58 / 171
ロリコン万堂……
英雄……🎼🎶🎹🎶
しおりを挟む
『♪♪♪♪♪……』
こんなに胸踊ることがあるだろうか。
私のためのピアノだ。誰に気兼ねもなくピアノを弾ける。
アキラが私のために取り寄せてくれたピアノだ。
中古だと言うが関係ない。最高だ。
「フフ……、いいのか。自由に弾いても」
ピアノの前へ座ると、自然に顔がほころんでくる。
ゆっくり指先で鍵盤の感触を確かめた。
「ああァ、どうぞ。レイラのために買ったんだからな。どうせ弾けると言っても『猫踏んじゃった♪』くらいだろうけど」
相変わらずアキラは笑みを浮かべ上から目線だ。
「じゃァ……、一発、ビビんなよ!!」
久しぶりなので嬉しくて仕方がない。
「おいおい、お嬢様が一発とか、ビビんなとか使うかよ」
さっそく言葉遣いにクレームがついた。
「フフゥン、じゃァショパンのピアノの曲『英雄』だ!!」
思いっきり好きなだけピアノが弾けるんだ。
楽しい。こんなに楽しい事は久々だ。
「ショパンの英雄……!!」
アキラは、まさかと言う顔だ。
『♪♪♪♪♪♪……』
私の大好きなショパンの『英雄』を弾いてみせた。
昨夜、クソ親父たちにコスプレイベントで暴行されかけた事件も、殴られ蹴られした少女時代も。
ピアノを弾いている時だけ全て忘れられる。
『♪♪♪♪♪……』
嫌な事も蔑まれて、イジメられた事も今の私には関係ない。
ピアノを弾いている時だけが唯一、何も考えずに済んだ。
「うッ、ううゥ……」アキラも圧倒されている。
そりゃァ、そうだろう。私がピアノを弾けると言っても、『猫踏んじゃった♪』くらいだと思っていたはずだ。
それがショパンの『英雄』を弾いてみせたのだ。
驚くのが当然だろう。
もちろんあのクソ親父がピアノを買ってくれるはずもない。
それどころか、ピアノ教室へ通う金もないので習ったことすらない。
完全な独学だ。しかも音符もろくに読めないので、全て耳コピして覚えた。
だいたい一度聞けば、何とかコピーは出来る。
それが私の特技だ。しかし苦手な曲もある。
『ダッダァーン♪♪』
「うゥ……!!」
ピアノを弾き終わった途端、アキラも唖然として声にならないようだ。
「どうだった。アキラ?」自信満々に訊いた。
「えェ……?」アキラも放心状態だ。
「良かったのか。それとも悪かったのか」
別にアキラの評価など訊く必要もない。
カレの表情を見れば一目瞭然だ。
「……」アキラは驚きの表情のまま静止している。
「いや、済まない。ルナ……、いやレイラ。これほどとは思わなかったよ」
レイラと呼ぶ約束だったのに、それすらも忘れるほど驚いていた。
「フフゥン、それッて褒め言葉だよね」
「ああァ、もちろんだ。レイラお嬢様と入れ代わる最大のネックがピアノだと思っていた……」
アゴでピアノを差した。
「どうだ。誤魔化せるか」
「いやァ……、まァ、オレはピアノに関しては素人だからな。プロか聞けば違うと思うかもしれないが。
しかし問題はリストだ」
「リスト……、『ラ・カンパネラ』か……!!」
聞いた途端、眉をひそめた。
だが、どんなに練習しても無理なんだ。あの曲だけは。
苦手な曲のひとつだ。
「そうだ。お嬢様が得意としている曲だ」
「得意……」レイラが。
あの難しい曲を弾けるのか。
「腱鞘炎だとか、言って……。逃げ回るつもりだったが、いずれは父親の龍崎家当主の前で披露しなければならない」
「龍崎仁の前で……。リストのラ・カンパネラを」
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
こんなに胸踊ることがあるだろうか。
私のためのピアノだ。誰に気兼ねもなくピアノを弾ける。
アキラが私のために取り寄せてくれたピアノだ。
中古だと言うが関係ない。最高だ。
「フフ……、いいのか。自由に弾いても」
ピアノの前へ座ると、自然に顔がほころんでくる。
ゆっくり指先で鍵盤の感触を確かめた。
「ああァ、どうぞ。レイラのために買ったんだからな。どうせ弾けると言っても『猫踏んじゃった♪』くらいだろうけど」
相変わらずアキラは笑みを浮かべ上から目線だ。
「じゃァ……、一発、ビビんなよ!!」
久しぶりなので嬉しくて仕方がない。
「おいおい、お嬢様が一発とか、ビビんなとか使うかよ」
さっそく言葉遣いにクレームがついた。
「フフゥン、じゃァショパンのピアノの曲『英雄』だ!!」
思いっきり好きなだけピアノが弾けるんだ。
楽しい。こんなに楽しい事は久々だ。
「ショパンの英雄……!!」
アキラは、まさかと言う顔だ。
『♪♪♪♪♪♪……』
私の大好きなショパンの『英雄』を弾いてみせた。
昨夜、クソ親父たちにコスプレイベントで暴行されかけた事件も、殴られ蹴られした少女時代も。
ピアノを弾いている時だけ全て忘れられる。
『♪♪♪♪♪……』
嫌な事も蔑まれて、イジメられた事も今の私には関係ない。
ピアノを弾いている時だけが唯一、何も考えずに済んだ。
「うッ、ううゥ……」アキラも圧倒されている。
そりゃァ、そうだろう。私がピアノを弾けると言っても、『猫踏んじゃった♪』くらいだと思っていたはずだ。
それがショパンの『英雄』を弾いてみせたのだ。
驚くのが当然だろう。
もちろんあのクソ親父がピアノを買ってくれるはずもない。
それどころか、ピアノ教室へ通う金もないので習ったことすらない。
完全な独学だ。しかも音符もろくに読めないので、全て耳コピして覚えた。
だいたい一度聞けば、何とかコピーは出来る。
それが私の特技だ。しかし苦手な曲もある。
『ダッダァーン♪♪』
「うゥ……!!」
ピアノを弾き終わった途端、アキラも唖然として声にならないようだ。
「どうだった。アキラ?」自信満々に訊いた。
「えェ……?」アキラも放心状態だ。
「良かったのか。それとも悪かったのか」
別にアキラの評価など訊く必要もない。
カレの表情を見れば一目瞭然だ。
「……」アキラは驚きの表情のまま静止している。
「いや、済まない。ルナ……、いやレイラ。これほどとは思わなかったよ」
レイラと呼ぶ約束だったのに、それすらも忘れるほど驚いていた。
「フフゥン、それッて褒め言葉だよね」
「ああァ、もちろんだ。レイラお嬢様と入れ代わる最大のネックがピアノだと思っていた……」
アゴでピアノを差した。
「どうだ。誤魔化せるか」
「いやァ……、まァ、オレはピアノに関しては素人だからな。プロか聞けば違うと思うかもしれないが。
しかし問題はリストだ」
「リスト……、『ラ・カンパネラ』か……!!」
聞いた途端、眉をひそめた。
だが、どんなに練習しても無理なんだ。あの曲だけは。
苦手な曲のひとつだ。
「そうだ。お嬢様が得意としている曲だ」
「得意……」レイラが。
あの難しい曲を弾けるのか。
「腱鞘炎だとか、言って……。逃げ回るつもりだったが、いずれは父親の龍崎家当主の前で披露しなければならない」
「龍崎仁の前で……。リストのラ・カンパネラを」
☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚☆゚.*・。゚
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる