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第11話 邪神
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「お久しぶりです。カール王子。それに聖女エリス」
供の者を連れたって、王子とエリスが姿を現す。
2人の姿を1年ぶり――結婚式を覗き見て以来――だ。
並んで歩く二人の姿を見て少し胸が痛んだが、私は気取られない様平静を装う。
「久しぶりだね。行方知れずになったと聞いて、心配していたんだよ」
「ご心配をおかけして申し訳ありません」
私は深々と頭を下げる。
あのタイミングで出奔した以上、優しいカール王子はきっと自分のせいだと心を痛めた筈。
我ながら軽率な行動をしたと反省する。
「やれやれ。態々我々を呼び出して、無駄な手間を掛けさせてくれる」
王子の背後から大司教が姿を現し、これ見よがしに溜息を吐く。
彼らには聖女の儀を再度執り行うために此処――神殿へと足を運んで貰っている。
祭儀を執り行った大司教からすれば、神官長の主張――儀式の時点で聖杯が偽物であったなどと言う話は言いがかりに等しい物だ。
その為彼は明かに不機嫌な表情で此方を睨みつけ。
隠そうともしなかった。
「司教お手数だとは思いますが、事は千年に一度の、それも人類の命運を左右しかねない事です。どうかお付き合いを」
「人類の命運を憂いているのならば、奪われた聖杯の探索を優先された方がよろしいと思いますがね」
神官長の言葉に大司教は嫌味で返す。
大司教は神事の政を。
神官長は神殿関係の管理を任される立場であり、二人は立場上、ツートップと言う形になる。
「勿論其方も急務で進めさせて頂いております」
大司教はフンと鼻を鳴らし、顔を背けた。
普段は穏やかな人なのだが、神官長が相手になるとこの人は態度が悪くなる傾向にある。
昔神官長にプロポーズをして、素気無く振られたというのはきっと本当の事なのだろう。
「神官長様……やはり私では聖女など務まらなかったと言う事でしょうか?」
それまで口をつぐんでいたエリスが口を開いた。
自身が聖女にも拘らず、もう一度儀を執うとなれば心中穏やかでは無いだろう。
彼女の表情は暗い。
「そうではありません。事が事だけに、我々は万全を期さなくてはならないのです。ですから、どうかご協力ください。聖女エリス」
「はい……」
神官長様の考えが正しく。
本当にエリスが聖女でなかった場合、低位貴族の彼女は苦しい立場になるだろう。
聖女であったから、次期国王たる王子と結ばれる事が出来たのだから。
自分がもし聖女だったなら、王子と改めて結婚できるかもしれないという思いと。
そうなった場合、彼女が苦しむ事になるかもしれないとが混ざり合い、私も心中複雑な気分だ。
「では向かいましょう」
そう言うと、祭儀上の奥にある小さな扉へと神官長は向かう。
その扉の奥に地下へと続く道があり、その先にあるユミルの泉を使えば聖杯無しでも聖女を確認する事が出来るそうだ。
泉の水は穢れの無い清らかなものだ。
そこに不浄の者――神に選ばれた聖女以外が手を付ければ、ユミルの泉は黒く濁るそうだ。
そこで今の聖女が正しいのかどうかを確認する。
暫く地下へと続く階段を下って行くと、大きな空間へと飛び出した。
そこは辺り一面光の粒が舞い踊り、幻想的な光景を醸し出す。
そしてその空間の中央には、薄っすらと青く輝く泉が湧き出していた。
「綺麗」
「本当だね」
思わず呟いた言葉に、カール王子も頷く。
彼と目が合う。
王子の瞳はあの頃から変わらない。
その優しく温かい眼差しで私をじっと見つめる。
やっぱり王子が好きだ。
大好き。
エリスには悪いが、聖女は私であって欲しいと心から願う。
「さあ、まずはベルベットから」
神官長は泉の淵に立ち。
まずは私から行うように指示してくる。
「はい……」
私は言われるまま、泉の前に立ち。
その清浄な青き輝きを放つ輝きへと手を付け――
「危ない!」
「え!?」
誰かに押され、頭から泉に突っ込んでしまう。
思いっきり水を飲んでしまい。
私の中を泉の水が満たす。
でも――苦しくない。
それどころか穏やかな気分になる。
なんて心地の言い……
其の儘目を瞑り、私は泉の中にゆっくりと沈んでいく。
このまま眠りにつきたい。
そんな誘惑を、突然頭の中に流れ込んできた映像がかき乱す。
「っ!?」
それは王子が怪我をして倒れている姿。
その前には、刃を手にしたエリスが立っていた。
何故そんな状況に?
