突然、婚約したと言われましたが、相手は無表情の幼馴染だそうです。ついでに侯爵令嬢にもなりました。

本野インク

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とりあえずの昔の話と今の話  世に言うプロローグ的なナニカ

アルベルトのお父さんとアルベルト

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 アルのお父さんは、それは無茶苦茶に綺麗な男だった。それは無茶苦茶な美貌の男で信じられない位に綺麗な男で、神が作りし完成された美貌とまで言われ、それはそれは男にも女にもモテた男だったと言う。その為、アルのお母さんと結婚した時は、そりゃあ街の至る所に泣き崩れる人々が出来上がり、道端で大の字で涙を流す人もいたと言う。いっそ喪に服したと言ってもいい状態にまで陥ったらしい。
 そこまで陥ったアルの両親の結婚だったが、意外にも新婚生活は周りのやっかみもなく穏やかなモノだったと父ちゃんは言っていた。死んだ母ちゃんも言っていたが、アルのお父さんはアルのお母さんが大好きで仕方なかったらしい。仲良く手を繋いで歩いているのをよく見た。
 
 アルはそんなお父さんの美貌を受け継いでいた。アルのお父さん程じゃないけど、悔しい程に整った顔だった。私が暗い栗毛の茶色の瞳で地味な父ちゃん似なら、アルは金髪碧眼の綺麗なお父さん似だった。
 ただし、恐ろしい程に無表情だったけど。
 私は初等学校時代、この地味な容姿のせいで「アルベルトの幼なじみにはふさわしくない」と女子にも陰では男子にも言われた。ふざけるな。私だって好きでこんな容姿に産まれたんじゃない。そう言いたかったけど、父ちゃんが悲しそうな顔をしそうだなと思って黙って耐えた。
 アルはそんな私を助けてくれるわけもなく、当たり前のように隣にいた。おかげでいつまで経ってもやっかみが消えることはなかった。こんな無表情男の顔だけ男、欲しかったらいつでもくれてやる!そんな気持ちでいつもいた。
 だから、アルが地元の高等学校じゃなくて都会の高等学校に進学すると聞いた時は一人自分の部屋で喝采をあげた。元々地元の女学校に通うって言っても、同じ地元にいたら何を言われるか分からない。
 
 やっと私の自由がやって来た!そう感じてワクワクドキドキ女学校生活を送っていたのに、その悩みの元凶のアルと婚約?結婚?信じられない。これから恋をして好きな人が出来たり、素敵な出会いがあるんだと思ってたのに!


 「父ちゃん!私絶対嫌だからね!アルと婚約なんて結婚なんて絶対無理!」
 「でもね、もうアルベルトのお母さんも知ってる事なんだよ。ここは貴族出身の母ちゃんの娘として諦めてね」
 「なんで貴族だった母ちゃんが自由恋愛で、平民の私が契約結婚なのよ!」
 「その事なんだけど、今回の婚約によってベスは正式に貴族の一員になったんだよ。エリザベス・レイラーニー侯爵令嬢だ!」
 「ふざけるな!今年で17なんですけど私!?今さら貴族教育無理だから!あんな噂に聞くドロドロ人間関係最悪社交界を田舎娘に渡り歩けと!?」
 「頑張れ!ベスの母ちゃんは侯爵令嬢だったんだ!その娘であるベスもやればできる!」
 「その侯爵令嬢だった母ちゃん、令嬢やめて平民になったんですけど!?」
 
 私が如何にアルと結婚したくないか、貴族令嬢なんてなりたくないか説明したが納得してもらえず。
 
 「諦めて、ベス。もう決まった事なんだ」
 
 そう言った父ちゃんの顔を見たら、もう何も言えなくなってしまい。


 こうして、私はアルと婚約関係になってしまったのである。
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