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砂漠を都市にするまで砂漠から出ることは許さん――王の命令――
――フリートヘルム魔王の第一王子、クルトの登場――
チビ達とコツコツやってきたおかげで、数万人単位を住まわせられる街になっていた。上下水道をまともに使えるようにしたりとか井戸や川を作ったりとか。今が人生で一番充実してるかもしれないな。
ほわーんとしていた俺の頭上から声が降ってきた。
「私はフリートヘルム魔王の第一王子、クルトと申します! 魔物のウェーブを止めた全ての神々に愛されし勇者殿と話がございます!」
はるか頭上、シールドの上に立った俺と同じ年ぐらいの男性が、街中に響くような声で名乗りをあげた。
頭の両脇にねじれた角が生えてるが人間と変わりないように見える。
「魔王の王子だと……? 軍勢も連れずに1人で来たと言うのか?」
「角さんがピカピカできれいのーー」
レオンハルトさんが驚き、おそらく状況が判ってないのだろうユーチャが素直に褒める。
確かにグレーの髪も似合って綺麗だが、それ所じゃないんだけどな。
街の人達もぽかんと空を見上げていた。
「ハーヴェルさん、俺をシールドの上まで連れて行ってくれませんか?」
「ああ、いいよ」
ハーヴェルさんが背中に手をやると、黒い翼が生えた。俺を背後から抱きしめて空に飛んでいく。
あやすで飛んでいるちび達と一緒にシールドの外へ出る。
「一時的にシールドに立てるようにするの」
ユーチャが言うと、水のしずくが落ちたかのようにシールドが揺れ、青く光った。
ゆっくりと降り立つ。
「魔王の後継者が手勢も連れず何の用だ?」
俺が問うと、青年は少し間を開け、言った。
「私たちが住むパーティエン国と、貴殿ら人間との同盟を申し込みに来ました」
「え?」
思いもよらない言葉に、俺は呆然としてしまった。
「貴殿の実力は存じております。隣に立つ召喚獣の力も。魔王の息子と言えども、私では三分戦うのが精いっぱいでしょう。つまり、全面降伏というわけでございます」
「……俺たちと戦わないということですか?」
それは願ったりかなったりだ!
「なぜかな? 魔王が急に人間と同盟を結びたがるなんて聞いたことがないよ。ひょっとして、君たちは今窮地に立たされているんじゃないか?」
ハーヴェルさんの問いかけにクルトが息をのむ。
「『終焉を告げる黒使』様の目はごまかせませんか…。今私たちは魔王ガルダの侵攻を受けております。この国も同じではありませんか?」
確かに、蝶になったあの女が最後に残した言葉にあった。魔王ガルダ……!
「ガルダ率いるフォリクス帝国は大国で……軍隊も強く、私たちだけでは侵攻を防ぐことはできません。ですので同じ敵を持つ同志として、手を組みたいんです」」
「君の国ってどれぐらいの広さがあるんですか?」
俺が問うと、
「この街と王都、そしてギムネット周辺までです」
ギムネットって、最初に住んでた街だよな。せ、せまい……。この国全域じゃないのかよ。
「魔素吐きを大量に送ってこの国を汚染しようとしているのもガルダです。どうか、力をかしてください」
クルトがきっと顔を上げた。
「うーん、それを信じる確証がないな。実は君が魔素吐きを送っていたと言うオチかもしれないし」
相手は魔族だ。つい疑ってかかってしまう。
「疑うのも当然だと思っております。ですから、私が勇者殿に話を付けることにしたのです。手を」
手を差し出される。
それをそっと握り返すと、走馬灯のようにクルトの記憶が流れ込んできた。
「私は人間に危害を加えたりはしない――勇者様に誓います」
確かに、クルトの中に人に対する悪意はなかった。
「わかった、君の言葉を信じるよ。ガルダ討伐に力を貸すことも約束します」
「なるべく早くお願いいたします。こちらはこちらで、新しいダンジョンをここらに作って魔素をそちらに集め、魔獣を減らすよう尽力いたします」
お、それはありがたいぞ! 魔素って人の悪意からも出るっていうから、一か所に集められれば危険が減る!
