迷宮攻略してたらいつの間にか世界救ってた

新世界の神

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魔神戦:其の六

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骨を断ち割って、心臓を貫いた感触が手に残る。
ずるり、と刀を引き抜いて血を払う。
さて、どうしようか。
これで世界は救われたのだろうか…?
なんだかあっけないとすら言える結末だったが、まぁ、こんなもんかもしれない。
おとぎ話のような激闘も感動もないのだ。
そう思って背中を向けて歩き出す。
直後、右腕が斬り飛ばされた。
「っぁ!?」
左腕が動かない。いや、左腕も既に斬り飛ばされている。
凄まじい激痛が走り抜ける。
絶叫する間も無く足が斬られる。
そのまま倒れることも許されず胴体を腕が貫通する。
そのまま宙吊りにされ、蹴りで首が刈り取られた。
「な…んだ!?」
そんな幻想を見せられた。
心臓が止まりかねない程の濃密な、獰猛な殺気。
発信源は今息絶えたはずの魔神の死体。
「神がそう簡単に死ぬとでも思っているのか?」
そう言って魔神が起き上がった。
異様な光景に開いた口が塞がらない。
いや、だって、殺したはずだろ?確実に心臓を貫いたはずだ。
感触も、感覚も間違っていなかった。
確実に死んでいたはずだ。
それとも、不死とでも言うのか。
「その武器に気が練られ始めたのは驚いたが、こんなものか。もっとも、一千年も前の我なら危なかったかもしれんがな。」
やはり気は有効な戦闘法だったようだ。
だが、効いていない…ということは何か裏があるのか、それとも本当に不死なのか。
モリビトの少女のいうことは正しかったのだろうか。
封印が正しい選択だったのだろうか。
でも、今更遅い。
後戻りはできない。
それでも、せめて少しぐらいは痛手を与えてやりたい。
手に握った刀に気を混ぜる。
周囲から全ての力を借りる勢いで。
握り締めた刀を魔神へ構える。
「ベルフェゴールの名において命じる。跪け。」
折れ曲りそうになる足を地面に突き立てて強引に進む。
驚いたように目を瞠る魔神の心臓へ刀を突き立てた。
魔神の体内で気が爆発する。
そのまま跡形もなく魔神が消し飛んだ。
「やった…か?」
「残念だったな。貴様はどうも神を舐めているようだ。」
目の前に、まるで何事もなかったかのように無傷の魔神が現れる。
「ダメ…か。そうか。」
刀を手から消す。
最後くらい潔く散ってやろうじゃないか。
底辺から這い上がって、宗谷達にあって、早希に会って。
決して平坦な道のりじゃなかったけれど、退屈という言葉は似合わない人生だった。
随分と遠回りをしたような気がするけど、その分見つけた景色もたくさんあった。
まぁ、悪くない人生だったんじゃないかな。
両手を広げて体を晒す。
「そうか。私も潔い散り方は嫌いではない。」
そう言って魔神が手を振り上げる。
「待て!」
心臓へ向かってその貫手が…届かない。
貫手は僕の目の前に張られた障壁に阻まれていた。
聞き覚えがあるような高い声。その方向へ顔を向ける。
そこには、何度か迷宮であったモリビトの少女が。
「ほう、モリビトか。まだ生きていたのか。」
「ふん。忌々しき厄災が。樹海の厄災に終焉を告げるのは我らが悲願であり、我らの役目。」
「なんだよ今更っ!封印以外に手はないんじゃなかったのかっ!?」
「貴様が古の勇者の戦闘法を受け継いでいるならば撃破も夢ではない。そのために、我はここにきた。」
「意味がわからないな。力を貸すって?君みたいなひ弱な少女が?」
「そうとも。我々にはそれをするだけの力があり、そのために生まれた種族である。武器を出せ。」
「なんだって…?何が変わるって言うんだ…」
「良いから出せ。我が武器に宿って神を殺す力となろう。」
「おいおいおい、そんなことをしたら君は…?」
「まぁ、消えるだろうな。実態を持つことは出来ないだろう。」
「そんなことを…許せるわけがないだろ!?」
「ただ、意識もあるし、ある程度の媒介があれば意思や声を伝えるくらいはできるだろう。」
「でも…」
「どこまでも優柔不断なやつだな!武器を出せ!」
「どうなっても知らないからね!?」
と、僕は刀を差し出した。
少女の姿が消え、体に力が漲ってくる。
刀が淡く光り輝き、魔力が溢れる。
これだけ魔力を垂れ流しているのに魔力切れの様子も怠くなる感じもない。
常に魔力で強化を施したような状態だ。
なのに体への負担はほとんどない。
これなら互角くらいには闘えるだろうか。
そう思った矢先、魔神に吹き飛ばされていた。
反応が数瞬遅れた。
右脚が見事に叩き込まれ、その場から吹き飛ぶ。
ただ、防御力も上がっているのかダメージはあまりない。
『言った通りだろう?』
頭の中に少女の声が響く。一応…喋る武器…になるのだろうか。
「あぁ、そうだね。これならいける。」
そう言って魔神に刀を向ける。
「さて、第二ラウンドと行こう。あまり時間はかけたくないから潔く散ってくれると助かる。」
「はっ!その舐めきった態度がいつまで続くか、見ものだな!」
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