蘇るなかれ

かきたね

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隠された日付

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ピンポン。ピンポーン、ピンポーン____
何度も、何度も押される呼び鈴。
エグ味のある目覚めに自律神経が活発になる。
警察でも呼んでやろうか。
そんな軽口を遊ばせながら、枕元のスマホに手を伸ばした。
瞳孔が縮む。

通知バナーが、確かな警告を伝えていた。

無造作にカレンダーに手をかける。
その間にもドアのノックは止まらない。
ペリペリと線分の接合部を剥がし、押し入れへと放り込んだ。





「陽菜、心配したのよ?」
おっとりとした口調で話す母。
やつれて見えるのは、私が成長したからだろうか。
「ごめん、ごめん、まだ寝てて。」
嘘は吐いてない。
だが、時計は本日2周目に入っていた。
「全く...夏休みだからって夜更かしばっかしてるんじゃないよ。」
「はぁーい」
「それで、今日は何か用でもあったの?」
「いや?特にこれといった用は無いけどねぇ。
ただ、たまたま近く寄ったから元気かな?って思って。だけど、いくらメッセージ送っても既読も付かなきゃ返信が来ないもんだから不安になっちゃって。」
「もっと前から言ってくれたら色々用意したのに...」
母は昔からこういうところがある。
それをウザく感じる事もあれば、ありがたみを感じる事もあった。
今は前者だ。

「それで、どこに行ってたの?」

しくじった。

向かい合う母の顔に、影が落ちる。

「夏帆のお見舞い、行ってきたの。」
背中を丸め、独り言のように呟く母。
「あぁ...うん。」
「お姉ちゃん、やっぱり中々良くならないのよ。でもね?先生が言うには、1回蘇生して回復を測るのも策じゃないかって。」
軽く語尾が上がった。
「それって、お姉ちゃんをもう一度殺すって事だよね?」
母の目がよろめく。
「まあ...そうなるわね...。でも、どっちみち夏帆をあのままにしておく訳にも行かないわよ。お金もバカにならないし...」

言葉にならない。
私には、分からない。

「落ち着いて聞いて欲しいんだけど...」
母から目を逸らす。
「なによ、そんなかしこまっちゃって。」

今ほど呼吸を自覚したことは無い。

「あ、あの、えっと...」

 押し入れからカサッと軽い音が鳴った。

「陽菜?」



私には、母まで失う勇気が無かった。

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