そう考えるよりも早く体が動き、私は泉から飛び出した。
泉の淵では、頭の中に流れた映像と全く同じ状況。
いや、それだけじゃない。
神官長と大司教の2人も、体から血を流し倒れていた。
一瞬もしやと考えたが、どうやら全員命は無事の様だ。
「エリス!あなた!」
「ああ、悪いが動かないで貰おうか」
野太い、不快な声。
高く可愛らしい普段のエリスからは考えられないその声は、まるで別人の物だ。
彼女は笑いながら、手にした剣を王子の首元に当てる。
「貴方は一体……」
彼女の体から何か黒い靄が立ち上り、正常なこの場の空気を穢していくのが分かる。
人の姿をしてはいるが、それは明かに人外の何かだった。
「私か?私の名はfhsydlkb」
彼女は名を名乗るが、上手く聞き取れなかった。
恐らくはこの世にあってはならない不浄の名。
その為、本能体に私の意識がブロックしたに違いない。
「聞き取れなかったか?まあ人間にとっては禁忌に当たる名だから仕方がないな。分かりやすく一言で言うなら――君達が邪神と呼ぶ存在だ」
「邪神……そんな訳が」
エリスの形をしたそれは、自らを邪神と名乗る。
だが邪神は封印されている筈。
此処にいる訳がない。
「ご推察の通り、本体はまだ封印されている。これは、お前達の封印の儀を妨害する為に生み出した分身だ」
「じゃあ、貴方が聖杯を?」
「ああ、偽の聖杯で上手く聖女になりすまし。さらには適当な儀式をそれっぽく演出して本体を復活させる予定だったんだが、まさか再度聖女の儀を行なおうとするとはな。全く困った奴らだ。大人しくしていれば、後何年かは生きていられただろうに」
エリス――いや、邪神の手にした剣の切っ先が王子の喉元に押し当てられ、そこから一筋の血が流れ落ちる。
「さあ王子を救いたければ自害しろ。それとも王子を見捨てるか?」
邪神はそう告げると、楽し気に笑う。
こいつは私の気持ちを知って、それを利用するつもりだ。
「世界と王子の命を引き換えには……」
何方にせよ、邪神が復活すれば王子も命を落とす事になる。
王子の命を優先する合理的な理由はなかった。
けど……体が動かない。
何が正しいかは分かっている。
分かってはいるけど、体が……心がそれを拒絶する。
「お前が死んでも、仮初の封印の儀は行われるだろう。それで100年位は封印を維持できるはずだ。少なくとも、王子が天寿を全うする時間位は残される」
邪神は私の葛藤を見抜いたかの様に、言葉を続ける。
「どちらにせよ聖杯は処分した。王子を見捨てて儀を執り行った所で、次の1000年後はない。遅かれ早かれ滅びる運命だ。ならば愛する王子だけでも救ってはどうだ?」
その言葉が私の心を更に揺さぶる。
私は邪神を打つための準備をしてきた。
蘇った邪神に勝つ自信はある。
だがそれは、王子と共に生きる為……
彼が死んでしまっては、戦う意味すら失われる。
「少しばかりの未来か、それとも王子か。さあ、早く選べ。私はそこまで気の長い方では無いぞ?」
「私は……」
「僕の……事はいい。世界を……守ってくれ」
「王子!」
意識を取り戻した王子は、苦しげに呻く。
「ふん、人質は黙っていろ」
「がっ……」
邪神がカールの頭部を蹴り飛ばす。
その衝撃で、王子は再び意識を失ってしまう。
「そうそう、いい事を教えてやろう。王子はお前に操を立てて、私には手出ししていないぞ。国の為に私と一緒になったが、愛するお前を裏切る事は出来ないと言っていたな。お前はそんな義理堅い男を見捨てる様な薄情な女なのか?」
王子が……私の事を……
こんな状況だっていうのに、王子が私の事を思っていてくれた事が嬉しくて嬉しくてしょうがない。
私は覚悟を決めて、髪留めを外す。
手にしたそれは、魔法の杖へと姿を変える。
アーティファクトの力を集約した魔法の杖へと。
「貴様!?」
「いいわ、死んで上げる!けど……それは貴方を封印した後よ!」
カール王子はこんな私を愛してくれた。
その彼が、世界を救えと私に言ったんだ。
私は、愛する人のその期待に応えなくてはならない。
邪神の分身を討ち。
聖杯を見つけ出し、次の千年先に未来を託す。
そしたら……私も直ぐに貴方の元へと向かいますね。
少しだけ待っていてください。
カール王子。
「馬鹿が!」
邪神が王子の首目掛けて、無慈悲にその刃を振り下ろす。
だけど私はその現実から目を逸らさない。
それが私の選んだ選択なのだから。
どれ程辛くとも、受け入れる。
邪神の振るった剣は、私の目の前で王子の首を――
供の者を連れたって、王子とエリスが姿を現す。
2人の姿を1年ぶり――結婚式を覗き見て以来――だ。
並んで歩く二人の姿を見て少し胸が痛んだが、私は気取られない様平静を装う。
「久しぶりだね。行方知れずになったと聞いて、心配していたんだよ」
「ご心配をおかけして申し訳ありません」
私は深々と頭を下げる。
あのタイミングで出奔した以上、優しいカール王子はきっと自分のせいだと心を痛めた筈。
我ながら軽率な行動をしたと反省する。
「やれやれ。態々我々を呼び出して、無駄な手間を掛けさせてくれる」
王子の背後から大司教が姿を現し、これ見よがしに溜息を吐く。
彼らには聖女の儀を再度執り行うために此処――神殿へと足を運んで貰っている。
祭儀を執り行った大司教からすれば、神官長の主張――儀式の時点で聖杯が偽物であったなどと言う話は言いがかりに等しい物だ。
その為彼は明かに不機嫌な表情で此方を睨みつけ。
隠そうともしなかった。
「司教お手数だとは思いますが、事は千年に一度の、それも人類の命運を左右しかねない事です。どうかお付き合いを」
「人類の命運を憂いているのならば、奪われた聖杯の探索を優先された方がよろしいと思いますがね」
神官長の言葉に大司教は嫌味で返す。
大司教は神事の政を。
神官長は神殿関係の管理を任される立場であり、二人は立場上、ツートップと言う形になる。
「勿論其方も急務で進めさせて頂いております」
大司教はフンと鼻を鳴らし、顔を背けた。
普段は穏やかな人なのだが、神官長が相手になるとこの人は態度が悪くなる傾向にある。
昔神官長にプロポーズをして、素気無く振られたというのはきっと本当の事なのだろう。
「神官長様……やはり私では聖女など務まらなかったと言う事でしょうか?」
それまで口をつぐんでいたエリスが口を開いた。
自身が聖女にも拘らず、もう一度儀を執うとなれば心中穏やかでは無いだろう。
彼女の表情は暗い。
「そうではありません。事が事だけに、我々は万全を期さなくてはならないのです。ですから、どうかご協力ください。聖女エリス」
「はい……」
神官長様の考えが正しく。
本当にエリスが聖女でなかった場合、低位貴族の彼女は苦しい立場になるだろう。
聖女であったから、次期国王たる王子と結ばれる事が出来たのだから。
自分がもし聖女だったなら、王子と改めて結婚できるかもしれないという思いと。
そうなった場合、彼女が苦しむ事になるかもしれないとが混ざり合い、私も心中複雑な気分だ。
「では向かいましょう」
そう言うと、祭儀上の奥にある小さな扉へと神官長は向かう。
その扉の奥に地下へと続く道があり、その先にあるユミルの泉を使えば聖杯無しでも聖女を確認する事が出来るそうだ。
泉の水は穢れの無い清らかなものだ。
そこに不浄の者――神に選ばれた聖女以外が手を付ければ、ユミルの泉は黒く濁るそうだ。
そこで今の聖女が正しいのかどうかを確認する。
暫く地下へと続く階段を下って行くと、大きな空間へと飛び出した。
そこは辺り一面光の粒が舞い踊り、幻想的な光景を醸し出す。
そしてその空間の中央には、薄っすらと青く輝く泉が湧き出していた。
「綺麗」
「本当だね」
思わず呟いた言葉に、カール王子も頷く。
彼と目が合う。
王子の瞳はあの頃から変わらない。
その優しく温かい眼差しで私をじっと見つめる。
やっぱり王子が好きだ。
大好き。
エリスには悪いが、聖女は私であって欲しいと心から願う。
「さあ、まずはベルベットから」
神官長は泉の淵に立ち。
まずは私から行うように指示してくる。
「はい……」
私は言われるまま、泉の前に立ち。
その清浄な青き輝きを放つ輝きへと手を付け――
「危ない!」
「え!?」
誰かに押され、頭から泉に突っ込んでしまう。
思いっきり水を飲んでしまい。
私の中を泉の水が満たす。
でも――苦しくない。
それどころか穏やかな気分になる。
なんて心地の言い……
其の儘目を瞑り、私は泉の中にゆっくりと沈んでいく。
このまま眠りにつきたい。
そんな誘惑を、突然頭の中に流れ込んできた映像がかき乱す。
「っ!?」
それは王子が怪我をして倒れている姿。
その前には、刃を手にしたエリスが立っていた。
何故そんな状況に?
