血の魔法使いは仲間を求める

ロシキ

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2章 第1部 到着と初依頼

36話 到着

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「意外と早く着いたな」

俺はやっと辿り着いたウモーレ(『ダンジョン都市』に来る前にエリーシアに聞いた)の国籍証が必要のない冒険者の列に並びながら2人にそう話しかけた。

「そうですね。途中からは随分とスピードを上げましたしね」

「途中でボスのペースが早すぎて、エリーシアが変な顔で泣いていたのです」

「ちょ!?そ、それは言わない約束ですよ!?」

俺達は魔の森でエリーシアに『命血』を発動させてから、5日目の夕方頃にこの都市に到着した。
因みに『ダンジョン都市』は魔の森を抜けてから1日行った所にある。

そんな『ダンジョン都市』までエリーシアに『命血』を使用してから、魔の森を抜けるまでに4日。
魔の森を抜けてから1日で『ダンジョン都市』に到着したなら上出来過ぎる。

まず魔の森の深部(悪魔の結界があった所が、大体の中心部分)から魔の森を抜けるまでに通常ならば2週間掛かることが普通と言えば、上出来すぎると言ったのは理解してくれるだろう。

そんな訳で『ダンジョン都市』に到着したのだが、まず『ダンジョン都市』の外壁の大きさに驚かされた。
『ダンジョン都市』の外壁の大きさは高さが30m程あり、外から見た感じだが厚さも、かなりありそうだ。

そんな外壁を見て「国の重要な砦なんかよりもよっぽど砦してるな」と思った俺だが、これには理由がある。
そもそも『ダンジョン都市』とは『ダンジョン』がある場所に『ダンジョン』から魔物が出てくるのを防ぐために作られたのが原点だ。
そして、そこに『ダンジョン』で倒された魔物の素材を求めて商人が集まり、更には商人から『ダンジョン』は儲かると聞いた力自慢達が簡単な街を作り上げたのが、『ダンジョン都市』の始まりと言える。

そんな『ダンジョン都市』には、というかある程度の大きさの街になれば冒険者協会というのが存在する。
協会は商人協会や薬師協会、魔術師協会等などが存在し、協会はその協会に所属している協会員に情報を提供したり、他から受けた仕事を紹介したりと手広く仕事をしている。

冒険者協会は言わずもがな、魔物の素材買い取りに始まり、商人協会から依頼された商人護衛の依頼、危険地帯なんかの素材採取の依頼なんかを斡旋してくれる。
そして、各協会には独自に基準を定めているランク制度がある。

そのランクの基準は様々だが、大まかに冒険者協会なら強さ、商人協会から商いの経験や儲け、薬師協会なら調合技術、魔術師協会ならどれだけ高度な魔術をどれだけ練度を高くして使えるかを基準にしている。
因みに魔術師協会に入っている俺のランクは測定外というなんとも言えない物で、例え魔術が使えなくとも魔法で補えるので試験をする意味がないのだ。
一応、最上位ランクのSランク(最低位はF)の扱いを受けていたが、魔術師協会に顔を出すと魔術師達に魔術の開発に引きずり込まれるので、最低限しか行かなかった。

そんな協会だがもちろん強制加入ではなく任意だが、加入していない場合は重要な情報を知るまでに時間が掛かったりするので、余程の事がないと加入する。

そしてこの都市で俺達が加入しようとしているのが、冒険者協会だ。
冒険者協会は数ある中でも魔術師協会と同じくらい、下手をすれば冒険者協会の方が力を持っている。
というのも、今の魔物が跋扈する世の中では国も自国の正規戦力だけでは魔物に対抗するのが難しい。
だから冒険者協会には国籍証の代わりになり得る冒険者証を発行出来る権限があり、この冒険者証があれば国籍証が無くとも街に入れたり、国を出たりできる。

そんな事を考えていると、俺達の番になり門兵が俺達に質問してきた。

「3人か?見ない顔だが冒険者証は持っているか?」

「いや、全員持っていない。ここには冒険者になり来たんだ。やっぱり冒険者になるなら『ダンジョン都市』が1番だろ?」

そう、『ダンジョン都市』に来て冒険者になるのは言わば冒険者になる前の一般人には憧れなので、こんな回答が出来るのだ。
なにせ『ダンジョン都市』はガチの実力主義なので、力があれば国籍証が無くとも大体なんとかなる。

「はは、なるほど確かにな。だが、冒険者になるには最低限の攻撃力か武術の心得、それか先輩冒険者を雇う為の金が要るぞ。どれかは持っているか?」

「あぁ、俺を含めて全員最低限の攻撃力は有している。単独級の魔物の硬さの魔道具に傷を入れる以上の攻撃力だろ?」
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