君の決して似合わない黒薔薇

sayure

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不穏な気配

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「おしゅう…。おしゅう…」


黒い外套を身に纏い、腰に長剣備える男、頭巾から垣間見せる口元からは、無精髭を生やした少しだらしのない印象が窺える。


「おしゅう…」


全身赤い鎧で身を覆う騎士の呟きに、不気味な言葉で返答する黒い外套の男。



「この呪われた大陸には、まだ地の底に魔のエネルギーが燻っているのだ。この混沌とした状況を、我がアスディナルディ家が好転させれば、この大陸の支配など、容易いもの…」



地下の薄暗い祭壇をカツン、カツンと足音を響かせ、高笑いをする赤い鎧の男。



「魔王の何体かの配下が魔界とこの世の狭間で不穏なる動きをしているという噂、グゲフの森の瘴気しょうきを吸い、魔物の様に、残虐に人を食らう者に姿を変えたという報告と無関係とも思えん。だとしたら、これこそ好機」



「おぉぉ…しゅうぅぅ!」



「グゲフの森に蠢く者共を一掃せよ。魔物かどうか見分けをつける必要もあるまい、見境なくその剣技、見せつけてやれ!」



「おおぉ…しゅうぅ!」




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