そう考えるよりも早く体が動き、私は泉から飛び出した。
泉の淵では、頭の中に流れた映像と全く同じ状況。
いや、それだけじゃない。
神官長と大司教の2人も、体から血を流し倒れていた。
一瞬もしやと考えたが、どうやら全員命は無事の様だ。
「エリス!あなた!」
「ああ、悪いが動かないで貰おうか」
野太い、不快な声。
高く可愛らしい普段のエリスからは考えられないその声は、まるで別人の物だ。
彼女は笑いながら、手にした剣を王子の首元に当てる。
「貴方は一体……」
彼女の体から何か黒い靄が立ち上り、正常なこの場の空気を穢していくのが分かる。
人の姿をしてはいるが、それは明かに人外の何かだった。
「私か?私の名はfhsydlkb」
彼女は名を名乗るが、上手く聞き取れなかった。
恐らくはこの世にあってはならない不浄の名。
その為、本能体に私の意識がブロックしたに違いない。
「聞き取れなかったか?まあ人間にとっては禁忌に当たる名だから仕方がないな。分かりやすく一言で言うなら――君達が邪神と呼ぶ存在だ」
「邪神……そんな訳が」
エリスの形をしたそれは、自らを邪神と名乗る。
だが邪神は封印されている筈。
此処にいる訳がない。
「ご推察の通り、本体はまだ封印されている。これは、お前達の封印の儀を妨害する為に生み出した分身だ」
「じゃあ、貴方が聖杯を?」
「ああ、偽の聖杯で上手く聖女になりすまし。さらには適当な儀式をそれっぽく演出して本体を復活させる予定だったんだが、まさか再度聖女の儀を行なおうとするとはな。全く困った奴らだ。大人しくしていれば、後何年かは生きていられただろうに」
エリス――いや、邪神の手にした剣の切っ先が王子の喉元に押し当てられ、そこから一筋の血が流れ落ちる。
「さあ王子を救いたければ自害しろ。それとも王子を見捨てるか?」
邪神はそう告げると、楽し気に笑う。
こいつは私の気持ちを知って、それを利用するつもりだ。
「世界と王子の命を引き換えには……」
何方にせよ、邪神が復活すれば王子も命を落とす事になる。
王子の命を優先する合理的な理由はなかった。
けど……体が動かない。
何が正しいかは分かっている。
分かってはいるけど、体が……心がそれを拒絶する。
「お前が死んでも、仮初の封印の儀は行われるだろう。それで100年位は封印を維持できるはずだ。少なくとも、王子が天寿を全うする時間位は残される」
邪神は私の葛藤を見抜いたかの様に、言葉を続ける。
「どちらにせよ聖杯は処分した。王子を見捨てて儀を執り行った所で、次の1000年後はない。遅かれ早かれ滅びる運命だ。ならば愛する王子だけでも救ってはどうだ?」
その言葉が私の心を更に揺さぶる。
私は邪神を打つための準備をしてきた。
蘇った邪神に勝つ自信はある。
だがそれは、王子と共に生きる為……
彼が死んでしまっては、戦う意味すら失われる。
「少しばかりの未来か、それとも王子か。さあ、早く選べ。私はそこまで気の長い方では無いぞ?」
「私は……」
「僕の……事はいい。世界を……守ってくれ」
「王子!」
意識を取り戻した王子は、苦しげに呻く。
「ふん、人質は黙っていろ」
「がっ……」
邪神がカールの頭部を蹴り飛ばす。
その衝撃で、王子は再び意識を失ってしまう。
「そうそう、いい事を教えてやろう。王子はお前に操を立てて、私には手出ししていないぞ。国の為に私と一緒になったが、愛するお前を裏切る事は出来ないと言っていたな。お前はそんな義理堅い男を見捨てる様な薄情な女なのか?」
王子が……私の事を……
こんな状況だっていうのに、王子が私の事を思っていてくれた事が嬉しくて嬉しくてしょうがない。
私は覚悟を決めて、髪留めを外す。
手にしたそれは、魔法の杖へと姿を変える。
アーティファクトの力を集約した魔法の杖へと。
「貴様!?」
「いいわ、死んで上げる!けど……それは貴方を封印した後よ!」
カール王子はこんな私を愛してくれた。
その彼が、世界を救えと私に言ったんだ。
私は、愛する人のその期待に応えなくてはならない。
邪神の分身を討ち。
聖杯を見つけ出し、次の千年先に未来を託す。
そしたら……私も直ぐに貴方の元へと向かいますね。
少しだけ待っていてください。
カール王子。
「馬鹿が!」
邪神が王子の首目掛けて、無慈悲にその刃を振り下ろす。
だけど私はその現実から目を逸らさない。
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