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第三章 政争の導火線、監獄の鼓動
CHAPTER41『集う力、暴かれる血脈』
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第二階層市場付近
ゼルファードが静かに振り返り、背後に控える二人の護衛に命じた。
「……ガメル、グロック。制圧の準備をしておけ」
二人は無言で頷き、それぞれ前へ一歩踏み出す。
【キャラクター紹介:レインハルト護衛隊員 ガメル】
種族:ウミガメ魚人
特徴:全身を覆う分厚い甲羅と屈強な肉体を持ち、守りにおいては絶対の信頼を誇る。
性格:寡黙で沈着。命令には一切の疑問を挟まず、忠実に遂行する。
能力:長柄の盾斧を操り、重装防御と殴打を兼ね備えた戦法を得意とする。
【キャラクター紹介:レインハルト護衛隊員 グロック】
種族:クロサイ獣人
特徴:巨体を持つ獣人。突進力に特化した戦闘スタイルで、重量級の巨体から繰り出す一撃は建造物すら粉砕する。
性格:短気かつ直情的だが、ゼルファードには絶対的な忠誠を誓っている。
能力:両腕に装着した特製のインパクトブレイサーを用いた肉弾戦を得意とする。
深海より来たる決起の影
そして、次の瞬間――
蒼海の解放軍のメンバーが、一斉に姿を現した。
その動きはまるで水面を割って浮上する魚群のように統制され、鋭く、迷いがない。
タイタンの巨体が前列に立ち、その異形の拳を静かに鳴らす。
その隣でヴォルグが短剣を逆手に構え、研ぎ澄まされた視線をドゥームたちに投げた。
バレルは腕を組みながら口の端を吊り上げ、不敵な笑みを浮かべる。
隣のアルデンは一歩踏み出し、肩を回しながら気配を研ぎ澄ます。両の拳からは小さく熱気が立ち上る。
アルデンのすぐ脇には、レクスが無言のまま姿勢を低く保ち、じりじりと足場を固めていた。普段のひょうきんな雰囲気は鳴りを潜め、代わりにただならぬ静けさと緊張が、その体を包んでいた。
その後方には、モーリスが低く姿勢を落とし、目を細めて周囲を見回していた。
その構えは、いつでも仲間の背を支えるための後方支援に移れるよう、全身を静かに研ぎ澄ませているかのようだった。
バラストは一歩引いた位置から仲間たちの布陣を見渡し、戦局の全体を読もうとするかのような沈着な眼差しを浮かべていた。
そして、最前列に立つのは――ジル。
その鋭い目が、ドゥームを真っ直ぐに捉えている。
海よりも深い静けさを湛えた瞳の奥に、熱く燃える怒りが灯っていた。
その瞬間、看守側と沈黙の牙側のぶつかり合っていた気配がわずかに揺らぎ、場の空気が一拍、凍りついた。
まるで全員が、次の一手を見極めようと息を呑み、静止したかのようだった。
グレンダルが眉をひそめ、低く唸るように言った。
「……何だ貴様らは?」
それに被せるように、ドゥームが不快そうに鼻を鳴らしながら吐き捨てた。
「フハハハ、何しに出て来やがったヒヨッコどもが……お前たちにはこのステージはまだ早ぇよ」
ギルバートは一言も発せず、ただ静かに一部始終を見守っている。
その眼差しには、何かを試すような光が宿っていた。
ジルが前に出る。その鋭い視線が、ドゥームを真っ直ぐに捉える。
「ドゥーム……お前たちの好きにはさせないぞ!おまえらはザルバド・レインハルトを殺して、バルデマーにこの監獄を開け渡そうとしている……違うか?……そんなことは絶対にさせない」
ドゥームの口元が、獣のように歪んだ笑みに吊り上がった。
「ハハハハ……何故そう思う? 誰の入れ知恵だ? 貴様らは“現象の表層”しか見えていない。だから“ヒヨッコ”だと言うんだよ」
場の空気が一層張り詰めた。
対峙する者たちの間に、火花のような気配が散り始めていた――
「この者たちは……何者だ?」
レインハルトが隣のギルバートに視線を投げる。
ギルバートは一歩前へ出て答えた。
「ドゥームが言うように、まだまだ荒削りのヒヨッコですが――
