96 / 317
第7章 東の帝国マコラ編
⑨中心都市の朝
しおりを挟む
昨夜シュウと別れ、中心都市まで立ち寄り簡易宿で部屋を借りた。
異国情緒溢れる東の帝国マコラの都市は、魅力的で活気に溢れているし、人々が嬉々として生活しているような街だった。
提灯の灯りに浮き足立って、夜でも明るく眠らない街だ。
マコラは農作物や海産物が豊富で、食事が本当に美味かった。
生魚や見た事のない料理が多くあるが、どれも美しく盛り付けらて、食欲を唆るものばかりだ。
酒も珍しいものが多くあり、俺は辛口の米の酒が気に入って飲んでいた。
レノは梅酒という、これまた甘い酒を好んで呑んでいたな。
あまり飲ませ過ぎないようにしたつもりが、ふたりとも気がついた時には昨夜の状況だった。
「カイル、おはよう!帰りは同じ道を通るの?あのさ、中心都市の街を見て回りたいな!それで!えっと、みんなにお土産を買いたい。で、珍しい食材とか買って、みんなでBBQしようよ!あ、カイルはどこか行きたい所とかある?あれば行こうよ!」
随分多弁だな・・昨日の夜の事をはぐらかしているつもりか?
話題に触れないようにしているのか?
はぁ・・そんなわけにはいかないだろ?
「レノ、身体は大丈・・んっ!」
「わあー!!カイル!それはいいから!」
レノは慌てて俺の口を抑えて制止する。
俺はその手に自分の手を重ねて、レノの手のひらにキスを落とし、ペロッと舐めた。
「ひ、ひゃあ!」
顔を赤くする。可愛い。
レノの手を握って、肩を押す。俺の体で、小さなレノの体を壁に押し付ける。
「レノ、おはよう」
俺はそう言って、レノの唇にキスをした。
「カ、カイル!もう!」
俺はレノを離して解放する。
レノに誰かがいたとしても、俺は諦めない。
レノが俺を意識してくれるように、俺だけを見てくれるようにすればいい。
可愛い・・抱きしめたい。
好きだ・・閉じ込めておきたい。
「ははっ!顔が真っ赤だな。行くぞ?街だな。土産か・・アイツら何が欲しいかな」
レノを困らせて、意識させて、俺を目で追えばいい。時にはキスをして、抱きしめて、見つめて溶かしたい。
レノは俺の様子を見て、物言いたげにしながら付いてくる。
「まずは朝食にしよう。炊きたての米が食べたい。魚の煮付け?美味いかな・・レノ、どうする?」
「あ、うん・・じゃあ、その魚の煮付けにする」
動揺が激しいな、俺をたくさん意識してくれ。
注意散漫で、通りすがる街人とぶつかりそうになる。俺はすかさずレノの腰を掴んで、胸に閉じ込めて抱く。
「わぁ・・っ!」
柔らかい・・可愛い、離したくない・・
「気をつけろよ?レノ」
「は、はぃ・・」
店が立ち並ぶ一角の、賑わいのある食事処に入ると俺たちは席に着いて食べ始める。
「本当に食事が美味しいね、マコラは豊かな国だよね。だけど、一方ヨシノ村みたいな忘れ去られた場所では、村人たちが苦労しているんだよね・・」
「ああ。それは、マコラだけに言える事じゃないけどな。アンティジェリア王国にも、リティニア王国にもそんな場所が存在するんだ。国の隅々まで豊かにする事が出来ればいいんだけどな」
我がリティニア王国も然りだ。
貧しくて、その日暮らしていく事がやっとの集落があるんだから。
身分制が絶対だと決めつけて着飾る貴族もいれば、平民の底辺の生活すら出来ず、才があっても教育すら受けられずにいるものが存在するんだ。
王族はそれを忘れてはいけない。民の暮らしを目に写して、目を逸らしてはいけないんだ。
「カイル、ヨシノ村にまた担い手が戻って、自活が盛んな村になればいいね。俺、少し・・手伝えて嬉しかったんだ。だけど・・たったひとつの村を救った所で、氷山の一角だ。他にも苦しんでいる人たちがいるんだから、浮かれて恥ずかしくなった・・」
「そんな事はないよ。レノに助けられた村が確かに存在するんだ。手を差し伸べる事が出来る者もそうはいない。これからもできる事をやっていけばいいんだよ」
レノは謙遜しているが、これだけ力量もある。全属性持ちなんて数えるくらいにしかいないというのに。
確か・・アンティジェリア王国の第3王子レオナルド殿下も全属性だったか・・
アンティジェリア王国には、優秀な者が多く存在するんだな。
「そうかな・・」
まつ毛が長い・・瞳がキラキラしている。
こうやって見れば、どう見ても女性だ。なぜ、レノは男装をしているんだ?
口調も話し方も男性的だが、いったい何がしたいんだ?
冒険者にならないといけない理由があったのだろうか・・目的は?
レノはすでに、女性である事を俺が知っていると分かっても何も変わらない。話題に触れてこない。
俺から話を振った方がいいのか?
