魔の森の鬼人の非日常

暁丸

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鬼人の剣 3

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 ドルトンが手配したアルカレルへの贈り物は、思ったより早く届いた。その頃にはステレも動けるようになり、送っていた先触れからアルカレルの了承の返事を受け取ったドルトンは、早速ステレと共に馬車で出発した。

 前回は只人の店員を随行させたが、既に見知った間柄という事で今回はドルトンとステレの二人だけだ。ドルトンが自ら手綱を取っている。本来なら、婚約者が男性と二人で馬車の旅など避けるべきなのだが、相変わらず(残念な)オーウェンは一向に気していない。まぁ、実際問題ステレと商会は家族のようなものだという面もあるのだが。実を言えば、護衛(一応)であるキリハも同行しようとしたのだが、笑顔のテンゲンに肩をがっちりと掴まれ中庭に連行されたため、二人旅になってしまったのだった。テンゲンは「次に稽古する時には互角の打ち合いができるぐらいに仕上げておきますぞ」などと爽やかな笑顔で言っていた。
 ……テンゲンがそんな事を言い出したのは、同行を断られたからである。
 ステレが会いに行くのが元王都の処刑人で両手剣の名手と聞いたテンゲンは自分も同行しようとしたのだが、オーウェンが必至になって止めたのだ。どうもこの男は自分の地位をかなり軽く考えているらしい。諸侯国最大の豪族の嫡男に共も護衛もつけずに王国内を自由に移動させるなど、官僚は魔銀の胃袋でもなければ耐えられない。王国としては、魔の森での魔人との決闘を黙認しただけでお腹一杯なのだ、これ以上予定外の動きは控えてほしいというのが、偽らざる本音だった。
 その鬱憤がキリハに向いてしまったのだから、とんだとばっちり其の二である。まぁテンゲンは「死なないように手加減はする」とは言っていたから、死ぬことはないだろう。死ぬことは……。
 ……ひょっとすると、再会した時にはキリハも何か違うイキモノになっているかもしれないが。

 ステレは馬車でアルカレルの屋敷に向かったあと、式典のために王都に直行することになっている。

 各地の商会で乗り継いでの急ぎ旅だが、そのせいで前のような揺れない馬車にするわけにも行かなかった。乗りっぱなしのステレは、おかげで尻が痛くてしょうがない。ドルトンに掛け合ったが、やはり価格がネックで中々量産に至らないのが現状のようだった。

 最寄りの支店で一泊し、約束の時間に屋敷に赴くと、わざわざ前回と同じ家令が迎えてくれた。ドルトンは布の包みを家令に渡し、控えの間で待つことしばし…家令の案内で、これも前回と同じ応接の間に入った。ステレが壊したドアはきれいに修復されていた。


 「ふむ…霞は晴れたか……」

 ステレに椅子を勧め対面に座るなり、アルカレルはそう言った。
 記憶を閉じ、どうにもぎくしゃくとぎこちなかった前回とは異なり、ステレの姿からは緊張も力みも消えている。

 「過日はお恥ずかしい姿をお見せしました。ドルトンが謝罪をしたとの事ですが、自分の口で謝罪を申し上げたくまかり越ました」
 「あれは儂に責任がある。気に病むことはない。……むしろ、「良いのか?」と聞きたいくらいだが」
 「母は…先代は、全て覚悟の上で自ら王都に向かったと聞きました。閣下は、役目を果たしただけです」

 母カーラを『先代』と呼び直した事で、アルカレルはステレが自らが現当主であると自覚したのだろう…と察した。

 「わざわざ詫びの品まで貰ったようだ。あの件はこれで終いにしよう」
 「寛大なお言葉に感謝いたします」

 アルカレルの手元には、家令が取り次いだステレからの贈り物があった。それは磨き上げられた樫の木の杖だった。
 隠居したアルカレルは、もう重い剣を佩こうとは思わなかった。それでも人生の大半を剣と共に過ごした男である。手ぶらで歩くのはどうにもしっくり来ない。だから、足が萎えた訳でもないのに、杖を持ち歩いていた。ドルトンはそれに気づいて贈り物に選んだのだろう。
 杖は、木目を活かすために着色せず磨き上げてある。変わっているのは、石突きが無いことだ。交換可能な石突きを着けておかなければ、杖はすぐにすり減ってしまうだろうに…。それに、握りにはこれも磨き上げた杢目の美しいハンドルが付けられているが、ハンドルの真下にはむしろここを握れとばかりに革が巻かれている。杖本体も、普通に使う杖に比べたらやや太めに仕上げられていた。言うなれば、まるで木剣を杖にしたような作りだった。
 アルカレルは、革の巻かれた部分を握ると、まさに剣のように片手で振ってみた。特に見た目以上の重さも感じないから、護身用の杖のように金属の芯が仕込まれている訳でもないらしい、散歩に持ち歩くには丁度良い重さだ。飛び抜けて高価とも思えない作りだが、やはりこの形には意味が込められていると思うべきだろう…。

 「これは…木剣を模した杖か?」
 「はい。私の住む森で取れる魔力を帯びた樫の木で作りました」

 アルカレルが片眉を上げた。まさか魔法の品だとは思わなかった。

 「魔力?ただの樫の杖ではないと?」

 ドルトンは、加工の際の難易度やかかる時間を調べるために、魔法の樫でいくつかの品を試作させていた。この杖もその一つである。だから加工に手間がかかる代物なのに手早く用意できたのだ。そして実際に作ってみれば、見た目と裏腹にかなり剣呑な武器になることが判った。表に出すには憚られるが、だからこそアルカレルへの贈り物にする価値があった。

 「よろしいでしょうか?」

 ステレの後ろに立って控えるドルトンが口を開いた。アルカレルは鷹揚に頷く。

 「見た目は樫の杖でしかありませんが、使ってこそ真価が判ります。試しに振ってみてはいかがでしょう?」
 「ふむ」

 ドルトンがそう勧めると、アルカレルは興味を覚えたようだった。家宰に何事か命じると、しばらくして家宰は古びた兜と上着をかけるハンガーを持ってきた。そしてハンガーのてっぺんに布を巻くと、兜をかぶせる。ちょうど兵士の頭の位置と同じになった。普通の杖なら荷の重い強度だが、魔法の品ならこれくらいの的が適当だろう。

 席を立ったアルカレルは杖を両手で持つとゆっくりと右側頭部に構える。ステレも立ち上がり、邪魔にならぬよう下がるとじっとアルカレルの動きを見つめる。

 「ちぇいッ!」

 歳を感じさせぬ気合と共に杖が振られ、兜は『パカンッ』という甲高い音ともに弾んで落ちた。家宰が取り上げてみれば、鋼の兜の真向の左右に杖のめり込んだ跡が残っていた。とても木製の杖とは思えない、戦槌で殴られたのと変わらぬ威力だ。これを人が受けていたら、良くても昏倒、当たり所が悪ければ頭蓋を砕かれているだろう。

 「これは驚いた。兜を打っても傷一つつかぬとは…」

 杖を改めたアルカレルが驚きの声を上げる。磨き上げられた木の肌に毛ほどの傷すらついていない。

 「鋼鉄並みの強度がありながら、重さや肌触りは木とかわりません。しかも木材特有の粘りもあります」
 「なるほど、これなら石突きは要らぬ訳だ。…ふむ、これなら年寄りの腕に具合が良い。ありがたく受け取ろう」

 さほど財に執着の無いアルカレルが、珍しく喜色を見せて言った。その様子にステレとドルトンは胸をなでおろす。
 それにしても驚くべきは、アルカレルの技だった。打撃音はほとんど一つになっていた。しかも手首の返しだけで打ち込んだのではない。それでは鋼の兜がここまで凹む訳が無かった。瞬時の切り替えしの二段打ちである。体力は衰えても、技の冴えにいささかの衰えも無い。



 「さて、隠居した老人にわざわざこのような杖を送るという事は、謝罪の品というだけでなくまだこの老人に期待しているという事だろうか?」

 杖を傍らに椅子に掛け直したアルカレルがそう切り出した。

 「はい、剣の教えをいただきたいと思う気持ちに変りはありません。……未だ泣くことができていない身ですが」

 ステレが恐縮したように言う。アルカレルには、『母のために泣けるようになってから出直せ』と言われているが、自分にはもう悲しみの涙を流すのは不可能だとさえ思っている。

 「……聞くところによれば、女で初の騎士になるとか?」

 しばらく思案していたアルカレルがそう聞いてきた。叙爵(正確には昇爵だが)の話は既に伝わっているらしい。

 「はい」
 「儂も古い人間故な、女が人を殺す仕事に就くのはどうかと思わぬでも無かった……」
 「もう散々殺しています。騎士以前に私は鬼ですので」

 アルカレルの指摘をステレは平然と受け流した。殺したくて殺した訳ではないし、殺す騎士にはなりたく無かった。だが、もう今更の話だ。

 「では、儂の剣をどう使う?また殺すために使うのか?」
 「私が人であるために、ただ殺し合いを愉しむのではなく、剣を極めることを目標にしました。魔人と戦うのはその手段にすぎません。私が死ぬのか、それとも殺す事になるのかは…判りません。生死はその道の向こうにあるのでしょう」

