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第二章
第四話 童話の絵-2
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「煙草を吸っても?」
「ええ、どうぞ」
鶴井は煙草に火を点け、女に向かって煙を吐いた。煙の奥にある女の顔は微動だにせず、アルカイックスマイルを浮かべている。
「またご連絡したら、占いに来てくれますか?」
女は表情を崩さないまま、声帯を震わせる。
「ええ、是非。またお声がけください」
「では、今、予約を取っても良いですか」
「えっと……。またスケジュールを確認してから、こちらからご連絡してもいいですか?」
「いいえ。今お願いします」
だってあなた、と鶴井は女の顔を覗き込む。
「のらりくらりと躱して、僕とは二度と会わないつもりでしょう?」
「い、いいえ。そうじゃありません。本当に、今はスケジュールが分からないので……」
「そうですか。残念です」
鶴井が隣に腰かけると、女は体を硬直させ、彼から距離をとった。
鶴井は女に腕を回し、太腿の上に手を乗せる。
「でしたら、残りの時間で僕とセックスしませんか。あなた、僕の言動や性格は好きではないみたいですが、外見はお好きなようなので。言葉を交わすより、体を交える方があなたもいいでしょう」
始めのうちは、愛液を滴らせながらも女は拒絶した。しかし徐々に抵抗する力が弱まり、鶴井の指で絶頂を迎えた頃には、女は自ら足を開いていた。
「さて、ベッドに行きましょうか」
女は大人しく自らの足でついてきた。服を脱げと言えば脱ぎ、足を開けと言えば開く。縄で手を縛られ、ベッドに括りつけられても文句ひとつ言わず、むしろ興奮してシーツにシミを作った。清楚な見た目をしていながら性癖をこじらせている女に、鶴井は苦笑した。
飼っている犬よりも従順な女に、鶴井の下半身は全く反応しなかった。
「あなたに受け入れてもらえて嬉しいです」
女の返答は、喘ぎ声が入り乱れ意味をなさなかった。
「あっ。あっ。わたっ。あっ。そこっ。しもっ。うれしっ。んあ」
鶴井の指は、女の愛液でふやけていた。すっかり力が抜けた女の体をまじまじと見つめ、鶴井は微笑む。
「あなたは美しい顔をしているのに、体は貧相で汚いですねえ」
「えっ。あっ。あっ。な。なっ。なんて。言ったのっ。あん。いま」
鶴井は女の乳首を摘まみ、千切れそうなほど強く引っ張った。
「あああああっ。痛い痛い痛い。もっと。もっと優しく。お願い。お願い」
「ブルーベリーがくっついていますよ。長時間放置していたせいで、色が地面にまで染みて。ああ、みっともない。あ、そうだ。良いことを思いつきました」
鶴井は漂白剤を女の乳首にかけた。
「ちょっと。それなに。なに。やめて。なにそれええ!」
「これをかけたら黒ずみもましになるんじゃないかと思いまして」
女が暴れるせいでベッドが軋む。鶴井は女の足も縄で括りつけた。蛙のように足を開いた状態から動けなくなった女は、屈辱と恐怖で泣き声を漏らしている。
「ううう。うう。やめてえええ。やめてえええ。誰か。誰か助けてえええ」
「嫌がり方にも品を感じますねえ。助かります」
陰核をくすぐると、女は泣きながらも愛液を滴らせた。さらに膣に指を差し込み動かせば、泣き声よりも喘ぎ声が強くなる。よほど快感に弱いらしい。
鶴井は指で女の恥部を広げ、えずくふりをした。
「おえー。こちらも黒ずみがすごいですね。形は歪だし、膣からは下水の臭いがします。それに……」
尻を叩くと、女は潮を吹いた。
「尻に醜い大きなホクロが一つ。尻の穴の入り口にはイボが。ああ、あなた、イボ痔なんですね」
「やめてえええ。ひどい。ひどいいい。見ないで。見ないでぇぇ」
鶴井は肛門に指を突っ込み、勢いよく抜いた。指には異臭を放つ、大便がべっとり付いていた。
「くっさあ。あなた、昨日ニンニクを食べたでしょう。こんなんじゃ、僕の下半身は全く反応しません」
「もうやめてぇぇっ! これ以上私を傷つけないでぇぇっ。辱めないでぇぇぇっ!」
泣き叫ぶ女の両頬を、大便が付着した指で掴む鶴井。彼にしては珍しく、笑みが消え、怒りで目を見開かせていた。