聞いてみたい・・嫌がるだろうか・・
「レノ・・」
俺が話そうと目を見ると、困った顔をしたレノが目を逸らすから、俺は何も言えなくなってしまった。
異国情緒溢れる東の帝国マコラの都市は、魅力的で活気に溢れているし、人々が嬉々として生活しているような街だった。
提灯の灯りに浮き足立って、夜でも明るく眠らない街だ。
マコラは農作物や海産物が豊富で、食事が本当に美味かった。
生魚や見た事のない料理が多くあるが、どれも美しく盛り付けらて、食欲を唆るものばかりだ。
酒も珍しいものが多くあり、俺は辛口の米の酒が気に入って飲んでいた。
レノは梅酒という、これまた甘い酒を好んで呑んでいたな。
あまり飲ませ過ぎないようにしたつもりが、ふたりとも気がついた時には昨夜の状況だった。
「カイル、おはよう!帰りは同じ道を通るの?あのさ、中心都市の街を見て回りたいな!それで!えっと、みんなにお土産を買いたい。で、珍しい食材とか買って、みんなでBBQしようよ!あ、カイルはどこか行きたい所とかある?あれば行こうよ!」
随分多弁だな・・昨日の夜の事をはぐらかしているつもりか?
話題に触れないようにしているのか?
はぁ・・そんなわけにはいかないだろ?
「レノ、身体は大丈・・んっ!」
「わあー!!カイル!それはいいから!」
レノは慌てて俺の口を抑えて制止する。
俺はその手に自分の手を重ねて、レノの手のひらにキスを落とし、ペロッと舐めた。
「ひ、ひゃあ!」
顔を赤くする。可愛い。
レノの手を握って、肩を押す。俺の体で、小さなレノの体を壁に押し付ける。
「レノ、おはよう」
俺はそう言って、レノの唇にキスをした。
「カ、カイル!もう!」
俺はレノを離して解放する。
レノに誰かがいたとしても、俺は諦めない。
レノが俺を意識してくれるように、俺だけを見てくれるようにすればいい。
可愛い・・抱きしめたい。
好きだ・・閉じ込めておきたい。
「ははっ!顔が真っ赤だな。行くぞ?街だな。土産か・・アイツら何が欲しいかな」
レノを困らせて、意識させて、俺を目で追えばいい。時にはキスをして、抱きしめて、見つめて溶かしたい。
レノは俺の様子を見て、物言いたげにしながら付いてくる。
「まずは朝食にしよう。炊きたての米が食べたい。魚の煮付け?美味いかな・・レノ、どうする?」
「あ、うん・・じゃあ、その魚の煮付けにする」
動揺が激しいな、俺をたくさん意識してくれ。
注意散漫で、通りすがる街人とぶつかりそうになる。俺はすかさずレノの腰を掴んで、胸に閉じ込めて抱く。
「わぁ・・っ!」
柔らかい・・可愛い、離したくない・・
「気をつけろよ?レノ」
「は、はぃ・・」
店が立ち並ぶ一角の、賑わいのある食事処に入ると俺たちは席に着いて食べ始める。
「本当に食事が美味しいね、マコラは豊かな国だよね。だけど、一方ヨシノ村みたいな忘れ去られた場所では、村人たちが苦労しているんだよね・・」
「ああ。それは、マコラだけに言える事じゃないけどな。アンティジェリア王国にも、リティニア王国にもそんな場所が存在するんだ。国の隅々まで豊かにする事が出来ればいいんだけどな」
我がリティニア王国も然りだ。
貧しくて、その日暮らしていく事がやっとの集落があるんだから。
身分制が絶対だと決めつけて着飾る貴族もいれば、平民の底辺の生活すら出来ず、才があっても教育すら受けられずにいるものが存在するんだ。
王族はそれを忘れてはいけない。民の暮らしを目に写して、目を逸らしてはいけないんだ。
「カイル、ヨシノ村にまた担い手が戻って、自活が盛んな村になればいいね。俺、少し・・手伝えて嬉しかったんだ。だけど・・たったひとつの村を救った所で、氷山の一角だ。他にも苦しんでいる人たちがいるんだから、浮かれて恥ずかしくなった・・」
「そんな事はないよ。レノに助けられた村が確かに存在するんだ。手を差し伸べる事が出来る者もそうはいない。これからもできる事をやっていけばいいんだよ」
レノは謙遜しているが、これだけ力量もある。全属性持ちなんて数えるくらいにしかいないというのに。
確か・・アンティジェリア王国の第3王子レオナルド殿下も全属性だったか・・
アンティジェリア王国には、優秀な者が多く存在するんだな。
「そうかな・・」
まつ毛が長い・・瞳がキラキラしている。
こうやって見れば、どう見ても女性だ。なぜ、レノは男装をしているんだ?
口調も話し方も男性的だが、いったい何がしたいんだ?
冒険者にならないといけない理由があったのだろうか・・目的は?
レノはすでに、女性である事を俺が知っていると分かっても何も変わらない。話題に触れてこない。
俺から話を振った方がいいのか?
聞いてみたい・・嫌がるだろうか・・
「レノ・・」
俺が話そうと目を見ると、困った顔をしたレノが目を逸らすから、俺は何も言えなくなってしまった。
30
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
美人なのに醜いと虐げられる転生公爵令息は、婚約破棄と家を捨てて成り上がることを画策しています。
竜鳴躍
BL
ミスティ=エルフィードには前世の記憶がある。
男しかいないこの世界、横暴な王子の婚約者であることには絶望しかない。
家族も屑ばかりで、母親(男)は美しく生まれた息子に嫉妬して、徹底的にその美を隠し、『醜い』子として育てられた。
前世の記憶があるから、本当は自分が誰よりも美しいことは分かっている。
前世の記憶チートで優秀なことも。
だけど、こんな家も婚約者も捨てたいから、僕は知られないように自分を磨く。
愚かで醜い子として婚約破棄されたいから。
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる