上 下
46 / 139

ちょっと面倒な三階層:一日目

しおりを挟む
さて、僕達は今三階層一つ前の階段の前にいるんだけれども普通に寒い。
なんでってもちろん三階層の冷気が漏れ出してきているからに他ならない。
三階層は、大部分が雪で覆われた場所だ。
大部分に含まれない部分は水が流れ出し、船などを使って移動しなければいけない。
尚、一部を除き水流は流れが強く逆らうことは難しい。
魚釣りなんかも出来なくはない。
魔物が釣れることもあるからそこまでオススメはしないけれど。
で、そんな三階層で主だった魔物は氷雪蟹や、氷鎧武者、懐かしのグリーンベアなどなど。
氷雪蟹は氷に紛れて冒険者を狙う大蟹だ。
肥大した左鋏は驚異的な威力を誇り、人体なら五十人くらいは訳なく切り裂ける。
それに、体に付着している雪は相応の硬度を持ち、突破は困難だ。
氷鎧武者はその名の通り。
非常に強度の高い氷を纏った武者だ。
武器は刀を好んで使う。
動きは俊敏で、攻撃もそれなりに重い。
これといった固有技能はなく、強いて言えば強靭な腕力から繰り出される飛ぶ斬撃くらいか。
平凡といえば平凡だが、なまじ知能があるので他の魔物と連携してくることも少なくなく、その辺りが厄介といえば厄介だ。
そして、ここでようやく登場するのが我らがグリーンベア。
緑色の体毛を生やしたグリーンベアは白銀に覆われた世界では目立ちやすい異質の存在だ。
だがそれを補って余りある腕力と脚力。更には気配などにも敏感で接近すれば必ずと言ってもいいほど見つかるだろう。
攻撃方法は多彩で殴りつける、ひっ掻く、転がる、雪を投げるなど。
一番警戒しなくてはならないのが殴りつけるとひっ掻く、雪を投げるだ。
殴りつけるとひっ掻くは言うまでもない。雪を投げるは握り固めた雪を投げるって感じだ。
でもなまじ腕力が強いおかげで雪は硬く、まともに当たれば骨折くらいは免れないだろう。
頭など人体の急所に当たれば死ぬかもしれない。男の急所に当たれば確実に潰れる。その場合漢女となるしかないだろう。
付け加えると、経験値などが多くお肉が美味しい。
とりあえずはこんな感じだ。
水の中の魔物と言えばやっぱり魚みたいな形したやつが目立つね。
その方が釣りをした人間を引き寄せられるからだ。
あとは水の中で動きやすいからかな。
他の階に比べて目立つ脅威はないけど連携するくらいの知能がある魔物が出てくるのはここからだ。
気付いたら囲まれていたなんて事にならないように立ち回りたいね。
しおりを挟む

処理中です...