45 / 69
2章 第1部 到着と初依頼
36話 到着
しおりを挟む
「意外と早く着いたな」
俺はやっと辿り着いたウモーレ(『ダンジョン都市』に来る前にエリーシアに聞いた)の国籍証が必要のない冒険者の列に並びながら2人にそう話しかけた。
「そうですね。途中からは随分とスピードを上げましたしね」
「途中でボスのペースが早すぎて、エリーシアが変な顔で泣いていたのです」
「ちょ!?そ、それは言わない約束ですよ!?」
俺達は魔の森でエリーシアに『命血』を発動させてから、5日目の夕方頃にこの都市に到着した。
因みに『ダンジョン都市』は魔の森を抜けてから1日行った所にある。
そんな『ダンジョン都市』までエリーシアに『命血』を使用してから、魔の森を抜けるまでに4日。
魔の森を抜けてから1日で『ダンジョン都市』に到着したなら上出来過ぎる。
まず魔の森の深部(悪魔の結界があった所が、大体の中心部分)から魔の森を抜けるまでに通常ならば2週間掛かることが普通と言えば、上出来すぎると言ったのは理解してくれるだろう。
そんな訳で『ダンジョン都市』に到着したのだが、まず『ダンジョン都市』の外壁の大きさに驚かされた。
『ダンジョン都市』の外壁の大きさは高さが30m程あり、外から見た感じだが厚さも、かなりありそうだ。
そんな外壁を見て「国の重要な砦なんかよりもよっぽど砦してるな」と思った俺だが、これには理由がある。
そもそも『ダンジョン都市』とは『ダンジョン』がある場所に『ダンジョン』から魔物が出てくるのを防ぐために作られたのが原点だ。
そして、そこに『ダンジョン』で倒された魔物の素材を求めて商人が集まり、更には商人から『ダンジョン』は儲かると聞いた力自慢達が簡単な街を作り上げたのが、『ダンジョン都市』の始まりと言える。
そんな『ダンジョン都市』には、というかある程度の大きさの街になれば冒険者協会というのが存在する。
協会は商人協会や薬師協会、魔術師協会等などが存在し、協会はその協会に所属している協会員に情報を提供したり、他から受けた仕事を紹介したりと手広く仕事をしている。
冒険者協会は言わずもがな、魔物の素材買い取りに始まり、商人協会から依頼された商人護衛の依頼、危険地帯なんかの素材採取の依頼なんかを斡旋してくれる。
そして、各協会には独自に基準を定めているランク制度がある。
そのランクの基準は様々だが、大まかに冒険者協会なら強さ、商人協会から商いの経験や儲け、薬師協会なら調合技術、魔術師協会ならどれだけ高度な魔術をどれだけ練度を高くして使えるかを基準にしている。
因みに魔術師協会に入っている俺のランクは測定外というなんとも言えない物で、例え魔術が使えなくとも魔法で補えるので試験をする意味がないのだ。
一応、最上位ランクのSランク(最低位はF)の扱いを受けていたが、魔術師協会に顔を出すと魔術師達に魔術の開発に引きずり込まれるので、最低限しか行かなかった。
そんな協会だがもちろん強制加入ではなく任意だが、加入していない場合は重要な情報を知るまでに時間が掛かったりするので、余程の事がないと加入する。
そしてこの都市で俺達が加入しようとしているのが、冒険者協会だ。
冒険者協会は数ある中でも魔術師協会と同じくらい、下手をすれば冒険者協会の方が力を持っている。
というのも、今の魔物が跋扈する世の中では国も自国の正規戦力だけでは魔物に対抗するのが難しい。
だから冒険者協会には国籍証の代わりになり得る冒険者証を発行出来る権限があり、この冒険者証があれば国籍証が無くとも街に入れたり、国を出たりできる。
そんな事を考えていると、俺達の番になり門兵が俺達に質問してきた。
「3人か?見ない顔だが冒険者証は持っているか?」
「いや、全員持っていない。ここには冒険者になり来たんだ。やっぱり冒険者になるなら『ダンジョン都市』が1番だろ?」
そう、『ダンジョン都市』に来て冒険者になるのは言わば冒険者になる前の一般人には憧れなので、こんな回答が出来るのだ。
なにせ『ダンジョン都市』はガチの実力主義なので、力があれば国籍証が無くとも大体なんとかなる。
「はは、なるほど確かにな。だが、冒険者になるには最低限の攻撃力か武術の心得、それか先輩冒険者を雇う為の金が要るぞ。どれかは持っているか?」
「あぁ、俺を含めて全員最低限の攻撃力は有している。単独級の魔物の硬さの魔道具に傷を入れる以上の攻撃力だろ?」
