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第三章
信じた証
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「えええ…」
しんと静まり返った室内。眠りから目覚めた三澄が時計を確認して最初に出たのは驚きと呆れが入り混じった声。
時刻は夕方の4時。いくら疲れが溜まっていたとは言え、他人の家でこんな時間までぐっすり寝てしまうなんて、自分で自分が信じられなかった。
辺りをキョロキョロ見渡すが、当然ながら、間宮の姿は既にない。
テーブルの上には部屋の鍵とメモが置かれている。メモには、部屋を自由に使って良いという旨と、出かける時はこの鍵を使えと指示がしてあった。ご丁寧に、自宅近くには行くなよと注意書きまで。
「なんで俺なんかのこと信用してんのさ」
間宮が置いていった鍵を見つめながら、ぽつりと呟く。
「お金とか盗んじゃうかもしれないよ。何簡単に信じて……」
ベッドで眠っていいと言ったのは間宮だが、それでもせいぜい仮眠程度で、大学に行く前には起こされると思っていたのだ。
間宮は三澄がお金に困っていることを知っている。それなのにまさか、家主がいない部屋にそのまま寝かせておくとは考えなかった。
それは、ゆっくり寝かせておいてあげようという間宮の優しさと、間宮が三澄のことを信じたという証でもあった。それがすごく嬉しくて。誰に見られるでもないけれど、三澄は赤く染まった顔を両手で覆った。
「ああ、もうどうしよう」
三澄の中にほのかに芽生えた感情。絶対にこの気持ちは間宮に気付かれるわけにはいかない。自分はそんなこと口にできる立場ではないのだからーー。
しんと静まり返った室内。眠りから目覚めた三澄が時計を確認して最初に出たのは驚きと呆れが入り混じった声。
時刻は夕方の4時。いくら疲れが溜まっていたとは言え、他人の家でこんな時間までぐっすり寝てしまうなんて、自分で自分が信じられなかった。
辺りをキョロキョロ見渡すが、当然ながら、間宮の姿は既にない。
テーブルの上には部屋の鍵とメモが置かれている。メモには、部屋を自由に使って良いという旨と、出かける時はこの鍵を使えと指示がしてあった。ご丁寧に、自宅近くには行くなよと注意書きまで。
「なんで俺なんかのこと信用してんのさ」
間宮が置いていった鍵を見つめながら、ぽつりと呟く。
「お金とか盗んじゃうかもしれないよ。何簡単に信じて……」
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「ああ、もうどうしよう」
三澄の中にほのかに芽生えた感情。絶対にこの気持ちは間宮に気付かれるわけにはいかない。自分はそんなこと口にできる立場ではないのだからーー。
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