彼らこそ、この監獄の四大派閥の一つ、“蒼海の解放軍(ブルータイドリベレーションズ)”です」
「……フム」
レインハルトはわずかに頷きながら、今度はジルに視線を向ける。
「お前たちは、なぜこの監獄がバルデマーに渡るのを阻止しようとする?」
ジルは前へ出て、その目にまっすぐな意思を宿す。
「それは……この世界が、ますます理不尽になると思うからだ」
「俺たちは政府に無実の罪でここに入れられた。そして、無実の罪で殺される者も見てきた…その最も大きな黒幕が――バルデマーだと、俺たちは確信している」
レインハルトは一呼吸置いて、静かに言った。
「なるほどな……お前たちの考えはよくわかった」
ジルが、鋭い視線をそのままぶつけるように問い返す。
「――あんたなら……この世界を、変えることができるか?」
レインハルトは目を細め、背筋を伸ばしたまま言葉を紡いだ。
「……お前らが思い描く世界が、どのようなものかはわからん。だが、バルデマーが支配する世界よりは、より良い世界を作ると約束してもいい」
そして一拍置き、静かに言葉を継いだ。
「――まずは、政府にとって“都合が悪い”というだけで排除される、この理不尽なやり方から変えていかねばならんのかもしれんな」
ジルは小さく頷きながら言った。
「……もしそれが本当なら、俺たちはあんたを支持する」
その瞬間、ドゥームの巨体が一歩踏み込み、ジルめがけて拳を炸裂させようと動く――
だが、タイタンが前に割って入り、その一撃を両腕で受け止めた。
「話の途中で殴りかかるんか? まったく、お行儀が悪ぅてかなわんわい」
「フハハハハ……口では理想を語るヒヨッコどもの“実力”とやらを測ってやろうと思ってな」
ジルが怒気を込めて叫ぶ。
「理想を笑うなら笑え……でも、俺たちは本気だ。覚悟もねぇ奴に舐められてたまるか!!」
鋼鉄化した右腕に力を込め、ジルはドゥームの腹部に拳を叩き込む。
ドスン!!
ジルの鋼鉄化した拳が、腕を組んだままのドゥームの腹部に深く叩き込まれた。
だが、手応えがない。まるで岩壁を殴ったかのように、衝撃は霧散し、反動すら返ってこない。
その直後――
ドゥームの手が、ぬるりと這うように伸び、ジルの拳をがっちりと掴んだ。
「……ほう。これは珍しい…お前も“わが同胞”か?」
ジルは眉をひそめた。
「何を言ってる!」
激しくもがくが、ドゥームの握力はまるで万力のように固く、離れない。
ドゥームの目がわずかに細まる。
「――お前、“アンソニー・レイヴン”の息子か? そういえば……どことなく似ているな」
ジルの目が見開かれる。
「……誰だそれは? 俺は物心ついた時から、ずっと一人で生きてきた」
ドゥームは口元を吊り上げ、不敵に告げる。
「……いいことを教えてやろう。お前の“答え”が眠っている場所は“C-5”、アクア・ドミナ本国の研究区画だ」
その言葉にギルバートが反応する。
「――C-5……!」
レインハルトも、わずかに瞳を鋭く細めた。
ギルバートは目を細めながら低く問いかけた。
「……ドゥーム、貴様――C-5の実験体か。それで、その異能か……」
ドゥームは不敵に笑い、わざとらしく肩をすくめた。
「その通りだ。俺は“水”の力を得た。そしてアンソニー・レイヴンは“鉄”の力を。鉄に適合した者は、これまでアンソニーただ一人。全身が鋼鉄へと変じる、真の怪物だった」
ジルの眉がピクリと動く。
「アンソニー……レイヴン? ……確かに俺の名はジル・レイヴン。幼い頃からこの右腕に鉄の力はあった。 だが……そいつが本当に俺の父親だっていうのか?」
ドゥームは興味なさげに手を振り、ジルの腕を放した。
「そこまでは知らん。だが――知りたければ、本人に会って確かめればいいだろう? 」
「……まだ、生きているのか?」
ジルの声には、感情が揺れていた。
その沈黙を破ったのは、レインハルトだった。
「――その名なら、私も知っている。 ……ヴァルデス海境共和国に渡った元政府軍の男、アンソニー・レイヴンだな」
