを殺った方法は至って簡単、旋回させている斧に直撃する寸前で急ブレーキをかけ、動揺させることで隙を作り、拡張した剣筋で首を刎ねたのだ。
この方法、実際にくらってみて実感したが、なかなかに侮れない。人間は一つのものに集中していると、それが急激な変化を起こすと一瞬思考が止まる。
変化が起こるまで観察していたが故に、変化後の状態を理解するために脳が一瞬思考をリセットするのだ。それを利用したのがこの動き。
いわゆるフェイントだ。まさか己の技をそのまま返されるとは思わなかったのだろう。あっさりと終わってしまった。
さてさて、ボスマッチョが消えたことだし、雑兵狩りをしますか。
「魔王に撃破されるとどうなるか。知ってるよな?」
「ひっ」
満面の笑みを向けて言うと、既に戦意を失っているのだろう、気の抜けた短い悲鳴だけが返ってくる。
「ふっ」
<松村Lv20,杉野Lv20,シンLv19,ソラLv19の計4名を撃破しました。106人目のプレイヤーを撃破しました。Lvが24にアップしました。スキルポイントを2獲得しました>
っておい松村と杉野って、本当にプレイヤー名だったのかよ!
^
――ッピ、ッピ、ッピ、ッピ
様々な器具が設置された薄暗い怪しい部屋で、満足そうに画面の中を見つめる影が一つ。
――コンコン
「ああ、どうぞ」
「どうだ、調子は」
そんな部屋の扉がノックされ、白衣を纏い無精ひげを生やした中年の男が入ってくる。
「順調ですよ。今回の計画が上手くいけば、現代医学の最先端を行くことになるでしょう」
「ほう、それは楽しみだ」
「そして、その成果を早めるためのシステムが今、完成したところです」
「なるほど。それでは頑張ってくれ」
「はい。おっと、これはどうも」
男は手に持ったマグカップを机に置き立ち去っていく。
「ふふふ。僕はあなたに感謝していますよ。被験体さん」
にんまりと下卑た笑みを浮かべ、ベッドに横になる男を眺める。
「だから、もうちょっと、頑張ってください」
――ピロンッ
『システムコード00539-AREを使用しますか?※一度も使用したことのないシステムです。脳に異常をきたす可能性があります。それでもよろしいですか?』
「ああ、勿論さ。なあ、後藤信也さん?」
『システムコード00539-AREを適用しました』
^
「カイザ様、かっこいい~」
シェストが口に拡声器のように手を当て言う。目が笑ってるぞ、目が。
「茶化さないでくれ。帰るぞ」
「わーったよ。ミスト、来な」
そういうと、深紅の瞳が段々と金色の瞳に変わっていく。
「お待たせ、しました。カイザ様。霧化」
ミストに変わった瞬間、霧化を使い姿を眩ます。正直帰るだけだから使わなくて良かったんだけど……まあいいか。
「それじゃ、い――」
<新たなシステムコードが適用されました。新機能、タイムリミットが設定されました。死へのタイムリミット『730日00時間00分00秒』。カウントダウン、開始>
……は?システムコード?タイムリミット?730日?どういうことだ?俺は、2年以内にプレイヤーを殲滅しないと死ぬってことか?おい、どうなんだよ、教えてくれよ、おい、答えろよ!
「カイザ、様?」
「……はっ、あ、ああ、すまない。少し考え事をしてしまった。行こう」
「畏まりました」
かっけーーーー!
なんだこれ、動きやすさを考慮してか、手足の部分は幾つものごつごつとしたリングのようなものが連なっている。例えるなら蛇骨だろうか。そして胸部は、鎧の輪郭辺りに輝かしい深紅の色が特徴の複雑な紋様が刻み込まれている。
鎧は重いどころか、足が僅かに軽くなったような感覚さえ抱く。これは恐らく装備時の『レベルに応じて身体能力が上昇』という効果の影響だろう。
おっと、いけないいけない。戦闘に集中せねば。
「さあ、延長戦だろ?再開だ」
俺が装備を魔王の鎧に変更した理由。それは単純にこの対面において、魔王のローブよりも効果を発揮すると判断したためだ。
魔王のローブで魔術の威力を上昇させても、どうしても魔術師2人が相手では分が悪い。ならば、身体能力を上昇させマッチョを先に殺ればいいと考えたのだ。
先程間合いを詰めた時に俺が勝っているという感覚はあった。ならば、回復をされる前にHPを削り切るだけだ。まあ、狙いは首ちょんぱで一撃だけど。
「さーてっ、と‼」
軽くジャンプを繰り返し、つま先で地を踏みしめ、思い切り蹴る。
「2度同じことが通じるとでも思ってんのか?」
マッチョは俺の行動に対し薄い笑みを作りながら腰を若干落とし、己の得物を体の前で旋回させ疑似的な盾を作る。スキルでも何でもない、力量による技術だ。相当『脳からの伝達』が上手いのだろう。だが
「んんっ!?」
マッチョが俺のある行動に目を見張ったことで手が止まり、斧による盾が消える。
「あ、さっきの戦術若干パクった。ありがと」
<ラオLv23を撃破しました。102人目のプレイヤーを撃破しました>
正直これで終わらせようとは思っていなかったのだが、撃破出来てしまったものは仕方がない。
マッチョを殺った方法は至って簡単、旋回させている斧に直撃する寸前で急ブレーキをかけ、動揺させることで隙を作り、拡張した剣筋で首を刎ねたのだ。
この方法、実際にくらってみて実感したが、なかなかに侮れない。人間は一つのものに集中していると、それが急激な変化を起こすと一瞬思考が止まる。
変化が起こるまで観察していたが故に、変化後の状態を理解するために脳が一瞬思考をリセットするのだ。それを利用したのがこの動き。
いわゆるフェイントだ。まさか己の技をそのまま返されるとは思わなかったのだろう。あっさりと終わってしまった。
さてさて、ボスマッチョが消えたことだし、雑兵狩りをしますか。
「魔王に撃破されるとどうなるか。知ってるよな?」
「ひっ」
満面の笑みを向けて言うと、既に戦意を失っているのだろう、気の抜けた短い悲鳴だけが返ってくる。
「ふっ」
<松村Lv20,杉野Lv20,シンLv19,ソラLv19の計4名を撃破しました。106人目のプレイヤーを撃破しました。Lvが24にアップしました。スキルポイントを2獲得しました>
っておい松村と杉野って、本当にプレイヤー名だったのかよ!
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――ッピ、ッピ、ッピ、ッピ
様々な器具が設置された薄暗い怪しい部屋で、満足そうに画面の中を見つめる影が一つ。
――コンコン
「ああ、どうぞ」
「どうだ、調子は」
そんな部屋の扉がノックされ、白衣を纏い無精ひげを生やした中年の男が入ってくる。
「順調ですよ。今回の計画が上手くいけば、現代医学の最先端を行くことになるでしょう」
「ほう、それは楽しみだ」
「そして、その成果を早めるためのシステムが今、完成したところです」
「なるほど。それでは頑張ってくれ」
「はい。おっと、これはどうも」
男は手に持ったマグカップを机に置き立ち去っていく。
「ふふふ。僕はあなたに感謝していますよ。被験体さん」
にんまりと下卑た笑みを浮かべ、ベッドに横になる男を眺める。
「だから、もうちょっと、頑張ってください」
――ピロンッ
『システムコード00539-AREを使用しますか?※一度も使用したことのないシステムです。脳に異常をきたす可能性があります。それでもよろしいですか?』
「ああ、勿論さ。なあ、後藤信也さん?」
『システムコード00539-AREを適用しました』
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「カイザ様、かっこいい~」
シェストが口に拡声器のように手を当て言う。目が笑ってるぞ、目が。
「茶化さないでくれ。帰るぞ」
「わーったよ。ミスト、来な」
そういうと、深紅の瞳が段々と金色の瞳に変わっていく。
「お待たせ、しました。カイザ様。霧化」
ミストに変わった瞬間、霧化を使い姿を眩ます。正直帰るだけだから使わなくて良かったんだけど……まあいいか。
「それじゃ、い――」
<新たなシステムコードが適用されました。新機能、タイムリミットが設定されました。死へのタイムリミット『730日00時間00分00秒』。カウントダウン、開始>
……は?システムコード?タイムリミット?730日?どういうことだ?俺は、2年以内にプレイヤーを殲滅しないと死ぬってことか?おい、どうなんだよ、教えてくれよ、おい、答えろよ!
「カイザ、様?」
「……はっ、あ、ああ、すまない。少し考え事をしてしまった。行こう」
「畏まりました」
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