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ショタコンおじさんが少年達と冒険します
2026年正月 フランツ、レイ、リカード、ダイ、ヒナタ
しおりを挟むあやかしの国で迎えた元旦、旅館「八百万屋」の朝は、清澄な空気と少年たちの温もりに包まれていた。
かつて大天狗との死闘を繰り広げたあの日から数ヶ月、タカヒロと五人の少年たち——フランツ、レイ、リカード、ダイ、ヒナタの間には、もはや「保護者と被保護者」という壁は存在しなかった。
「にーちゃん、おめでとー! ほら、早く起きないと遅れちゃうよ!」
リカードが元気よくタカヒロの布団に飛び込み、その褐色の肌を密着させてくる。
「こら、リカード。タカヒロが困っているだろう。……あけましておめでとう、タカヒロ」
隣で眠っていたレイが、銀髪を揺らしながらぶっきらぼうに挨拶を交わす。
「あけましておめでとうございます、タカヒロさん。昨夜はよく眠れましたか?」
反対側からフランツが真面目な眼差しを向け、タカヒロの腕をそっと握りしめた。
「みんな、おめでとう。今日は初詣に行こう。この国の神社へ、全員でね」
タカヒロが微笑むと、少年たちは一斉に歓声を上げた。
一行は、新調した羽織袴に身を包み、山上にある神社へと向かった。
そこはかつて、大天狗が祭壇を築き、禍々しい妖気が渦巻いていた場所だった。
しかし、大天狗を打ち破った今、神社は神聖な静寂を取り戻し、清浄な魔力に満ち溢れている。
「見てください。あの時の禍々しさが嘘のように、空気が澄んでいます」
フランツが石段を登りながら、感銘を受けたように呟いた。
「……ふん。オレ達が協力してあの化け物を掃除したおかげだね」
レイがクールな口調で応じるが、その緑色の瞳には平和な景色への安堵が滲んでいる。
「とーちゃん達も、今頃別の場所で初詣してるかな~?」
リカードがジョルジュたちに思いを馳せ、タカヒロの裾をぎゅっと掴んだ。
拝殿の前には、ダイとヒナタが並んで立っていた。
「ダイ、お主の願い事は決まったでござるか?」
「……そんなの、わざわざ言うもんじゃねえよ。ヒナタこそ、どうなんだ」
「拙者は、お主と同じ運命を共有できたこの絆が、永遠に続くよう祈るでござるよ」
「……バカ。そんなこと、祈らなくても決まってるだろ」
ダイは照れたように顔を赤らめ、ヒナタの肩にそっと手を置いた。
二人の間には、生死を共にした運命共同体としての深い安寧が流れている。
全員が拝殿の前に並び、ヒナタが教えた作法に従って二礼二拍手一礼を行う。
(私の願いは……この五人の少年たちの幸せだ。彼らの身体の成長は止まったままだけど、この永遠の絆こそが私の真実の居場所なのだから)
タカヒロが心の中でそう誓った瞬間、頭の中に懐かしい冷笑混じりの声が響いた。
『相変わらず、己の欲望には無欲な男よな。小僧共の成長を奪った罪悪感を捨て、愛を受け入れたのなら、その絆をより強固にすることだけを考えよ』
(英雄神……見ていてください。私たちは、この絆を武器に、どんな未来も共に歩みます)
タカヒロは心の中で応じ、隣に立つ少年たちの手をしっかりと握り締めた。
参拝を終えたリカードが、淡い金の瞳を輝かせて尋ねた。
「にーちゃん、抱負って、口に出してもいいんだよね? おいらはね、今年中ににーちゃんを独り占めする時間を、去年の十倍にするんだ!」
「抜け駆けはさせないと言っただろう、リカード。オレの抱負は、タカヒロにとって唯一無二のバディとして、もっと魔法の精度を高めることだ。当然、独占する時間も譲らないよ」
レイが対抗意識を燃やすと、フランツも静かに一歩前に出た。
「僕の抱負は、タカヒロさんを命懸けで守り抜く最強の盾となることです。そして、誰よりも信頼されるパートナーになりたい。……いえ、なります」
フランツの騎士としての真摯な決意に、タカヒロは深い愛しさを覚えた。
「みんな、頼もしい抱負だね。私は、君たちがいつまでも笑っていられるように、全力で愛し、支え続けるよ」
タカヒロの言葉に、ダイも加わり、五人の少年たちが彼を囲むように抱きついた。
「チクショウ、結局こうなるのかよ。……まあ、おれたちは運命共同体だからな。今年もよろしく頼むぜ」
「拙者も、ダイや皆と共に、タカヒロ殿の歩む道を切り拓くでござる!」
ダイとヒナタの力強い言葉が、初春の空に響き渡った。
彼らの身体は数ヶ月前と変わらず、幼さを残したままだ。
しかし、その内面は確かな愛と信頼によって成熟し、一歩ずつ新しい世界を歩み始めている。
「さて、旅館に戻ってお雑煮を食べようか。ヒナタの作ったお菓子も楽しみだ」
「わーい! お餅、いっぱい食べるぞー!」
「リカード、喉に詰めないように気をつけなよ」
賑やかな会話を楽しみながら、一行は石段を降りていく。
あやかしの国に訪れた新しい年。
そこには、過去の倫理観という枷を打ち捨て、真実の絆を選び取った六人の、永遠に続く幸福な未来が約束されていた。
タカヒロは少年たちの温かい温もりを全身で感じながら、穏やかな新年の陽光を浴び、力強く歩き出すのだった。
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