転生した剣聖は最初から最強のようです

白檀

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2話 剣聖再び剣を握る

 私は5歳になった。自分自身の事もこの世界の事も色々と分かるようになってきた。

 私の今の名はレオン・エルドバーン。エルドバーン辺境伯の三男で父、母、それに兄が2人いる。弟はまだ生まれていない。かつて私がいた時代からは200年ほど経過しているようだ。

 転生して、かつての力が出せるかといえば、成長すれば可能だろう。色々と体を動かしてみたが問題なさそうだ。身体の素質も悪くない。魔術の才能もありそうだ。

 エルドバーン家では5歳になると木刀を贈られ剣士としての鍛錬が始まる。といっても本格的な鍛錬はもう少し先になるだろう。

 誕生日に贈られたそれを手にして屋敷を出る。木刀とはいえ剣は懐かしい。思えば随分と剣を振ったものだ。剣のみの人生と言ってよかった。これからもそうなるのだろう。他に生き方は知らないのだから。

 屋敷を出て庭に行くとすでに2人の兄が模擬戦を行なっていた。大柄な方は上の兄レッド9歳、やや細身の方は下の兄ヨハン8歳である。

「おりゃあああ!」

「とぅっ!」

 勇ましい掛け声が響く。白熱した試合が繰り広げられている。年齢にしてはレベルが高いようだ。レッドが打ち込むのをヨハンが受け流す、そんな試合展開であった。

 白熱する2人の試合の邪魔にならないよう庭の隅に移動し、素振りを始めようとすると、後ろから声をかけられた。

「レオンが剣を振るのは今日が初めてだろう。私が少し教えてやろう」

 父のケイオス・エルドバーンであった。大柄な体躯に鋭い眼光、そして威圧感。歴戦を物語る傷跡。辺境伯としてかなりの戦いをくぐり抜けたのであろう。

「レオン、剣の握り方はこうだ。強く布を絞るように」

「こうですか?」

「そうだ、なかなかいいぞ。そしてそのまま振りかぶって、振り下ろす。これが基本の1の型だ」

「わかりました」

そして振りかぶり、えい!と声を上げて剣を振り下ろす。幾度となく行った動き。老いてからはできなかったその動き。歓喜が身体中を駆け巡る。

「いいぞ、しばらく続けなさい」

しばらく1の型を繰り返す。楽しい。いつまでもこうしていたい。

「なかなか筋が良いな。変な力みもない」

 ケイオスは腕を組んで感心したような顔をした。

「基本の型は7つある。今からそれを順番に見せる。この7つの型が全てできれば模擬戦だ」

 ケイオスはそう言うと7つの型を順番に見せてくれた。

 ケイオスの型を見て思ったのは、この7つの型は自分が考案して初伝と称した7つの型に相似したものであるということである。

 しかし細かなところが少し違い、より洗練された印象を受けた。型には中伝、奥伝もあるのだろうか?ケイオスに聞いてみた。

「他にも型はあるのですか?」

「型は他にもたくさんある。初代剣聖が編み出した剣技を、2代剣聖が発展させ、これが全ての剣技の基礎となった。2代剣聖は剣技に型を作り、学びやすいものにした。その後、その剣技を改良して様々な技が編み出された。今回の型は2代剣聖が考えた型の中でも初歩の型、初伝と呼ばれる型が元になっている」

 初代剣聖と2代剣聖とは、あまりにも気になる。なんだか聞くのが怖いような気もするが、聞いてみることにする。

「初代剣聖と2代剣聖の名はなんと言うのですか?」

「初代剣聖はレイチェル・ミッドガル。2代剣聖はレオン・デイマー。2代剣聖の名にあやかってお前の名を付けたんだ」

 レイチェル・ミッドガル!初代剣聖はレイチェル・ミッドガルなのか。そうなると当然2代剣聖が前世の自分になる。一体今は何代なのだろうか?

「今の剣聖は何代なのですか?」

「15代剣聖が引退してその後10年近く空位となっている。どうも後継者に足る人物がいないらしい」

 15代!随分と続いたものだ。子孫のことも気になるな。

「初代のミッドガル家と2代のデイマー家はその後どうなったのですか?」

「ミッドガル家はこれまでに何人もの剣聖を排出している名門一族で爵位は男爵、今は当主の長男が王国騎士団長をしている。デイマー家はもう剣の世界ではあまり聞かないがデイマー伯爵家として領地を持っている。デイマー伯爵家とは当家ともそれなりに交流があるからそのうち会う機会もあるだろう」

 どうやら、どちらの家も無くなったりはしていないようで安心した。弟子達の行方も気になるが折を見て聞いてみることにしよう。

 その日から兄達と一緒に型の稽古をし、兄達が模擬戦をする間は庭の隅で一人剣を振った。

 基本の7つの型はすぐにできるようになったので中伝、そして奥伝の型をひそかに練習する。弟子達に伝えていない秘伝と呼んでいた技ができるようになるのは、まだ先のことだろう。
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