44 / 47
第2章 それは夢を謳い…紡ぐは絶望
堂々の諜報活動
しおりを挟む
夜も更け、月が闇夜を照らす。その夜の空に、大型戦艦ベイオアルガが浮かんでいる。その大型戦艦の甲板に、様々な色の照明が灯り、反射し、重なり合う。その明るく灯された甲板には、黒く巨大な生き物の腕の様なものが、抱える様に横断していた。それは4本あった。
「本体は、艦底か!?」
明花の姿をしたメデナリンジェは、空中瞬足術を魔法発動し、甲板から足を離し、飛行する。
近くにいた岩石王子はその巨大な腕を見つけるなり、高出力ブーツの底から火を吹かせ、加速して、腕にある仕込み剣で、黒く巨大な腕に突撃していく。
メデナリンジェは、戦艦本体から少し離れた位置から、左舷を見渡す。
巨大な肩が2つ見える。その外側に、脈を打つかの様に、黒い肌から赤い突起が現れ、ドクンと打ち鳴らす。そして肌の奥へ消えていった。
「こいつが、タコとか、よく言うわね、あの犬」
一見、浮き沈みをする血管の様な、致命的なダメージを与えられそうにも思われる箇所ではあったが、メデナリンジェはそこに触れず、左舷を抜け、艦底へと向かった。
この巨大な物体と一定の距離を保ったまま、艦底に近づくと、戦艦の影に隠れたその物体の頭が見えてきた。
巨大な黒い顔。その顔は、沢山の針で埋め尽くされていて、目鼻等がよく見えない。その針は、艦底に刺さっているが、奥には到達せず、装甲の表面に刺さっている様だった。
「こいつ…。やっぱり、大型魔物のゲディダル。この惑星にも、いるのか」
右舷から艦底までを行き来し、飛び回っている金属で完全武装の人が見える。明花より少し大きな身体をしている。
『メデナリンジェさん、こんな大きな人間を、見た事がないです』
心の声で、明花が驚き、震えながら話す。
「あら、明花。私もよ?だって、人間じゃないもの。魔物よ、魔物」
大型戦艦ベイオアルガは、海上まで移動している。ここならば、この大型の魔物を落としても、人的な被害はない。メデナリンジェは、集中して魔力を増幅させながら、策を練る。
海上から吹き上がる風に、明花の二つ結びの髪が暴れ、魔法戦闘服のスカートがはためく。
「あの魔物はね、あんな大きな図体をしているけれど、攻撃的な魔物ではないのよ。どちらかと言うと、反撃型の魔物。頭を攻撃すれば、頭の針がその方向に飛び、反撃する。肩の赤い脈を撃てば、そこから生み出されるエネルギーによる、自家製のレーザー攻撃で狙われる。ただ、こちらが何もしないと、相手も何もしてこない」
メデナリンジェは魔物ゲディダルを窺いながら、そう言った。
『何の目的…で、あんな事』
明花が心の声で、そう言うと、メデナリンジェは魔物の頭を指差し、
「あいつの頭の針が艦底に刺さっているでしょ?あの針を媒体として、戦艦内のあらゆる情報を手に入れようとしているのよ。その対象が電子だろうと、生物だろうと、ね。情報を手に入れたら、帰っていくわ」
そう言った。
完全武装の人は、魔物ゲディダルの首や背中を狙い、エネルギー弾を放つ。しかし、ゲディダルは微動だにしない。
「あいつの身体の背面は、非常に硬いのよ。あの魔物の弱点は、胸の中心にある核。だけど、そこへの攻撃は、このままでは無理ね。艦底に貼りつく事で、その核を守っている。あんなにピッタリ貼りついていたら、機銃が艦底に備えてあったとしても、撃てはしないでしょうし」
『帰ってもらうのを、待ちましょう…』
メデナリンジェの言葉に、明花は心の声で消極的な言葉を返す。
「まあ、それもありだけど。私の身体じゃない訳だし、リスクは負えない。ただ、あの人達の情報が盗まれると、私の世界も困った事になり兼ねない。何とか、うまくやるわ。ただ、私1人じゃ、無理。だけど、もう少し待ってみようじゃない?救世主が、来るかも」
しばらくすると、甲板の方から大きな衝撃音がして、戦艦と巨大な魔物ゲディダルが振動する。
「ほらね?この大型戦艦で飼っている子猫ちゃんが暴れ出したわ。この魔物と艦底に隙間が空いたら、奴の核目掛けて、止めを刺すわよ!」
「本体は、艦底か!?」
明花の姿をしたメデナリンジェは、空中瞬足術を魔法発動し、甲板から足を離し、飛行する。
近くにいた岩石王子はその巨大な腕を見つけるなり、高出力ブーツの底から火を吹かせ、加速して、腕にある仕込み剣で、黒く巨大な腕に突撃していく。
メデナリンジェは、戦艦本体から少し離れた位置から、左舷を見渡す。
巨大な肩が2つ見える。その外側に、脈を打つかの様に、黒い肌から赤い突起が現れ、ドクンと打ち鳴らす。そして肌の奥へ消えていった。
「こいつが、タコとか、よく言うわね、あの犬」
一見、浮き沈みをする血管の様な、致命的なダメージを与えられそうにも思われる箇所ではあったが、メデナリンジェはそこに触れず、左舷を抜け、艦底へと向かった。
この巨大な物体と一定の距離を保ったまま、艦底に近づくと、戦艦の影に隠れたその物体の頭が見えてきた。
巨大な黒い顔。その顔は、沢山の針で埋め尽くされていて、目鼻等がよく見えない。その針は、艦底に刺さっているが、奥には到達せず、装甲の表面に刺さっている様だった。
「こいつ…。やっぱり、大型魔物のゲディダル。この惑星にも、いるのか」
右舷から艦底までを行き来し、飛び回っている金属で完全武装の人が見える。明花より少し大きな身体をしている。
『メデナリンジェさん、こんな大きな人間を、見た事がないです』
心の声で、明花が驚き、震えながら話す。
「あら、明花。私もよ?だって、人間じゃないもの。魔物よ、魔物」
大型戦艦ベイオアルガは、海上まで移動している。ここならば、この大型の魔物を落としても、人的な被害はない。メデナリンジェは、集中して魔力を増幅させながら、策を練る。
海上から吹き上がる風に、明花の二つ結びの髪が暴れ、魔法戦闘服のスカートがはためく。
「あの魔物はね、あんな大きな図体をしているけれど、攻撃的な魔物ではないのよ。どちらかと言うと、反撃型の魔物。頭を攻撃すれば、頭の針がその方向に飛び、反撃する。肩の赤い脈を撃てば、そこから生み出されるエネルギーによる、自家製のレーザー攻撃で狙われる。ただ、こちらが何もしないと、相手も何もしてこない」
メデナリンジェは魔物ゲディダルを窺いながら、そう言った。
『何の目的…で、あんな事』
明花が心の声で、そう言うと、メデナリンジェは魔物の頭を指差し、
「あいつの頭の針が艦底に刺さっているでしょ?あの針を媒体として、戦艦内のあらゆる情報を手に入れようとしているのよ。その対象が電子だろうと、生物だろうと、ね。情報を手に入れたら、帰っていくわ」
そう言った。
完全武装の人は、魔物ゲディダルの首や背中を狙い、エネルギー弾を放つ。しかし、ゲディダルは微動だにしない。
「あいつの身体の背面は、非常に硬いのよ。あの魔物の弱点は、胸の中心にある核。だけど、そこへの攻撃は、このままでは無理ね。艦底に貼りつく事で、その核を守っている。あんなにピッタリ貼りついていたら、機銃が艦底に備えてあったとしても、撃てはしないでしょうし」
『帰ってもらうのを、待ちましょう…』
メデナリンジェの言葉に、明花は心の声で消極的な言葉を返す。
「まあ、それもありだけど。私の身体じゃない訳だし、リスクは負えない。ただ、あの人達の情報が盗まれると、私の世界も困った事になり兼ねない。何とか、うまくやるわ。ただ、私1人じゃ、無理。だけど、もう少し待ってみようじゃない?救世主が、来るかも」
しばらくすると、甲板の方から大きな衝撃音がして、戦艦と巨大な魔物ゲディダルが振動する。
「ほらね?この大型戦艦で飼っている子猫ちゃんが暴れ出したわ。この魔物と艦底に隙間が空いたら、奴の核目掛けて、止めを刺すわよ!」
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)
スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」
唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。
四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。
絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。
「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」
明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは?
虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる