【都市伝説殺人事件】 クッキー様 ！ とろけるように甘く謎を解決《とい》てください！ 紅い月夜に死者が舞う！！

忌まわしき過去

♯７ 悲鳴

　しばし私は茫然としてスマホの着信画面を見つめたまま､身動きひとつ取れずにいた。

　めまいがしてきそうだ。




　カレを……。



　一刻も早くブラディ･ジャスティスを見つけ出して捕まえなければならない。
　さもなければ、私が殺されてしまう。


　マジか。
　いったい誰なのよ。ブラディジャスティスは。
　ストーカーの清川仁か。
　それとも蒼井正義の関係者か。
　真島真二郎か。
　まだ他にも､誰かいるのか。
　



　どれくらい経ったのだろう。
　ベッドへ横になり､ボーッとスマホを眺めていた。




　やがてネットニュースが流れてきた。



「ひィ……！！」
　そのニュースを見て､思わず私は息を飲んだ。

　



「キャァァァァァーーーー……！！」
　深夜にも関わらず､金切り声を上げてしまった。
　まさに闇夜を切り裂くような悲鳴だ。




　ここは､クッキー様のお屋敷のゲストルームだ。

　悲鳴を聞きつけ､クッキー様も慌てて自分の寝室のドアを開け廊下へ駆け出した。


『どうしました！！  ミオさん！！』　
　すぐに､心配してクッキー様が駆けつけてきた。

　ゲストルームのドアノブを回そうとしたが､内鍵が掛かっているので開かない。
　虚しくガチャガチャと音を立てるだけだ。


「ミオさん！！　九鬼神です。何かありましたか」
　仕方なくクッキー様はドアをドンドンと叩いて反応を確かめてくる。



「うッううゥ……」
　なんとか覚束おぼつかない足取りで私はドアまでたどり着き､内鍵を開けようとした。
　しかし手が震えてなかなか鍵を開けられない。

　金属どうしが､ぶつかるガチャガチャと言う音だけが響いた。




『ミオさん！！  大丈夫ですか。早く開けて下さい！！  九鬼神です。ミオさん！！』
　必死にクッキー様は急せかすように私のコトを呼んでいた。


　向こうからも必死にドアノブを回そうとしている。
　それだけ私のコトを心配してくれているのだろう。




「はッハイ……」
　ようやく内鍵を解錠とき､ドアを開いた。



「うッううゥ､ミオさん！！  どうしました。まさかストーカーが」
　間髪入れず､クッキー様は私を抱きしめゲストルームの中を確かめた。


　厚い彼の胸板に私の柔らかな胸の膨らみが押しつけられた。
　


「ち､違うンです！！　ストーカーじゃなくッて」
　私は何度も頭かぶりを振った。









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