「どうです? 体を許した相手に、体を貶められ、拒絶された気分は」
「ひうっ。うえっ。うあぁう……」
「辛いでしょう。それが心なら猶更なんですよ。あなたはそれをしました。僕の、大切な人に」
「誰っ……。誰のことぉ……」
鶴井が名を告げても、女は覚えていなかった。そんな人は知らないと、だから助けてくれと、必死に懇願する。
鶴井は微笑み、女の頭を撫でる。
「あなたは何も悪いことはしていません。ただ、少しばかり僕に体を許すのが早すぎただけです。ですが、体を許したのはあなた自身。何をされたって自己責任ですよ。あとは僕の勝手です。快感を与えるも、弄ぶも、傷つけるも……。どちらにせよ、最後は捨てますが」
残りの漂白剤を、鶴井は女の膣内に流し込んだ。それでも下水の臭いが取れなかったので、女の口にジェル状の排水管クリーナーを注ぎ、余ったジェルは股間にかけた。
「ふが。ふがふが」
ジェルが器官に詰まったのか、女の顔が鬱血していく。体内でクリーナーと漂白剤が混ざり有害ガスを発生させたので、鶴井は焦らず換気をした。
一時間後にはジェルによって陰毛が溶けていた。乳首は漂白されず、肉が爛れただけだった。
死んだ女は、ベッドに漂白剤が入り混じる尿や大便を漏らしていた。
その死体に、三体の生霊が集い、泣いている。
「悲しいかい?」
生霊は頷いた。
「恨みは晴れたかい?」
それにも頷いた。
「君にとっても辛かったね。ごめん」
鶴井が両腕を広げると、三体の生霊は彼の胸に飛び込み、嗚咽を漏らした。
「僕にとっては、ただの恨みの対象だった。愛はなかった」
豆粒生霊が顔を上げ、拗ねたように頬を膨らませる。どうやら鶴井が女と性交するのではないかと心配したらしい。
鶴井は声を出して笑い、生霊を抱きかかえたまま床を転げまわった。
「君というものがありながらするわけないじゃないか。こう見えて、僕は一途なんだ」
ところで、と鶴井は女の鞄からタロットカードを取り出し、広げた。
「君にはこれが、どう見える?」
《ハナクソ》
「これは?」
《ミミクソ》
「うーむ。僕にもだんだんそう見えてきたぞ」
死体処理に来た冴木にも、タロットカードを見せてみた。彼女は一瞥し「うんこ」と答えたので、鶴井は自身が凝った回答をしてしまったことが恥ずかしくなった。
「ええ、どうぞ」
鶴井は煙草に火を点け、女に向かって煙を吐いた。煙の奥にある女の顔は微動だにせず、アルカイックスマイルを浮かべている。
「またご連絡したら、占いに来てくれますか?」
女は表情を崩さないまま、声帯を震わせる。
「ええ、是非。またお声がけください」
「では、今、予約を取っても良いですか」
「えっと……。またスケジュールを確認してから、こちらからご連絡してもいいですか?」
「いいえ。今お願いします」
だってあなた、と鶴井は女の顔を覗き込む。
「のらりくらりと躱して、僕とは二度と会わないつもりでしょう?」
「い、いいえ。そうじゃありません。本当に、今はスケジュールが分からないので……」
「そうですか。残念です」
鶴井が隣に腰かけると、女は体を硬直させ、彼から距離をとった。
鶴井は女に腕を回し、太腿の上に手を乗せる。
「でしたら、残りの時間で僕とセックスしませんか。あなた、僕の言動や性格は好きではないみたいですが、外見はお好きなようなので。言葉を交わすより、体を交える方があなたもいいでしょう」
始めのうちは、愛液を滴らせながらも女は拒絶した。しかし徐々に抵抗する力が弱まり、鶴井の指で絶頂を迎えた頃には、女は自ら足を開いていた。
「さて、ベッドに行きましょうか」
女は大人しく自らの足でついてきた。服を脱げと言えば脱ぎ、足を開けと言えば開く。縄で手を縛られ、ベッドに括りつけられても文句ひとつ言わず、むしろ興奮してシーツにシミを作った。清楚な見た目をしていながら性癖をこじらせている女に、鶴井は苦笑した。
飼っている犬よりも従順な女に、鶴井の下半身は全く反応しなかった。
「あなたに受け入れてもらえて嬉しいです」
女の返答は、喘ぎ声が入り乱れ意味をなさなかった。
「あっ。あっ。わたっ。あっ。そこっ。しもっ。うれしっ。んあ」
鶴井の指は、女の愛液でふやけていた。すっかり力が抜けた女の体をまじまじと見つめ、鶴井は微笑む。
「あなたは美しい顔をしているのに、体は貧相で汚いですねえ」
「えっ。あっ。あっ。な。なっ。なんて。言ったのっ。あん。いま」
鶴井は女の乳首を摘まみ、千切れそうなほど強く引っ張った。
「あああああっ。痛い痛い痛い。もっと。もっと優しく。お願い。お願い」
「ブルーベリーがくっついていますよ。長時間放置していたせいで、色が地面にまで染みて。ああ、みっともない。あ、そうだ。良いことを思いつきました」
鶴井は漂白剤を女の乳首にかけた。
「ちょっと。それなに。なに。やめて。なにそれええ!」
「これをかけたら黒ずみもましになるんじゃないかと思いまして」
女が暴れるせいでベッドが軋む。鶴井は女の足も縄で括りつけた。蛙のように足を開いた状態から動けなくなった女は、屈辱と恐怖で泣き声を漏らしている。
「ううう。うう。やめてえええ。やめてえええ。誰か。誰か助けてえええ」
「嫌がり方にも品を感じますねえ。助かります」
陰核をくすぐると、女は泣きながらも愛液を滴らせた。さらに膣に指を差し込み動かせば、泣き声よりも喘ぎ声が強くなる。よほど快感に弱いらしい。
鶴井は指で女の恥部を広げ、えずくふりをした。
「おえー。こちらも黒ずみがすごいですね。形は歪だし、膣からは下水の臭いがします。それに……」
尻を叩くと、女は潮を吹いた。
「尻に醜い大きなホクロが一つ。尻の穴の入り口にはイボが。ああ、あなた、イボ痔なんですね」
「やめてえええ。ひどい。ひどいいい。見ないで。見ないでぇぇ」
鶴井は肛門に指を突っ込み、勢いよく抜いた。指には異臭を放つ、大便がべっとり付いていた。
「くっさあ。あなた、昨日ニンニクを食べたでしょう。こんなんじゃ、僕の下半身は全く反応しません」
「もうやめてぇぇっ! これ以上私を傷つけないでぇぇっ。辱めないでぇぇぇっ!」
泣き叫ぶ女の両頬を、大便が付着した指で掴む鶴井。彼にしては珍しく、笑みが消え、怒りで目を見開かせていた。
「どうです? 体を許した相手に、体を貶められ、拒絶された気分は」
「ひうっ。うえっ。うあぁう……」
「辛いでしょう。それが心なら猶更なんですよ。あなたはそれをしました。僕の、大切な人に」
「誰っ……。誰のことぉ……」
鶴井が名を告げても、女は覚えていなかった。そんな人は知らないと、だから助けてくれと、必死に懇願する。
鶴井は微笑み、女の頭を撫でる。
「あなたは何も悪いことはしていません。ただ、少しばかり僕に体を許すのが早すぎただけです。ですが、体を許したのはあなた自身。何をされたって自己責任ですよ。あとは僕の勝手です。快感を与えるも、弄ぶも、傷つけるも……。どちらにせよ、最後は捨てますが」
残りの漂白剤を、鶴井は女の膣内に流し込んだ。それでも下水の臭いが取れなかったので、女の口にジェル状の排水管クリーナーを注ぎ、余ったジェルは股間にかけた。
「ふが。ふがふが」
ジェルが器官に詰まったのか、女の顔が鬱血していく。体内でクリーナーと漂白剤が混ざり有害ガスを発生させたので、鶴井は焦らず換気をした。
一時間後にはジェルによって陰毛が溶けていた。乳首は漂白されず、肉が爛れただけだった。
死んだ女は、ベッドに漂白剤が入り混じる尿や大便を漏らしていた。
その死体に、三体の生霊が集い、泣いている。
「悲しいかい?」
生霊は頷いた。
「恨みは晴れたかい?」
それにも頷いた。
「君にとっても辛かったね。ごめん」
鶴井が両腕を広げると、三体の生霊は彼の胸に飛び込み、嗚咽を漏らした。
「僕にとっては、ただの恨みの対象だった。愛はなかった」
豆粒生霊が顔を上げ、拗ねたように頬を膨らませる。どうやら鶴井が女と性交するのではないかと心配したらしい。
鶴井は声を出して笑い、生霊を抱きかかえたまま床を転げまわった。
「君というものがありながらするわけないじゃないか。こう見えて、僕は一途なんだ」
ところで、と鶴井は女の鞄からタロットカードを取り出し、広げた。
「君にはこれが、どう見える?」
《ハナクソ》
「これは?」
《ミミクソ》
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