上 下
4 / 4
1章 融合!ブルーファイア

ブルーファイア4

しおりを挟む
「な、なんだこれ?結城、どうなってんの?」

「し、知らないよ。僕は」

 二人は顔を見合わせた。

「こ、これは不思議な現象が起きてるよ」

 そんな二人の間を縫って、北長さんが説明を始めた。

「二人とも魔戦士としては欠陥品だ。片方しかないんだからね。欠けたビスケットのようなものだ。しかし、君たちは欠けかたが全く一緒なんだ。二人の欠けたビスケットが、ぴったりくっつくんだよ」

 二人とも北長さんが何を言ってるのかよくわからなかった。しかし、二人が手を取り合えば、何かが起こるかもしれないということはわかった。

「結城」

 緋が手を差し出す。赤の右手だ。それを蒼の左手がしっかりと握り返した。二人のグローブの光が大きくなり、全身を包んでいく。


 気がつくと、そこには一人の少年が立っていた。鋭く尖ったサングラスは青と赤のグラデーションだ。派手な炎の柄のマント。右では赤、左手は青のグローブをはめている。

「融合! 魔法少年、ブルーファイア!!」

 少年は言った。

(どうなってるんだ? 俺は? 結城は?)

(なんだ? 耳元で)

 意識だけの緋の耳に蒼の声だけ届いた。

(結城!! お前、どこにいるんだ?)

(……確証はないが、どうやら、俺たちは融合したようだ。一人の魔戦士、魔法少年として)

(ってことは、ブルーファイアは俺たち二人なのか?)

 緋は信じられなかった。
 そんな二人をよそに、ハイゴブリンはブルーファイアに突進を仕掛けてきた。あの巨体だ。威力もかなりのものだろう。

(結城!! どうする? 来たぞ)

(迎え撃つぞ、飛んで背後に回る)

 二人は意識を集中させた。
 ブルーファイアは素早い動きでハイゴブリンを避け、後ろに回り込んだ。

(行ける。俺たちなら!!)

(武器はどうだ?)

 ブルーファイアのサングラスに文字が浮かび上がる。

 《精製可能武器:氷蒼撃弓(ひょうそうげききゅう)》

「これだ!!氷蒼撃弓」

 ブルーファイアの足元から、氷柱が突き出す。それが砕け、青い透き通る弓が現れた。それを手に、思い切り引く。冷気が矢を形成していく。

「貫く!!」

 ブルーファイアは矢を放つ。ハイゴブリンの右肩にあたる。そこから瞬く間に氷が広がり、全身を包んでいく。あっという間にハイゴブリンの動きを封じた。

 《精製可能武器:炎帝魔剣(えんていまけん)》

「行くぞ!炎帝魔剣」

 目の前に大きな青い炎が上がる。それがみるみる大剣に変わっていった。青い炎をまとった大剣だ。

(これなら)
(行ける!!)

 ブルーファイアは一気にハイゴブリンとの間合いを詰めると、剣を振り下ろした。ハイゴブリンの巨体が一瞬で青い炎で焼かれた。

「青い炎は熱いんだ」

 ブルーファイアは崩れていくハイゴブリンを眺めていた。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...