ジルは思わずレインハルトに視線を向けた。
彼の過去が、ゆっくりと――だが確かに、動き出していた。
ゼルファードが静かに振り返り、背後に控える二人の護衛に命じた。
「……ガメル、グロック。制圧の準備をしておけ」
二人は無言で頷き、それぞれ前へ一歩踏み出す。
【キャラクター紹介:レインハルト護衛隊員 ガメル】
種族:ウミガメ魚人
特徴:全身を覆う分厚い甲羅と屈強な肉体を持ち、守りにおいては絶対の信頼を誇る。
性格:寡黙で沈着。命令には一切の疑問を挟まず、忠実に遂行する。
能力:長柄の盾斧を操り、重装防御と殴打を兼ね備えた戦法を得意とする。
【キャラクター紹介:レインハルト護衛隊員 グロック】
種族:クロサイ獣人
特徴:巨体を持つ獣人。突進力に特化した戦闘スタイルで、重量級の巨体から繰り出す一撃は建造物すら粉砕する。
性格:短気かつ直情的だが、ゼルファードには絶対的な忠誠を誓っている。
能力:両腕に装着した特製のインパクトブレイサーを用いた肉弾戦を得意とする。
深海より来たる決起の影
そして、次の瞬間――
蒼海の解放軍のメンバーが、一斉に姿を現した。
その動きはまるで水面を割って浮上する魚群のように統制され、鋭く、迷いがない。
タイタンの巨体が前列に立ち、その異形の拳を静かに鳴らす。
その隣でヴォルグが短剣を逆手に構え、研ぎ澄まされた視線をドゥームたちに投げた。
バレルは腕を組みながら口の端を吊り上げ、不敵な笑みを浮かべる。
隣のアルデンは一歩踏み出し、肩を回しながら気配を研ぎ澄ます。両の拳からは小さく熱気が立ち上る。
アルデンのすぐ脇には、レクスが無言のまま姿勢を低く保ち、じりじりと足場を固めていた。普段のひょうきんな雰囲気は鳴りを潜め、代わりにただならぬ静けさと緊張が、その体を包んでいた。
その後方には、モーリスが低く姿勢を落とし、目を細めて周囲を見回していた。
その構えは、いつでも仲間の背を支えるための後方支援に移れるよう、全身を静かに研ぎ澄ませているかのようだった。
バラストは一歩引いた位置から仲間たちの布陣を見渡し、戦局の全体を読もうとするかのような沈着な眼差しを浮かべていた。
そして、最前列に立つのは――ジル。
その鋭い目が、ドゥームを真っ直ぐに捉えている。
海よりも深い静けさを湛えた瞳の奥に、熱く燃える怒りが灯っていた。
その瞬間、看守側と沈黙の牙側のぶつかり合っていた気配がわずかに揺らぎ、場の空気が一拍、凍りついた。
まるで全員が、次の一手を見極めようと息を呑み、静止したかのようだった。
グレンダルが眉をひそめ、低く唸るように言った。
「……何だ貴様らは?」
それに被せるように、ドゥームが不快そうに鼻を鳴らしながら吐き捨てた。
「フハハハ、何しに出て来やがったヒヨッコどもが……お前たちにはこのステージはまだ早ぇよ」
ギルバートは一言も発せず、ただ静かに一部始終を見守っている。
その眼差しには、何かを試すような光が宿っていた。
ジルが前に出る。その鋭い視線が、ドゥームを真っ直ぐに捉える。
「ドゥーム……お前たちの好きにはさせないぞ!おまえらはザルバド・レインハルトを殺して、バルデマーにこの監獄を開け渡そうとしている……違うか?……そんなことは絶対にさせない」
ドゥームの口元が、獣のように歪んだ笑みに吊り上がった。
「ハハハハ……何故そう思う? 誰の入れ知恵だ? 貴様らは“現象の表層”しか見えていない。だから“ヒヨッコ”だと言うんだよ」
場の空気が一層張り詰めた。
対峙する者たちの間に、火花のような気配が散り始めていた――
「この者たちは……何者だ?」
レインハルトが隣のギルバートに視線を投げる。
ギルバートは一歩前へ出て答えた。
「ドゥームが言うように、まだまだ荒削りのヒヨッコですが――
彼らこそ、この監獄の四大派閥の一つ、“蒼海の解放軍(ブルータイドリベレーションズ)”です」
「……フム」
レインハルトはわずかに頷きながら、今度はジルに視線を向ける。
「お前たちは、なぜこの監獄がバルデマーに渡るのを阻止しようとする?」
ジルは前へ出て、その目にまっすぐな意思を宿す。
「それは……この世界が、ますます理不尽になると思うからだ」
「俺たちは政府に無実の罪でここに入れられた。そして、無実の罪で殺される者も見てきた…その最も大きな黒幕が――バルデマーだと、俺たちは確信している」
レインハルトは一呼吸置いて、静かに言った。
「なるほどな……お前たちの考えはよくわかった」
ジルが、鋭い視線をそのままぶつけるように問い返す。
「――あんたなら……この世界を、変えることができるか?」
レインハルトは目を細め、背筋を伸ばしたまま言葉を紡いだ。
「……お前らが思い描く世界が、どのようなものかはわからん。だが、バルデマーが支配する世界よりは、より良い世界を作ると約束してもいい」
そして一拍置き、静かに言葉を継いだ。
「――まずは、政府にとって“都合が悪い”というだけで排除される、この理不尽なやり方から変えていかねばならんのかもしれんな」
ジルは小さく頷きながら言った。
「……もしそれが本当なら、俺たちはあんたを支持する」
その瞬間、ドゥームの巨体が一歩踏み込み、ジルめがけて拳を炸裂させようと動く――
だが、タイタンが前に割って入り、その一撃を両腕で受け止めた。
「話の途中で殴りかかるんか? まったく、お行儀が悪ぅてかなわんわい」
「フハハハハ……口では理想を語るヒヨッコどもの“実力”とやらを測ってやろうと思ってな」
ジルが怒気を込めて叫ぶ。
「理想を笑うなら笑え……でも、俺たちは本気だ。覚悟もねぇ奴に舐められてたまるか!!」
鋼鉄化した右腕に力を込め、ジルはドゥームの腹部に拳を叩き込む。
ドスン!!
ジルの鋼鉄化した拳が、腕を組んだままのドゥームの腹部に深く叩き込まれた。
だが、手応えがない。まるで岩壁を殴ったかのように、衝撃は霧散し、反動すら返ってこない。
その直後――
ドゥームの手が、ぬるりと這うように伸び、ジルの拳をがっちりと掴んだ。
「……ほう。これは珍しい…お前も“わが同胞”か?」
ジルは眉をひそめた。
「何を言ってる!」
激しくもがくが、ドゥームの握力はまるで万力のように固く、離れない。
ドゥームの目がわずかに細まる。
「――お前、“アンソニー・レイヴン”の息子か? そういえば……どことなく似ているな」
ジルの目が見開かれる。
「……誰だそれは? 俺は物心ついた時から、ずっと一人で生きてきた」
ドゥームは口元を吊り上げ、不敵に告げる。
「……いいことを教えてやろう。お前の“答え”が眠っている場所は“C-5”、アクア・ドミナ本国の研究区画だ」
その言葉にギルバートが反応する。
「――C-5……!」
レインハルトも、わずかに瞳を鋭く細めた。
ギルバートは目を細めながら低く問いかけた。
「……ドゥーム、貴様――C-5の実験体か。それで、その異能か……」
ドゥームは不敵に笑い、わざとらしく肩をすくめた。
「その通りだ。俺は“水”の力を得た。そしてアンソニー・レイヴンは“鉄”の力を。鉄に適合した者は、これまでアンソニーただ一人。全身が鋼鉄へと変じる、真の怪物だった」
ジルの眉がピクリと動く。
「アンソニー……レイヴン? ……確かに俺の名はジル・レイヴン。幼い頃からこの右腕に鉄の力はあった。 だが……そいつが本当に俺の父親だっていうのか?」
ドゥームは興味なさげに手を振り、ジルの腕を放した。
「そこまでは知らん。だが――知りたければ、本人に会って確かめればいいだろう? 」
「……まだ、生きているのか?」
ジルの声には、感情が揺れていた。
その沈黙を破ったのは、レインハルトだった。
「――その名なら、私も知っている。 ……ヴァルデス海境共和国に渡った元政府軍の男、アンソニー・レイヴンだな」
ジルは思わずレインハルトに視線を向けた。
彼の過去が、ゆっくりと――だが確かに、動き出していた。
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