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守られていたのは……
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ステラが宇宙人だと明かしても、金森さんは疑わなかった。常識的に考えれば信じられない話だが、金森さんいわく「E.T.研の部長が地球外生命体を信じないでどうすんのよ」とのことだ。
「意外と冷静なんすね。先輩が知ったらもっと興奮するもんかと思ってました」
俺も陽太に同感だった。
「あのね。流石に私でも仲間のピンチに下心丸出しにはしないわよ」
「思ってたよりまともで安心しましたよ……さあ、説明も済んだわけだし、捜索開始といきますか」
「――待って!」
立ち上がって早速玄関へ向かおうとしていた陽太を金森さんが止めた。
「その前に、ステラちゃんの変身について、私なりの考察があるのだけど、聞いてくれない」
俺と陽太の口から同時に溜息が出た。冷静なようでいて、やはり地球外生命体への好奇心が抑えられなかったのか。正直、呆れた。
「体内に発信機が入ってて、居場所がバレている可能性があるんです。説明もなしに協力を仰ぐわけにもいかないんで、仕方なく長話しましたけど、本当はその時間も惜しいくらいなんですよ。考察なんて後に――」
「体内に装置はないと思う。私も事態の深刻さは認識しているわ。だからこそ聞いてほしいの」
どうやら、金森さんは発作的に考察を語りたくなったわけではないようだ。陽太も渋々座って金森さんの話に耳を傾ける姿勢になった。
「ステラちゃんは、指をタコの脚に変えたと言ったわね? そういうことが体の特定の部位ではなく全身でできると?」
金森さんの問いに首を縦に振った。
「骨格や内臓も違う生物に変身できるとなると、体内に装置を仕込むのは考え難いわ。変身すると筋肉や骨、内臓も動くわけだから、装置を入れていても壊れるんじゃないかしら。仮に頑丈に作ったとしても、定期的にバッテリーを交換する必要が出てくる。でも、変身のせいで体のどこに装置があるのか、わからないと交換はかなり手間になる。実験中に誤って装置を壊してしまうリスクだってあるわ」
天王寺が常にステラの居場所を把握しているようだったから、体内に発信機を仕込まれているのではないかと思い込んでいたが、言われて見れば現実的ではない。そもそも体内に異物があればステラだって違和感があるはずだし、気がつかないほど小型にするとバッテリーの問題が出てくるだろう。
「でも、そしたらどうやって天王寺はステラの居場所を把握してるんでしょうか。居場所がわかるというのはハッタリだとしたら、遠くへ逃げられる前に確保しようと考えるはずです。わざわざ姿を見せる理由がますますわからなくなります」
「そこが、私もわからなくてね……単純に人を使って監視させてる可能性が高いけど、わざわざ接触するのには説明がつかない。だから、やっぱりステラちゃん自らの意思で帰らせる必要があったんじゃないかしら」
以前に陽太も似たような説を唱えていた。
「それは考えましたけど、理由がわからないんです。何か思いついているものがあるんですか?」
「例えばだけど……リスクを取ってまで捕まえる必要がないんじゃないかしら。ステラちゃんに逃げられたとしても、きっと研究所に細胞のサンプルがあるはずだから、研究は進められるんじゃない?」
「人目につかないように誘拐するのはかなり難しいことです。でも、ステラの存在が世間に知られると天王寺だって不都合じゃないですか。そう考えると、放っておくリスクの方が高いように思えます。研究に支障がないからといって無視できるものじゃないでしょう」
「これは、根拠のない直感なんだけどね……天王寺が考えているリスクはそこじゃないと思うの。もしかしたら、ステラちゃんを恐れているんじゃないかしら」
「ステラを、恐れる……?」
全くの盲点だった。無邪気で人懐こい少女に対して、恐怖や畏怖の念を抱くという発想がそもそも出てこない。だが、俺たちにとってはステラは少女だが、地球外生命体としてのステラのことを深く知っている天王寺であれば、あるいはそういった感情を抱くこともあるのかもしれない。
「研究所の中であれば、命令に従う部下もステラちゃんをどうにかするための設備もある。いわば研究所はホームなわけで、外に出てアウェーな環境で相手しようとは思わないんじゃない?」
「でも、直接会ったときには、ステラを恐れているようには見えませんでした」
「悟られにように、余裕ぶってたんじゃねぇの?」
「それはない」
陽太の意見を即座に否定した。天王寺はステラに拳を突き付けられてなお、平静を保っていた。命の危険すらある状況で演技を続けられるなら、それはもはや同じ人間とは思えない。
「単純な戦闘力の問題と決まったわけではないわ。なにしろ、ステラちゃんは地球上の生物の常識が通じない生物だから、あらゆる可能性を秘めている。変身なんて能力のほんの一端である可能性もあるわ」
「先輩の説はわかりました。でも、天王寺がステラちゃんの居場所を特定できていないとしても、ステラちゃんにビビってるにしても、俺らがやることは変わらないんじゃないですか」
陽太の言う通り、やるべきことは変わらない。仮に天王寺に捕まるリスクが全くなかったとしても、俺はステラに会って謝らなくてはならないのだから。ステラの能力や天王寺のことはその後に考えればいいことだ。
しかし、金森さんの考えは違った。俺も陽太もステラの身を案じるばかりで抜け落ちていた視点だった。
「重要なのはここから。もし、天王寺がステラちゃんの何かを恐れて手出しできなかったのだとしたら……君たちはステラちゃんを守ってたんじゃなくて、ステラちゃんに守られていたことになるわ」
ピンポーン。突然チャイムが鳴り、背筋に寒気が走った。
「意外と冷静なんすね。先輩が知ったらもっと興奮するもんかと思ってました」
俺も陽太に同感だった。
「あのね。流石に私でも仲間のピンチに下心丸出しにはしないわよ」
「思ってたよりまともで安心しましたよ……さあ、説明も済んだわけだし、捜索開始といきますか」
「――待って!」
立ち上がって早速玄関へ向かおうとしていた陽太を金森さんが止めた。
「その前に、ステラちゃんの変身について、私なりの考察があるのだけど、聞いてくれない」
俺と陽太の口から同時に溜息が出た。冷静なようでいて、やはり地球外生命体への好奇心が抑えられなかったのか。正直、呆れた。
「体内に発信機が入ってて、居場所がバレている可能性があるんです。説明もなしに協力を仰ぐわけにもいかないんで、仕方なく長話しましたけど、本当はその時間も惜しいくらいなんですよ。考察なんて後に――」
「体内に装置はないと思う。私も事態の深刻さは認識しているわ。だからこそ聞いてほしいの」
どうやら、金森さんは発作的に考察を語りたくなったわけではないようだ。陽太も渋々座って金森さんの話に耳を傾ける姿勢になった。
「ステラちゃんは、指をタコの脚に変えたと言ったわね? そういうことが体の特定の部位ではなく全身でできると?」
金森さんの問いに首を縦に振った。
「骨格や内臓も違う生物に変身できるとなると、体内に装置を仕込むのは考え難いわ。変身すると筋肉や骨、内臓も動くわけだから、装置を入れていても壊れるんじゃないかしら。仮に頑丈に作ったとしても、定期的にバッテリーを交換する必要が出てくる。でも、変身のせいで体のどこに装置があるのか、わからないと交換はかなり手間になる。実験中に誤って装置を壊してしまうリスクだってあるわ」
天王寺が常にステラの居場所を把握しているようだったから、体内に発信機を仕込まれているのではないかと思い込んでいたが、言われて見れば現実的ではない。そもそも体内に異物があればステラだって違和感があるはずだし、気がつかないほど小型にするとバッテリーの問題が出てくるだろう。
「でも、そしたらどうやって天王寺はステラの居場所を把握してるんでしょうか。居場所がわかるというのはハッタリだとしたら、遠くへ逃げられる前に確保しようと考えるはずです。わざわざ姿を見せる理由がますますわからなくなります」
「そこが、私もわからなくてね……単純に人を使って監視させてる可能性が高いけど、わざわざ接触するのには説明がつかない。だから、やっぱりステラちゃん自らの意思で帰らせる必要があったんじゃないかしら」
以前に陽太も似たような説を唱えていた。
「それは考えましたけど、理由がわからないんです。何か思いついているものがあるんですか?」
「例えばだけど……リスクを取ってまで捕まえる必要がないんじゃないかしら。ステラちゃんに逃げられたとしても、きっと研究所に細胞のサンプルがあるはずだから、研究は進められるんじゃない?」
「人目につかないように誘拐するのはかなり難しいことです。でも、ステラの存在が世間に知られると天王寺だって不都合じゃないですか。そう考えると、放っておくリスクの方が高いように思えます。研究に支障がないからといって無視できるものじゃないでしょう」
「これは、根拠のない直感なんだけどね……天王寺が考えているリスクはそこじゃないと思うの。もしかしたら、ステラちゃんを恐れているんじゃないかしら」
「ステラを、恐れる……?」
全くの盲点だった。無邪気で人懐こい少女に対して、恐怖や畏怖の念を抱くという発想がそもそも出てこない。だが、俺たちにとってはステラは少女だが、地球外生命体としてのステラのことを深く知っている天王寺であれば、あるいはそういった感情を抱くこともあるのかもしれない。
「研究所の中であれば、命令に従う部下もステラちゃんをどうにかするための設備もある。いわば研究所はホームなわけで、外に出てアウェーな環境で相手しようとは思わないんじゃない?」
「でも、直接会ったときには、ステラを恐れているようには見えませんでした」
「悟られにように、余裕ぶってたんじゃねぇの?」
「それはない」
陽太の意見を即座に否定した。天王寺はステラに拳を突き付けられてなお、平静を保っていた。命の危険すらある状況で演技を続けられるなら、それはもはや同じ人間とは思えない。
「単純な戦闘力の問題と決まったわけではないわ。なにしろ、ステラちゃんは地球上の生物の常識が通じない生物だから、あらゆる可能性を秘めている。変身なんて能力のほんの一端である可能性もあるわ」
「先輩の説はわかりました。でも、天王寺がステラちゃんの居場所を特定できていないとしても、ステラちゃんにビビってるにしても、俺らがやることは変わらないんじゃないですか」
陽太の言う通り、やるべきことは変わらない。仮に天王寺に捕まるリスクが全くなかったとしても、俺はステラに会って謝らなくてはならないのだから。ステラの能力や天王寺のことはその後に考えればいいことだ。
しかし、金森さんの考えは違った。俺も陽太もステラの身を案じるばかりで抜け落ちていた視点だった。
「重要なのはここから。もし、天王寺がステラちゃんの何かを恐れて手出しできなかったのだとしたら……君たちはステラちゃんを守ってたんじゃなくて、ステラちゃんに守られていたことになるわ」
ピンポーン。突然チャイムが鳴り、背筋に寒気が走った。
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