「では、失礼いたします」
クルトが飛んでいく。俺はまたハーヴェルさんに下ろしてもらったのだった。
「勇者様、どうするんだい?」
「まさか本当に魔族と組むのか?」
「そんな不安だよ、あいつらが人を殺さないなんて信じられない」
市民の皆様に口々に言われる。
この街の周りはレオンハルトさんやウルフさんたち、戦闘ジャンキーシスターマリアさん、一緒にダンジョン攻略したクロコダイルさん達で巡回してもらい、モンスターの駆除に励んでいた。
が、その数が多いことは確かだった。今は街だけではなく、道にも数キロに渡ったシールドを張っているぐらいだ。(ちなみにユーチャの「えいや」の一言でシールドが貼られた)
本当にダンジョンが出来てモンスターが減るならありがたい。
「ダンジョンが出来てから考えましょう。それまでは街の仲間も道もシールドで守られているので安心して生活してください」
「それならいいけど……」
「ユイ!」
レオンハルトさんが速足で向かってくる。
「先ほどの魔族は……!」
「パーティエン国の代表としていらっしゃいました。ガルダとの戦いに同盟を結びたいと」
「魔族と手を組むのか……まぁそれもありかもしれんな……」
「そうですね。大魔王が居た大魔深層に『神に愛されし勇者』が降臨させた中には魔王も居た。魔王だからと全員が悪ではありません」
腕を組んだレオンハルトさんにハーヴェルさんがいう。
「とにかく今日は休みましょう。皆さんも体を休めて」
「ふぅ、面倒なことになりそうだ……」
「お前はいつも面倒だろうが」
「まさか魔族が同盟を希望してくるなんてねえ」
終焉を告げる黒使の人たちも帰っていく。俺たちもハーヴェルさんとイリアさんの後ろに続いた。
「お休み」
「おやすみなさい」
挨拶をして部屋に戻る。
風呂に入る習慣の為に、子供たちをお風呂に入れて大騒ぎし、ご飯でから揚げの取り合いをするのを仲裁する。
そして寝付いた深夜、小さなノックがした。
気づいたのは俺だけだったようでレオンハルトさんも眠っている。
ドアを開けるとマリアさんが立っていた。
何か話をしたいようだ。
部屋を出てそっとドアを閉める。
「少し話をいいかしら」
「え、ええ……?」
この砂漠でも修道服を着たマリアさんの背中に続いて広間を歩く。
そして設置してあるテーブル席へと座った。
「さっきの魔族との話に関して話があるの」
そうだ、この人は聖女だった。
戦闘ジャンキーのイメージが強すぎて忘れてた。
「貴方は相手の要望を呑むつもり? それとも断るつもりかしら?」
「飲むつもりでいます」
あの魔族からは悪意は感じなかった。本気で自分の領地を守ることに尽力しているようだった。
それに、ダンジョンを作ってくれると言うのは魅力的だ。魔素がダンジョンに吸収されればこの辺りのモンスターの数も激減するだろう。
「私は聖女よ。その気になれば祈りで相手にダメージを与えることができる。でも、あの魔族には通用しなかったの。私の祈りに反応さえしなかったわ。少なくとも私達に敵意は無いと証明してあげる」
「ありがとうございます。聖女様に断言してもらえると心強いです」
「ユイ!」
今度はルカがつかつかと歩み寄ってきた。夜のパトロールをしていたんだろうか。
「さっきの魔族の話だけど、ホントに受けるつもりか?」
「受けようと思う。危険を冒して俺たちに会いに来たぐらいだしな」
「でも、騙されてるかもしれない! 魔族は平気で嘘をつくし、仲間同士でも簡単に裏切り合う。たとえあの男が味方だったとしても、他の魔族全部が同じ意見とは限らない」
「さすがイシュメール地方を仕切る豪族のご令息。よくご存じなのね」
へー、ルカってお坊ちゃんだったのか。
「それでも魔素吐きみたいな厄介なモンスターを増やしてる魔族が居るはずなんだ。俺は行ってみようと思うよ。俺と、レオンハルトさんで」
