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48話
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私は王家から来たという手紙を裏切り者のミサから受け取り、すぐにミサを外に出した。
ミサが外に出て、部屋から離れた事を『身体強化』でミサの位置を把握しているフィーナに確認してから、手紙の封を切った。
手紙は登城の件での謝罪から始まっていた。
大まかな内容としては、登城させておいて城に入れなかった事に対する詫びと入れなかった門兵並びに門兵へと指示を出していた騎士の処分、次の登城のタイミングは明日の朝一番となっていた。
登城の件に関して言えば、予想通りの結果だった。
確かに私達を城に入れないとするなら、かなりの権力者が関わっているが、その権力者が切る人間を用意してるのは必須事項。
元々、仮に私と敵対している或いは追い落としたい権力者だとしても、この件で落とせると思える程、貴族社会は甘くない。
貴族社会では、確かに落ちる時は一瞬で落ちるけど、権力者であるほど、その一瞬を作り出すのが難しい。
更に言えば、門兵はとばっちりだろうけど、騎士は確実にその権力者側の人間だろうから、名前くらいは知りたかった。
いや、厄介者や嫌われ者の左遷の理由とされた可能性もなくはないから、そこまでの意味はないか。
まあ、もう同じ手は使えないだろうから、そこだけでも良しとしよう。
次に明日の登城に関して。
明日は元々学園が休みなので良いとしても、朝一番とは中々思い切ったわね。
朝一番の時間に登城させる場合は、重要な話をする事の意思表示となる。
今回の場合は前回の登城の際の件、それとフィーナの今後と私の大臣就任に関しての事だろう。
フィーナは黒色の魔眼の為、王家も手放したくはないだろうけど、アリアと魔眼保護大臣というカードを手に入れた今なら上手くやれば、総取りする事が出来るかもしれない。
他の話がありえるとすれば、『黒の翼』関連か学園での振る舞いに関する話だろう。
なんにせよ、総取りが出来るなら、総取りするに越した事はない。
私がそう考えている中、フィーナがアリアに軽い指導をしていた。
「基本的に貴族の方は上下関係に厳しいです。もちろん、そうでない方も居ますが、厳しい方しか居ないと思って生活するように。
そうする事が貴族の方の顔を立てることになり、ひいてはアリア自身を守る事に繋がります。分かりますね?」
「はい、フィーナ先生!!」
「えっと、二人とも何してるの?」
私は心得的な何かをアリアに教えていたフィーナに質問した。
すると、アリアの方を向いていたフィーナがこちらを向き、説明した。
「アリアは今後、貴族の方と話す事が増えるでしょうから、その際に不快にさせないようにする為の指導です」
「指導?敬語も出来ていたし、仕草は貴族の振る舞いと魔眼所持者の振る舞いは違うから、今の時点で多くを指導する事はないでしょ?」
「いえ、どうしても平民だと様々な物が雑になりがちですから、今の時点から指導しても遅いくらいです。ただアリアが他の平民と比べて、仕草が綺麗なので、そう見えていないだけですね。
そういう意味では、アリアは貴族の振る舞いの指導を受けていた可能性もありますね」
「アリアが?」
「はい」
私とフィーナが一緒にアリアを見ると、アリアはビクリと体を反応させて、首を横に振った。
「えっと、そんな事は無いと思いますけど、私の家の近くに頭の良いお爺さんが居たんです」
「頭の良いお爺さん?」
「はい、王都は貴族様が多いので、多少は言葉使いも丁寧な方が、良い仕事ににも就けると教えて貰ってたんです」
「そうなの。まあ、明日の登城の際の話の動き方によるけど、魔眼所持者の振る舞いを教えるから、覚えてね」
「え?魔眼所持者の振る舞いですか?」
「ええ、特に貴方は黒色の魔眼所持者よ。つまり貴方は相応の権力を持つ場合があるし、貴女の魔法が強い場合は子爵家以下の当主相手に対して、相応の態度を取る必要があるの。
だから、早速今日からスパルタに教えていくから、頑張ってね?」
「は、はい。分かりました」
私の言葉に、アリアは顔を引きつらせながら頷いた。
ミサが外に出て、部屋から離れた事を『身体強化』でミサの位置を把握しているフィーナに確認してから、手紙の封を切った。
手紙は登城の件での謝罪から始まっていた。
大まかな内容としては、登城させておいて城に入れなかった事に対する詫びと入れなかった門兵並びに門兵へと指示を出していた騎士の処分、次の登城のタイミングは明日の朝一番となっていた。
登城の件に関して言えば、予想通りの結果だった。
確かに私達を城に入れないとするなら、かなりの権力者が関わっているが、その権力者が切る人間を用意してるのは必須事項。
元々、仮に私と敵対している或いは追い落としたい権力者だとしても、この件で落とせると思える程、貴族社会は甘くない。
貴族社会では、確かに落ちる時は一瞬で落ちるけど、権力者であるほど、その一瞬を作り出すのが難しい。
更に言えば、門兵はとばっちりだろうけど、騎士は確実にその権力者側の人間だろうから、名前くらいは知りたかった。
いや、厄介者や嫌われ者の左遷の理由とされた可能性もなくはないから、そこまでの意味はないか。
まあ、もう同じ手は使えないだろうから、そこだけでも良しとしよう。
次に明日の登城に関して。
明日は元々学園が休みなので良いとしても、朝一番とは中々思い切ったわね。
朝一番の時間に登城させる場合は、重要な話をする事の意思表示となる。
今回の場合は前回の登城の際の件、それとフィーナの今後と私の大臣就任に関しての事だろう。
フィーナは黒色の魔眼の為、王家も手放したくはないだろうけど、アリアと魔眼保護大臣というカードを手に入れた今なら上手くやれば、総取りする事が出来るかもしれない。
他の話がありえるとすれば、『黒の翼』関連か学園での振る舞いに関する話だろう。
なんにせよ、総取りが出来るなら、総取りするに越した事はない。
私がそう考えている中、フィーナがアリアに軽い指導をしていた。
「基本的に貴族の方は上下関係に厳しいです。もちろん、そうでない方も居ますが、厳しい方しか居ないと思って生活するように。
そうする事が貴族の方の顔を立てることになり、ひいてはアリア自身を守る事に繋がります。分かりますね?」
「はい、フィーナ先生!!」
「えっと、二人とも何してるの?」
私は心得的な何かをアリアに教えていたフィーナに質問した。
すると、アリアの方を向いていたフィーナがこちらを向き、説明した。
「アリアは今後、貴族の方と話す事が増えるでしょうから、その際に不快にさせないようにする為の指導です」
「指導?敬語も出来ていたし、仕草は貴族の振る舞いと魔眼所持者の振る舞いは違うから、今の時点で多くを指導する事はないでしょ?」
「いえ、どうしても平民だと様々な物が雑になりがちですから、今の時点から指導しても遅いくらいです。ただアリアが他の平民と比べて、仕草が綺麗なので、そう見えていないだけですね。
そういう意味では、アリアは貴族の振る舞いの指導を受けていた可能性もありますね」
「アリアが?」
「はい」
私とフィーナが一緒にアリアを見ると、アリアはビクリと体を反応させて、首を横に振った。
「えっと、そんな事は無いと思いますけど、私の家の近くに頭の良いお爺さんが居たんです」
「頭の良いお爺さん?」
「はい、王都は貴族様が多いので、多少は言葉使いも丁寧な方が、良い仕事ににも就けると教えて貰ってたんです」
「そうなの。まあ、明日の登城の際の話の動き方によるけど、魔眼所持者の振る舞いを教えるから、覚えてね」
「え?魔眼所持者の振る舞いですか?」
「ええ、特に貴方は黒色の魔眼所持者よ。つまり貴方は相応の権力を持つ場合があるし、貴女の魔法が強い場合は子爵家以下の当主相手に対して、相応の態度を取る必要があるの。
だから、早速今日からスパルタに教えていくから、頑張ってね?」
「は、はい。分かりました」
私の言葉に、アリアは顔を引きつらせながら頷いた。
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