最強の魔法使いは転生して後に冒険者パーティーを追放される

白檀

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7話 護衛任務

 一連の事件が解決した後、僕達はギルドの依頼を受けることになった。

 依頼内容はゴブリン退治、薬草の採取など、Cランクらしい依頼であった。

 それらの依頼を一つずつこなしていった。

「今日は護衛任務よ」

 クレアは言った。

 行商人が隣のトリムの街に向かうのに護衛を募集していたのだ。

 僕達は指定された場所に向かった。

 すると、他にも依頼をかけていたのか、別のパーティーがいた。

 どうやら、今回は合同での依頼となるようだった。

 集合時間になると行商人が挨拶をして来た。

 僕達は指定された馬車に乗り込んだ。隣の街と言っても結構な距離があるという。他には行商人の馬車、もう一つのパーティーが乗る馬車、それに荷馬車が2台。

 もう一つのパーティーのリーダーらしき人物が挨拶をしてきた。

「初めまして、俺は『疾風の翼』のリーダーをしているイアンという。よろしく」

 そういうと手を差し出して来た。

「僕は『漆黒の影』のニコルです。よろしく」

 そして差し出された手を握った。

 そして馬車に乗り込んで出発した。

 馬車の中ではなぜかみんなが僕に異様に密着して来た。馬車の向こうの席は空いているというのに……

「あの、近すぎるのですが……」

「馬車というのはこんなものよ」

「なんだ、ニコル、嫌なのか? 」

「こうしてると安心します」

 こうして気が落ち着かないまま、馬車の旅が続いた。

 そうして何日間か馬車に揺られていると、突然馬車が止まった。

「どうやらお出ましのようだな」

 アイリスはそう言うと馬車を出て行った。残った僕達もそれに続いて外に出た。

 アイリスは遠くを指差し、

「ほら、盗賊のお出ましだ」

 と言った。

 アイリスが指差した方向から男達の声や馬の走る音が聞こえてくる。

 周りを見渡すと『疾風の翼』が既に馬車を降りていた。

「これは、まずいことになったぞ。盗賊の数が多い……」

 イアンは腕を組んでそう言った。

 確かに音から察するに盗賊の数は数十人。人数的には対抗できない。

「ニコル、どうする? 」

 不安そうな目でクレアは僕を見つめてきた。

「大丈夫、いい方法があるよ」

 そう言って僕は手に軽く魔力を込めて、足元に魔法陣を作った。

「何をするのニコル?」

 クレアが言った。

 僕はそのまま魔法陣に魔力を注ぎ込む。すると魔法陣が光り輝きだした。

「ガルル」

 白煙とともに現れたのは巨大なフェンリルだった。あのダスティンが『先生』と呼んでいた男が出したフェンリルよりも数倍は大きい。あれが小さすぎたのさ。本来のフェンリルはこれぐらいの大きさだ。

「なっ……」

 周りを見ると皆が目を点にしていた。

「ニコル……」

 クレアは絶句していた。

「フェンリル、あの向こうにいる盗賊を倒せ」

「御意」

 するとフェンリルは盗賊へ向けて駆けて行った。

 遠くで男達の叫び声が響き渡った。

 ものの数分でフェンリルは帰って来た。

「主よ、果たして来たぞ」

 フェンリルはそう言うと頭を垂れた。フェンリルの体は返り血で赤く染まっていた。

 私はその頭を優しく撫でてあげた。

「よし、では主よ、出発しようぞ」

 そう言ってフェンリルは体を犬ぐらいに小さくした。

「何をしているんだ? 」

「我を連れて行きやすいように体を小さくしたのだ。ささ、馬車へ連れていくのだ」

「何を言っているんだ。いくら小さくなったってフェンリルを連れて行ける訳がないだろう。さっさと魔法陣に帰れ」

 強いショックを受けたフェンリルは、しかしとぼとぼと魔法陣に帰っていくのであった。

「……凄いと思っていたけど、ニコルは召喚魔法も使えるのね。それもあんな巨大なフェンリルを呼び出す程の……」

 クレアは言った。

「いや、これは頼もしいぞ、ニコルがいれば百人力だな」

 アイリスが言った。

「フェンリルさんを、もふもふしたかった……」

 シャルだけは少し違った感想を持ったみたいだ。

「これで盗賊は片付いたはず、進みましょう」

 僕はイアンにそう言って馬車に乗り込んだ。

 馬車が進んでいくと途中に血溜まりのような場所があり、盗賊達の死骸が散乱していた。

 僕がいなければ全員盗賊達にやられていただろう。そう考えると盗賊達の死骸には何の感情も起きなかった。

 それから馬車は道中を進む。

「でもイアンの召喚魔法凄かったね~」

 僕に抱きつきながらクレアは言った。

「今度はドラゴンを召喚して見せてくれ」

 アイリスが言った。確かにドラゴンは召喚できるが、場所がなあ。

「フェンリルさんのもふもふ」

 シャルは僕に膝枕をしてもらいながらフェンリルの事ばかり考えていた。

 そういえば、あのフェンリルもついて行きたそうだったな。何とか犬に偽装できれば連れて行ってやらないこともないだろうか……いや、召喚獣をずっと出しておくと魔力の消費が半端ないけど……できないこともないか……

 そんな事を話しているうちにトリムの街にたどり着いた。

 馬車を降りて行商人から依頼完了の書類を受け取って依頼完了だ。

 疾風の翼のリーダーに挨拶に行く。

「ああ、君達か、今回は世話になったな。また、どこかで会う事もあるだろう。その時はよろしくな」

 そう言って握手をして別れた。

「それで、クレア、これからはどうするんだ。ヨルの街に戻るのか? 」

「いや、このままトリムの街に留まろうと思うの。ここをしばらく拠点にしよう」

 確かにヨルの街は少し飽きた。それもいいだろう。

「さしあたっては今日泊まる宿屋を探さないとな」

 トリムの街の冒険者ギルドで依頼の報酬を受けた僕達は宿屋に向かった。

「4人部屋一つね」

 クレアが勝手に部屋を取っていた。

「ちょっと、何勝手に」

「もうとにかく決まったの。これは従ってもらいます! 」

 いつもにもないクレアの迫力に僕は押し切られてしまった。
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