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お魚好きな組長

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「何だ、このクソガキは!?何処のバカがこの事務所に連れて来てんだ?コラァ!」



5才くらいのオスガキが、黒スーツに赤いネクタイ締めて、桟橋組本部事務所の、組長の俺の前に。何か、目ぇ半開きで、薄ら笑い浮かべてやがる。



「僕ちゃんさ、お魚ちゃん好きなのね?で、キンメダイ好きなのね?キンメダイ組の組長やんない?って言われて、お魚ちゃん大好きだから、引き受けたのね?」



「殺すぞ、ガキ。その喋り方止めろ。お前が胎児くらいまで若くても、殺したくなる!」



俺の威嚇に、このガキは、ハイトーンで、キャハハッと笑った。何だ、コイツは。



「僕ちゃんね、お魚ちゃんをみんなにね、広めたいの。だって、お魚ちゃん、おいしいんだもん。だからね、そのために、桟橋組?っていう組織を倒さないとダメなんだって」



「てめぇ!俺の組潰すとか、ヤレるとでも思ってんのか?このまま無傷で帰れると思うなよ!?」



何だこのガキの余裕は?人から圧力感じた事ねぇのか?薄ら笑いが止まらねぇみてえだな。



「僕ちゃんさ、風邪の抵抗力ないの。マスクもしないの。うがいしないの。だから…風邪ひきやすいの」



「何ぃぃ…!?」



「組長ちゃんさ、ぜんそくって呼吸しづらい苦しい病気持ってるんだよね?」」



「ま、まさか…?」



「僕ちゃんね、少し風邪ひいてるの。でも、マスクしないの。うがいしないの。思いっきりせきしてあげるの。組長ちゃんにね…うつして…あげちゃうの」



「ま、待て…!!」



「さよなら、組長ちゃん」






『お魚好きな組長』…完
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