【都市伝説殺人事件】 クッキー様 ！ とろけるように甘く謎を解決《とい》てください！ 紅い月夜に死者が舞う！！

横須賀へ✨✨✨

清川の屋敷✨✨✨

「どういうことなんですか。どうして本城奈々美さんは､飯沼たちに殺されたんですか」
　まるで底なし沼へ落ち込んだようだ。


　必死に藻掻いても藻掻いても深みへハマっていく。





「『紅い月夜のパーティ』だよ」
　鰐口は重い口を開いた。


「ええェ……、なんのパーティですッて」
　『紅い月夜のパーティ』ッて。
　いったいなんのコト。



「彼女は……、本城奈々美は『紅い月夜のパーティ』の生け贄にされたんだ」
　鰐口はつらそうな顔でつぶやいた。



「え、生け贄……？  なんなんですか。それッて！！
　『紅い月夜のパーティ』ッて何なんですか」
　私は喚き立てた。
　



『紅い月夜に気をつけろ』
　不意にブラディ ジャスティスの声が脳裡をよぎった。

　一人では立っていられない。
　サッとクッキー様が私を横から抱くように支えてくれた。




「エクスタシーだよ」

「えッ、エクスタシー……」なにそれ。エッチなワードだけど。
　

「なるほど､いわゆる違法ドラッグの密売ですか」
　クッキー様が説明した。

「違法ドラッグ……？」何それ。



「ああァ、紅い蜘蛛……､レッドスパイダーの連中は､覚せい剤などを使って盛り上がっていたんだ。
　もちろん隠語だ。飯沼や吉木公平たちは『紅い月夜のパーティ』と称して､ドラッグパーティをしていたんだ。エクスタシーッて言うのはドラッグの一種さ」



「それで奈々美さんは､その犠牲者にされたんですね」
　クッキー様がつぶやいた。


「犠牲者……」なんてコトを。



「ああァ、『パンドラ』のキャバ嬢､三隅茜が手引きしたらしい」


「な､なんですッて……、『パンドラ』のキャバ嬢？」
　そうか。どこかで聞いた店の名前だと思ったけど。
　姉のリオが事情聴取に現れた時に聞いたキャバクラ店だ。


　確か吉木公平が殺害され､その遺体の第一発見者の麻見萌絵も『パンドラ』でキャバ嬢として働いていたらしい。



「それで、三隅茜さんも殺されたのですね」
　クッキー様が辛そうに訊いた。



「ああァ……、三隅茜の手引きで拉致された本城奈々美は飯沼や吉木公平らにエクスタシーを射たれ暴行されたんだ」



「ぬうゥ、違法ドラッグで……」卑怯な奴らだ。
　
　恋人がそんなコトで乱暴され､挙げ句に自殺してしまったら仕返しをしたくなるのは当然かもしれない。



「それが原因で亡くなった……」
　クッキー様も眉をひそめた。


「ああァ、その復讐を……」
　コワモテの鰐口警部がそこまで言うと突然､二階から怒号と悲鳴が聞こえた。


「わァァァー！！」
「キャァァァァーー！！」


「なッ！！」一斉に全員が二階を見上げた。

「ワニさん！居ました！ 二階の隠し部屋に女が！」
　新人刑事の日吉の声だ。激しく女性と争っているようだ。



「退けェ……！  退いてよォ！！」
　女性が凶器のナイフを振り回し二階から駆け降りて来た。


　私は､彼女の顔を見て驚いた。
　

「あァ！！　あなたは美香さん！」
　シェアハウスの住人の立花美香だ。なんで彼女がここに。
　清川仁の屋敷にいるのだろう。


「うッううゥ……！  ミオ！」
　少し美香が驚いた隙に､クッキー様が私の前に立ちガードしてくれた。

　二階からは日吉が追いかけて、一階には私たちがいるので立花美香は階段の途中で挟まれた恰好だ。








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