俺はやっと辿り着いたウモーレ(『ダンジョン都市』に来る前にエリーシアに聞いた)の国籍証が必要のない冒険者の列に並びながら2人にそう話しかけた。
「そうですね。途中からは随分とスピードを上げましたしね」
「途中でボスのペースが早すぎて、エリーシアが変な顔で泣いていたのです」
「ちょ!?そ、それは言わない約束ですよ!?」
俺達は魔の森でエリーシアに『命血』を発動させてから、5日目の夕方頃にこの都市に到着した。
因みに『ダンジョン都市』は魔の森を抜けてから1日行った所にある。
そんな『ダンジョン都市』までエリーシアに『命血』を使用してから、魔の森を抜けるまでに4日。
魔の森を抜けてから1日で『ダンジョン都市』に到着したなら上出来過ぎる。
まず魔の森の深部(悪魔の結界があった所が、大体の中心部分)から魔の森を抜けるまでに通常ならば2週間掛かることが普通と言えば、上出来すぎると言ったのは理解してくれるだろう。
そんな訳で『ダンジョン都市』に到着したのだが、まず『ダンジョン都市』の外壁の大きさに驚かされた。
『ダンジョン都市』の外壁の大きさは高さが30m程あり、外から見た感じだが厚さも、かなりありそうだ。
そんな外壁を見て「国の重要な砦なんかよりもよっぽど砦してるな」と思った俺だが、これには理由がある。
そもそも『ダンジョン都市』とは『ダンジョン』がある場所に『ダンジョン』から魔物が出てくるのを防ぐために作られたのが原点だ。
そして、そこに『ダンジョン』で倒された魔物の素材を求めて商人が集まり、更には商人から『ダンジョン』は儲かると聞いた力自慢達が簡単な街を作り上げたのが、『ダンジョン都市』の始まりと言える。
そんな『ダンジョン都市』には、というかある程度の大きさの街になれば冒険者協会というのが存在する。
協会は商人協会や薬師協会、魔術師協会等などが存在し、協会はその協会に所属している協会員に情報を提供したり、他から受けた仕事を紹介したりと手広く仕事をしている。
冒険者協会は言わずもがな、魔物の素材買い取りに始まり、商人協会から依頼された商人護衛の依頼、危険地帯なんかの素材採取の依頼なんかを斡旋してくれる。
そして、各協会には独自に基準を定めているランク制度がある。
そのランクの基準は様々だが、大まかに冒険者協会なら強さ、商人協会から商いの経験や儲け、薬師協会なら調合技術、魔術師協会ならどれだけ高度な魔術をどれだけ練度を高くして使えるかを基準にしている。
因みに魔術師協会に入っている俺のランクは測定外というなんとも言えない物で、例え魔術が使えなくとも魔法で補えるので試験をする意味がないのだ。
一応、最上位ランクのSランク(最低位はF)の扱いを受けていたが、魔術師協会に顔を出すと魔術師達に魔術の開発に引きずり込まれるので、最低限しか行かなかった。
そんな協会だがもちろん強制加入ではなく任意だが、加入していない場合は重要な情報を知るまでに時間が掛かったりするので、余程の事がないと加入する。
そしてこの都市で俺達が加入しようとしているのが、冒険者協会だ。
冒険者協会は数ある中でも魔術師協会と同じくらい、下手をすれば冒険者協会の方が力を持っている。
というのも、今の魔物が跋扈する世の中では国も自国の正規戦力だけでは魔物に対抗するのが難しい。
だから冒険者協会には国籍証の代わりになり得る冒険者証を発行出来る権限があり、この冒険者証があれば国籍証が無くとも街に入れたり、国を出たりできる。
そんな事を考えていると、俺達の番になり門兵が俺達に質問してきた。
「3人か?見ない顔だが冒険者証は持っているか?」
「いや、全員持っていない。ここには冒険者になり来たんだ。やっぱり冒険者になるなら『ダンジョン都市』が1番だろ?」
そう、『ダンジョン都市』に来て冒険者になるのは言わば冒険者になる前の一般人には憧れなので、こんな回答が出来るのだ。
なにせ『ダンジョン都市』はガチの実力主義なので、力があれば国籍証が無くとも大体なんとかなる。
「はは、なるほど確かにな。だが、冒険者になるには最低限の攻撃力か武術の心得、それか先輩冒険者を雇う為の金が要るぞ。どれかは持っているか?」
「あぁ、俺を含めて全員最低限の攻撃力は有している。単独級の魔物の硬さの魔道具に傷を入れる以上の攻撃力だろ?」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる