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6桁の数字と幻影ビルの金塊
033 じゃんけんぽい
しおりを挟む「最初はグー、じゃん・けん・ぽいっ!!」
とつぜん美玲ちゃんが掛け声をかけて、パーを出した。
味方のぼくでさえ最初の瞬間を見逃すほどに唐突。
玉座の後ろに控えている王勢の奴隷たちも、呆気にとられている。
やがて視線が集まる、王の手元。
掛け声に乗せられて、まんまと出した王の手は、グー。
「はい、わたしの勝ち。そこどいて……」
ぼんやり口を開けたままグーを出しているの王の手を、美玲ちゃんが引っ張った。
「……ば、馬鹿か、お前! いまのが有効な訳ないだろ!」
慌てて王が手を引っ込める。
「わたしはまだ勝負の内容を認めていない! いまのは無しだ!」
「何の勝負でも受けて立つって言ったよね? 王に二言はないんだよね?」
美玲ちゃんが溜め息をついて、奴隷たちに向かって大袈裟に肩をすくめた。
「……だっさ! あんたたちの王様ってほんと、見た目通りの小物だよねぇ~」
いまのは頂けない、ルッキズムな発言。
でも王のプライドを逆撫でするには、打って付けの言葉だったみたい。
「いいだろう、では先に3勝した方が勝者だ。いまのはお前の勝ちとする……」
苦虫を噛み潰したような顔で、王が承諾した。
先に3勝した方が勝ち……。
しっかり作戦を立てないと。
ぼくは美玲ちゃんの手を引っぱって耳打ちした。
「美玲ちゃんも落ち着いてよ、負けたら命を取られるんだよ? どうしてあんな簡単に勝負できるのさ!」
美玲ちゃんもしゃがんでぼくに耳打ちする。
「あんな不意打ちのじゃんけん、ダメ元に決まってるじゃん。負けたら適当に誤魔化すつもりだったのよ。掛け声はこんな感じで……みたいにさ」
それでこそ美玲ちゃん。
我がご主人ながら、汚っっったないやり口!
「でも、不意打ちはもう通用しないよ。どうするの?」
「すでに1勝してるこっちが優勢。それ最大限に活用する!」
美玲ちゃんが立ち上がって、王に振り向いた。
「じゃあ、2戦目いくよ。最初はグー……」
「まて、焦るな! いまお前の思考を読んでいる。お前もせいぜいそのガキと相談するんだな、次に何を出すか……」
王が両手の指先をあわせ、顔のまえで三角形を作った。
その三角形から、大きな紅い瞳がのぞく。
その瞬間、ぼくは見逃さなかった。
視線が一瞬だけ、ぼくらから逸れたんだ。
振り返えると、いつのまにかぼくらの背後にも奴隷たちが並んでいた。
「無駄よ、わたし何も考えてない。出す直前までな~んも。じゃんけんってそーゆーもんでしょ?」
「……少しは考えろ! 慎重にやれ! 命を賭けているんだぞ!!」
王は、かなり苛立っている。
いや、焦っているのかな……?
「やだ、わたしの心配してくれてんの? あなたの方が不利なのに……。わたしは負けても次があるけど、あなたは負けたら、ほぼお終い……」
からの……。
「じゃんけんぽいっ!!」
容赦なき速攻。
美玲ちゃんの勝ち。
「あなた、緊張すると力が入ってグーを出すタイプね。意外とわかりやすい、素直な子ね」
あれだけ尊大に構えていた王が、助けを乞うような目で奴隷たちに視線を走らせている。
「もうやらないの? あの指で三角形作るやつ……。まあ無理か、じゃんけんでイカサマ出来ないもんね」
そう言うと美玲ちゃんは、暗闇に紛れている大勢の奴隷たちに向かって呼びかけた。
「虐げられている奴隷の皆さん、聞いて~!! あなたたちはどっちを望みますかあ? あなたたちの王が勝つか、わたしが勝つか! ……ちなみにわたしが勝ったら、皆さんを奴隷から解放しまぁ~っす!!」
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