 アルカレルは黙ってうなずく。

 「ならば……よかろう」

 あっさりとそう言う。
 つまるところ、覚悟の問題なのだ。いかに取り繕っても、剣の技は人を殺す技に他ならない。それでも、それだからこそ、自分の過去すら思い出せないステレには、剣を教える事などできるはずもなかった。何をしでかすか判らない奴に剣を教えるのは、ガランドで懲りた。だが今のステレは、きちんと生死と向き合っている。
 鋼の刃が指三本分動くだけで人の生死が変わる。その重さを知る者になら剣を教えられるだろう。

 「それに、隠居した騎士が現役貴族に逆らえる訳もなしな」

 アルカレルが意地悪そうにそう付け加えた。

 「は?いえ…、そんなつもりは…」

 あたふたと慌てるステレを見て、アルカレルはくつくつと笑った。この反応を見れば、ステレの心が安定しているのは間違いないだろう。

 「とはいえ、そなたはもう一廉の剣士だから、儂が教えるのは儂の剣の要点に過ぎない。それをどう活かすかはそなた次第という事になる」
 「それでよろしいのでしょうか?」

 師事する場合、普通は自分の技を捨て一から学び直す事を求められるものだ。だがアルカレルは剣を受け継ぐのではなく、自分の剣技の肥やしにしろと言っているのだ。

 「なに、儂の技は流儀がある訳でもない。儂が試して一番よいと思ったものを集めたにすぎぬ。そなたもそうすれば良い」

 ステレは無言でうなずいた。自分も同じように、我流から始まり、家臣から、同僚から、少しずつ学び改良して行ったのだから。

 「式典の日取りを考えれば、これから教示という訳にも行くまいが…」
 「はい、今日はご挨拶のみのつもりです。式典が終わればこちらに伺い、来年の雪解けまでは時間が取れるかと」
 「判った。だが、そんなに時間は要るまい。地力に関しては申し分ない。細かい点を修正して、後は立ち合いの稽古を続けるだけでよかろう。ふむ、まずは癖の修正だけでもしておくか……」
 「この場でですか?」
 「大層な魔法の品まで貰ってしまったからな、しっかり働かんと借りを返す前に儂の寿命が尽きかねん」

 そう言って笑うと、アルカレルは机の脇に立ててあった普段使いの杖を、前回のようにステレに渡した。構えて振れということだろう。
 ステレが一度剣を振ると、アルカレルはもう一度構えさえた。そして握りの位置、肘の位置などを修正していく。そこからまた剣を振らせ、今度は終わりの位置を修正する。

 「腕だけで振るのではない、胸と背と腰を使う事で速度と威力が上がる」
 「はい」
 「次に会うまでに今の型を身に着けておけ。続きはそれからとしよう」
 「ありがとうございます」

 ステレは杖を恭しく返すと、しばらくは無言で遠い目をしていた。脳内で自分の動きを何度も確かめているらしい。そして、剣を握ったかのように、両手を右のこめかみに掲げて腕の高さや角度を確かめる。


 と、応接の間のドアがノックされた。来客中はよほどの急用でも無ければ取り次がないのが礼儀だ。不審顔の家令がドアを半開きにして言葉を交わすと、やがて部屋を出て行った。

 しばらくして部屋に戻った家令は、アルカレルに何事かを耳打ちした。瞬時にアルカレルの表情が厳しいものになる。

 「ドルトンの商会の店員が急用と言って駆け込んで来たそうだ」
 「それは…大変ご無礼を」
 「いや、そなたに身の危険が迫っておるという事だ」
 「なん…ですと…」
 「ホールで待たせておる、行くが良い」
 「ありがとうございます。これにて失礼」

 ドルトンは一礼するとホールに向かう。ステレもアルカレルに礼をして後を追った。今や商会の店員は自分の家族のようなものだ。ましてやドルトンの危機なら自分ができる事をしなければならない。それが荒事ならなおさらだ。

 屋敷のホールでは、マントで顔を隠した獣人の男が、細長い包みを抱えてうずくまっていた。かなり疲労しているようだった。

 「ニトリか。いったいどうしたというのだ?」

 ドルトンが駆けつけると、店員は身を起こして跪いた。

 「会長、申し訳ございません。商会が襲撃される恐れがあったため、剣を持って脱出しました」
 「なに?!」
 「夜に紛れて振り切ろうとしましたがダメでした。やむなく、奪われるよりは会長にお届けしようと。申し訳ございません、敵は…かなりの手練れです」
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