「じゃあ僕も連れて行ってくれ!」
「いや、ルカには俺たちが留守中のこの街を守って欲しい。頼んだ」
「………………そういう風に言われたら反論できないじゃないか……!」
ルカは下唇をぎゅ、と噛んだ。
ほわーんとしていた俺の頭上から声が降ってきた。
「私はフリートヘルム魔王の第一王子、クルトと申します! 魔物のウェーブを止めた全ての神々に愛されし勇者殿と話がございます!」
はるか頭上、シールドの上に立った俺と同じ年ぐらいの男性が、街中に響くような声で名乗りをあげた。
頭の両脇にねじれた角が生えてるが人間と変わりないように見える。
「魔王の王子だと……? 軍勢も連れずに1人で来たと言うのか?」
「角さんがピカピカできれいのーー」
レオンハルトさんが驚き、おそらく状況が判ってないのだろうユーチャが素直に褒める。
確かにグレーの髪も似合って綺麗だが、それ所じゃないんだけどな。
街の人達もぽかんと空を見上げていた。
「ハーヴェルさん、俺をシールドの上まで連れて行ってくれませんか?」
「ああ、いいよ」
ハーヴェルさんが背中に手をやると、黒い翼が生えた。俺を背後から抱きしめて空に飛んでいく。
あやすで飛んでいるちび達と一緒にシールドの外へ出る。
「一時的にシールドに立てるようにするの」
ユーチャが言うと、水のしずくが落ちたかのようにシールドが揺れ、青く光った。
ゆっくりと降り立つ。
「魔王の後継者が手勢も連れず何の用だ?」
俺が問うと、青年は少し間を開け、言った。
「私たちが住むパーティエン国と、貴殿ら人間との同盟を申し込みに来ました」
「え?」
思いもよらない言葉に、俺は呆然としてしまった。
「貴殿の実力は存じております。隣に立つ召喚獣の力も。魔王の息子と言えども、私では三分戦うのが精いっぱいでしょう。つまり、全面降伏というわけでございます」
「……俺たちと戦わないということですか?」
それは願ったりかなったりだ!
「なぜかな? 魔王が急に人間と同盟を結びたがるなんて聞いたことがないよ。ひょっとして、君たちは今窮地に立たされているんじゃないか?」
ハーヴェルさんの問いかけにクルトが息をのむ。
「『終焉を告げる黒使』様の目はごまかせませんか…。今私たちは魔王ガルダの侵攻を受けております。この国も同じではありませんか?」
確かに、蝶になったあの女が最後に残した言葉にあった。魔王ガルダ……!
「ガルダ率いるフォリクス帝国は大国で……軍隊も強く、私たちだけでは侵攻を防ぐことはできません。ですので同じ敵を持つ同志として、手を組みたいんです」」
「君の国ってどれぐらいの広さがあるんですか?」
俺が問うと、
「この街と王都、そしてギムネット周辺までです」
ギムネットって、最初に住んでた街だよな。せ、せまい……。この国全域じゃないのかよ。
「魔素吐きを大量に送ってこの国を汚染しようとしているのもガルダです。どうか、力をかしてください」
クルトがきっと顔を上げた。
「うーん、それを信じる確証がないな。実は君が魔素吐きを送っていたと言うオチかもしれないし」
相手は魔族だ。つい疑ってかかってしまう。
「疑うのも当然だと思っております。ですから、私が勇者殿に話を付けることにしたのです。手を」
手を差し出される。
それをそっと握り返すと、走馬灯のようにクルトの記憶が流れ込んできた。
「私は人間に危害を加えたりはしない――勇者様に誓います」
確かに、クルトの中に人に対する悪意はなかった。
「わかった、君の言葉を信じるよ。ガルダ討伐に力を貸すことも約束します」
「なるべく早くお願いいたします。こちらはこちらで、新しいダンジョンをここらに作って魔素をそちらに集め、魔獣を減らすよう尽力いたします」
お、それはありがたいぞ! 魔素って人の悪意からも出るっていうから、一か所に集められれば危険が減る!
