迷宮攻略してたらいつの間にか世界救ってた

新世界の神

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ホントに終わりの三階層:二日目-悠一郎サイド-

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意識を即座に引き戻し、集中する。
まず不吉な予感がする唾液を防ぐ為に障壁を作り出す。
後ろ髪が少しとと装備の背面がごっそりと削られた。
強酸性の唾液のようだ。
防いで正解だったね。
とりあえずは背面のみを防ぎッ!?
「あぐッ!うあああああああああ!!」
右腕が石臼のような少し黄色がかった歯に齧られ、半ばから千切れ飛び、紅の液体が溢れ出す。
脳裏に電流が走り、目の前が真っ赤に染まる。
四肢の一部が欠損した激痛に喉から絶叫が迸る。
絶叫が終わると、噛み切られた唇の端から血が滴り落ち、舌に落ちる血の味に鯨が歓喜し、体が揺す振られる。
今しがた負ったばかりの傷が揺らされる痛みに一層強く歯を噛み締め、奥歯が割れる。
口の中に血の味が広がり、口の奥と右腕から命が流れ出していくのが分かる。
激烈な痛みに赤く染まる思考の中でなんとか障壁を作り出し、右腕を塞ぐ。
一先ず強引な止血のお陰で喪失感が無くなり、多少なりとも思考することが出来るようになった。
未だに痛みに侵されたままの頭を回転させ、傷口に水魔法で回復をかける。気休めだが無いよりマシだろう。
激痛が遠のき、断続的に針で内臓を抉られるような痛みはあるものの大分マシになった。
まだ白熱している感じが残る頭を動かして自分の右腕を見る。
二の腕あたりからごっそりと持って行かれていて、傷口には赤く染まった障壁が押し付けられている。
後で優里に治してもらわないと。
一度頭を振って痛みを振り払い、しなければならないことを確認する。
まずはここから出る。その前にとりあえずは障壁で全身を覆っておく。
一連の流れで、僕の体は鯨の腹の深いところまで落ちてきてしまっている。
な・の・で。
鯨の腹をぶち破って出て行こうかと。
僕の右腕を持って行ってくれたんだ…このくらいは受けて然るべきだろう。
右腕は魔力の手で代用する。
刀を創り出し、構える。
一足跳びに天井まで飛び上がり、上段に持ち上げた刀を振り下ろす。
大気を割り、胃壁を割り、骨を断ち切り、筋肉を切断し、神経を真っ二つにし、血管を食い破り、分厚い外皮を貫き、血が噴き出す。
その流れに乗って外へ流れ出し、着地する。
いつの間にか復活していた聴覚が鯨の絶叫と血が流れ出す音を捉える。
鼓膜が打たれ、またもや聴覚が遠のく。
残った他の五感で周りを確認し、早希を視認する。
こちらを向いた早希に魔力の手を振り、右腕が無くなっていることに気付いて愕然とする早希に気軽に笑いかける。
肩を上げるときに内臓が爆発したかのような痛みを覚えたが、そんなことはおくびにも出さない。
これ以上下手に心配は掛けられない。
駆け寄ってくる早希を抱き締め、障壁で外界から隔離する。
何を言っているかは良く分からないが、読唇術と風魔法で補完する。
「ゆう…」
「どうしたんだい?早希?」
「ぶじで…っ、よかったっ…」
そう言って(聞こえちゃいないけど)涙を流す早希の頭を撫でる。
僕にも心配してくれる人が居るようになってたんだね。嬉しいなぁ。
良く見ると早希もかなりボロボロだ。
それをしたであろうエイを軽く威圧し、早希が落ち着くまでずっと頭を撫でる。
「わたし…っゆうがのまれちゃったとっおもって…っ」
「そっか。ごめんね。心配させちゃったみたいだ。」
「う…うぁ…ぁぁ……」
流れる涙を手で拭い、少しだけ強く抱きしめ、優しく背中をたたく。
ポン、ポンと一定の間隔で投げかけられるリズムに、だんだん落ち着いてきたのか、嗚咽が収まってくる。
そうして早希が落ち着いた頃、障壁を解き、片手に刀を創り出し鯨を睨む。
魔力を乗せた威圧に鯨がたじろぎ、巨体を揺らす。
さぁ、早希を泣かせた罪…償ってもらおうか。
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