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宝石姫と太陽の神さま
宝石姫と太陽の神さま1
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ここは石の国の街です。この街の路地の奥には石の国のお姫さまがひっそりとやっている宝石店があります。石の国のお姫様、ベリルは今日も元気?に宝石店のドアを開けます。
「寒い、寒い、寒いわ~」
ベリルはいつものピンクのドレスの上からモコモコの真っ白いコートを着込み、これまた真っ白いふわふわのマフラーに包まれています。
「やぁ、姫さま。おはよう」
店の奥から宝石の精霊メノウがひょこりと顔を出し、挨拶をしました。
「もう5月よ。もう春が来て暖かくなってもいいはずなのに。チラチラと雪まで舞ってきたわ。どうしたのかしら」
ベリルはコートを脱ぎながら言いました。たしかに、今の時期に雪が降るほど寒いなんてことは今までなかったのです。
「そうかい? 俺は宝石の精霊だからな。寒さとか暑さは感じないんだ」
メノウはベリルからコート受け取りながら言いました。
「それはかわいそうね。暑いのも寒いのもとても素晴らしいのよ。私は大好きよ」
「なんか、言ってることがチグハグじゃ……」
メノウはため息混じりに答えました。
「そんなことないわ。冬は寒い。夏は暑いのが素晴らしいのよ。私、冬は大好きだわ。澄んだ冷たい空気を目一杯吸い込んで、ちょっと鼻の奥が痛くなる感じも好きよ」
「なら、なんで?」
「季節は移り変わるからいいのよ。ちょうどいい間隔で移り変わっていくの。冬の終わりに暖かさが恋しくなってくると春が来る。ずっと同じ季節だとまいっちゃうわ」
春を恋しんで窓の外をベリルは眺めます。そういうものかとメノウは思いながら開店の準備をはじめました。
「そういえば手紙が来ていたよ」
「まぁ。誰かしら?」
ベリルはメノウから便箋を受け取ると、机の上のペーパーナイフで封を切りました。中には綺麗なグリーンの装飾がされた手紙が入っています。
ベリルは手紙に目を落とします。
「ミイナからだわ」
ベリルは喜びました。ミイナは森の国のお姫様で、ベリルの大切なお友達です。
「それはいい。なんだって?」
メノウも手紙に書かれている事が気になるようです。
「今読むわね」
ベリルは手紙の内容がメノウにもわかるように、声に出して読んであげることにしました。
『ごきげんよう。石の国のベリル姫。まだまだ寒い日が続いてますが、病気になっていませんか? 森の国のみんなはとても元気です。王子様もベリルやメノウに会いたがってますよ。時間ができたら遊びに来てくださいね。最近はお花も贈れずすいません。全然暖かくならないからお花たちも困っているようです。いつもならお花畑も春のカラフルなお花たちで綺麗に彩られるはずなのですが、この寒さで咲くに咲けないようです。うちのお花屋さんもお客さんにお渡しできるお花がなくて困っています。早く暖かくなって、春のお花が咲いてくれるといいな……』
「やっぱり、この寒さは大変なんだね」
手紙を読み終わったベリルにメノウが言いました。
「そうね。ミイナも困っていたみたいだし、心配だわ……」
ベリルは心からミイナを心配していた。きっと、自分に何か力になれないかと考えていることをメノウは知っていました。
カランカラン
二人が考え込んでいると、お店の入り口のベルが乾いた音で鳴りました。
「寒い、寒い、寒いわ~」
ベリルはいつものピンクのドレスの上からモコモコの真っ白いコートを着込み、これまた真っ白いふわふわのマフラーに包まれています。
「やぁ、姫さま。おはよう」
店の奥から宝石の精霊メノウがひょこりと顔を出し、挨拶をしました。
「もう5月よ。もう春が来て暖かくなってもいいはずなのに。チラチラと雪まで舞ってきたわ。どうしたのかしら」
ベリルはコートを脱ぎながら言いました。たしかに、今の時期に雪が降るほど寒いなんてことは今までなかったのです。
「そうかい? 俺は宝石の精霊だからな。寒さとか暑さは感じないんだ」
メノウはベリルからコート受け取りながら言いました。
「それはかわいそうね。暑いのも寒いのもとても素晴らしいのよ。私は大好きよ」
「なんか、言ってることがチグハグじゃ……」
メノウはため息混じりに答えました。
「そんなことないわ。冬は寒い。夏は暑いのが素晴らしいのよ。私、冬は大好きだわ。澄んだ冷たい空気を目一杯吸い込んで、ちょっと鼻の奥が痛くなる感じも好きよ」
「なら、なんで?」
「季節は移り変わるからいいのよ。ちょうどいい間隔で移り変わっていくの。冬の終わりに暖かさが恋しくなってくると春が来る。ずっと同じ季節だとまいっちゃうわ」
春を恋しんで窓の外をベリルは眺めます。そういうものかとメノウは思いながら開店の準備をはじめました。
「そういえば手紙が来ていたよ」
「まぁ。誰かしら?」
ベリルはメノウから便箋を受け取ると、机の上のペーパーナイフで封を切りました。中には綺麗なグリーンの装飾がされた手紙が入っています。
ベリルは手紙に目を落とします。
「ミイナからだわ」
ベリルは喜びました。ミイナは森の国のお姫様で、ベリルの大切なお友達です。
「それはいい。なんだって?」
メノウも手紙に書かれている事が気になるようです。
「今読むわね」
ベリルは手紙の内容がメノウにもわかるように、声に出して読んであげることにしました。
『ごきげんよう。石の国のベリル姫。まだまだ寒い日が続いてますが、病気になっていませんか? 森の国のみんなはとても元気です。王子様もベリルやメノウに会いたがってますよ。時間ができたら遊びに来てくださいね。最近はお花も贈れずすいません。全然暖かくならないからお花たちも困っているようです。いつもならお花畑も春のカラフルなお花たちで綺麗に彩られるはずなのですが、この寒さで咲くに咲けないようです。うちのお花屋さんもお客さんにお渡しできるお花がなくて困っています。早く暖かくなって、春のお花が咲いてくれるといいな……』
「やっぱり、この寒さは大変なんだね」
手紙を読み終わったベリルにメノウが言いました。
「そうね。ミイナも困っていたみたいだし、心配だわ……」
ベリルは心からミイナを心配していた。きっと、自分に何か力になれないかと考えていることをメノウは知っていました。
カランカラン
二人が考え込んでいると、お店の入り口のベルが乾いた音で鳴りました。
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宝石の持つ不思議な力が人々へ幸福をもたらす……素敵なお話ですね。
ベリル姫の優しさに、読んでいて心が温かくなりました。
ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。
子ども向けに書いてるので、なるべくハッピーになるように心がけてます。