「では、失礼いたします」
クルトが飛んでいく。俺はまたハーヴェルさんに下ろしてもらったのだった。
「勇者様、どうするんだい?」
「まさか本当に魔族と組むのか?」
「そんな不安だよ、あいつらが人を殺さないなんて信じられない」
市民の皆様に口々に言われる。
この街の周りはレオンハルトさんやウルフさんたち、戦闘ジャンキーシスターマリアさん、一緒にダンジョン攻略したクロコダイルさん達で巡回してもらい、モンスターの駆除に励んでいた。
が、その数が多いことは確かだった。今は街だけではなく、道にも数キロに渡ったシールドを張っているぐらいだ。(ちなみにユーチャの「えいや」の一言でシールドが貼られた)
本当にダンジョンが出来てモンスターが減るならありがたい。
「ダンジョンが出来てから考えましょう。それまでは街の仲間も道もシールドで守られているので安心して生活してください」
「それならいいけど……」
「ユイ!」
レオンハルトさんが速足で向かってくる。
「先ほどの魔族は……!」
「パーティエン国の代表としていらっしゃいました。ガルダとの戦いに同盟を結びたいと」
「魔族と手を組むのか……まぁそれもありかもしれんな……」
「そうですね。大魔王が居た大魔深層に『神に愛されし勇者』が降臨させた中には魔王も居た。魔王だからと全員が悪ではありません」
腕を組んだレオンハルトさんにハーヴェルさんがいう。
「とにかく今日は休みましょう。皆さんも体を休めて」
「ふぅ、面倒なことになりそうだ……」
「お前はいつも面倒だろうが」
「まさか魔族が同盟を希望してくるなんてねえ」
終焉を告げる黒使の人たちも帰っていく。俺たちもハーヴェルさんとイリアさんの後ろに続いた。
「お休み」
「おやすみなさい」
挨拶をして部屋に戻る。
風呂に入る習慣の為に、子供たちをお風呂に入れて大騒ぎし、ご飯でから揚げの取り合いをするのを仲裁する。
そして寝付いた深夜、小さなノックがした。
気づいたのは俺だけだったようでレオンハルトさんも眠っている。
ドアを開けるとマリアさんが立っていた。
何か話をしたいようだ。
部屋を出てそっとドアを閉める。
「少し話をいいかしら」
「え、ええ……?」
この砂漠でも修道服を着たマリアさんの背中に続いて広間を歩く。
そして設置してあるテーブル席へと座った。
「さっきの魔族との話に関して話があるの」
そうだ、この人は聖女だった。
戦闘ジャンキーのイメージが強すぎて忘れてた。
「貴方は相手の要望を呑むつもり? それとも断るつもりかしら?」
「飲むつもりでいます」
あの魔族からは悪意は感じなかった。本気で自分の領地を守ることに尽力しているようだった。
それに、ダンジョンを作ってくれると言うのは魅力的だ。魔素がダンジョンに吸収されればこの辺りのモンスターの数も激減するだろう。
「私は聖女よ。その気になれば祈りで相手にダメージを与えることができる。でも、あの魔族には通用しなかったの。私の祈りに反応さえしなかったわ。少なくとも私達に敵意は無いと証明してあげる」
「ありがとうございます。聖女様に断言してもらえると心強いです」
「ユイ!」
今度はルカがつかつかと歩み寄ってきた。夜のパトロールをしていたんだろうか。
「さっきの魔族の話だけど、ホントに受けるつもりか?」
「受けようと思う。危険を冒して俺たちに会いに来たぐらいだしな」
「でも、騙されてるかもしれない! 魔族は平気で嘘をつくし、仲間同士でも簡単に裏切り合う。たとえあの男が味方だったとしても、他の魔族全部が同じ意見とは限らない」
「さすがイシュメール地方を仕切る豪族のご令息。よくご存じなのね」
へー、ルカってお坊ちゃんだったのか。
「それでも魔素吐きみたいな厄介なモンスターを増やしてる魔族が居るはずなんだ。俺は行ってみようと思うよ。俺と、レオンハルトさんで」
「じゃあ僕も連れて行ってくれ!」
「いや、ルカには俺たちが留守中のこの街を守って欲しい。頼んだ」
「………………そういう風に言われたら反論できないじゃないか……!」
ルカは下唇をぎゅ、と噛んだ。
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