メアリー・ストーン少女の『異世界宝石紀行』

時空 まほろ

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メアリー・ストーン少女と少年の出会い

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その小さな街に、一軒のジュエリーショップがあった。
『ジュエリーショップしずく』がそうだった。
可愛らしい洋風の外見の店から、チリンと鈴が鳴ってドアが開いた。
「……はーい、母さん。わかっています。掃除は今のうちに済ませておきますって!」
一人の少年が手に箒と塵取りを持って現れた。
店の中から、母親らしき声がし少年は幾度かやり取りをした後、店の前の歩道の掃除を始める。
が、しばらくすると……。
「はぁー、何だって日曜日の朝から俺が掃除しなきゃならないんだ! やってられない! ったく!」
……先程の穏やかな丁寧な言葉遣いの面影はどこへやら、一気に言葉遣いが悪い少年となった。
しかし、店の前を通った近所の花屋のお姉さんには、にこやかな笑顔をサッと作り挨拶をした。
石也せきや君今日もお手伝い流石ねー」
「いえいえ、これくらいしなくては」
……要は、裏表のギャップが激しいタイプ、みたいだ。
そんな裏表が激しい少年ことあずま石也は多感な年頃の十六歳の高校一年生である。
ジュエリーショップ雫の一人息子で母親はシングルマザーだった。
当然、宝石等について詳しく、大好きなはず……だが当の本人は。
「あんなキラキラした物のどこが良いのかちっともわからん。俺は大っ嫌いだね!」
……である。
石也少年がどうして宝石嫌いになったのかは、また語るとして。
そんな少年に災難(僥倖?)が降りかかるまで、あと十五分。

きっかり十五分後―。
石也少年は店の前の掃除を終え、ジュエリーショップに隣接する自宅に裏庭に居た。
母親の趣味で良く整えられた庭には、小さいながら温室も有り、庭にハンモックもあった。
石也少年は勉強と称しつつ、数学の教科書の下に漫画本を隠しつつ惰眠をむさぼっていた。
「はあ、疲れた。ったく母さんも人使いが荒いんだっての。ふあぁ~あ」
大あくびの石也少年の頭上に、ふと影が差した。
「ん?」
さては雨雲か? と思った途端。

どっすん!

「んげっ!」
何かが
「あらあら、今度はお眠なの? 困った子だわ。とにかく着いたわ。……ってあら?」
「退け―! 苦しいー!」
憐れ石也少年の上に落ちてきたのはだった。
少女は、ストンと少年の上から退くと、
「失礼ね、レディに向かって乱暴な言葉遣いは」
と言った。
石也少年はまだ少女が落ちてきた衝撃に目を回していた。

三分後―。
石也少年は表のにこやかな少年の顔で店の中に居た。
母親の雫は「不審者が」と騒ぐ息子に驚いて飛んで来たが少女を見るなり、叫んだ。
「メアリー! メアリーなの⁉」
「ハーイ、雫。久し振りね」
「いつ? いつ来たの?」
「たった今よ。雫、大人になったのね」
母親と会話をするメアリーと呼ばれた少女に石也少年は狐に包まれた感じだった。
心の中では(コイツ、誰だ!?)と思っているが口に出さない。
母親の前では良い子の石也少年だからだ。
「紹介するわ。石也」
母親は言った。
「彼女は、メアリー・ストーンよ」
そしてさらに仰天の一言を言い放った。
、お母さんが七歳の時からのよ」

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感想 3

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みんなの感想(3件)

ヨミエリ
2025.08.15 ヨミエリ

続きを楽しみにしています。

解除
ヨミエリ
2025.08.15 ヨミエリ

「異世界宝石紀行」
ワクワクするフレーズですね!

解除
ヨミエリ
2025.08.15 ヨミエリ

ファンタスティックな冒頭!

解除

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