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第四章 女神に一目惚れした少年と報われない恋
104 現(うつつ)の女神
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「(暇を持て余す創造神……ニート?)」
「ニートではないわ!」
「心まで読まないでくれー……」
そう言いながら、私はゼウスから本を受け取ろうとした。しかし、
「これ、願いの女神から貰った物か?」
「うん、そうだけど、どうかしたの?」
ゼウスは私に取られないように背を向けた。
「願いの女神が宇宙の願いを聞き届けたか? そうか! 風羽がここに残っているのもそういうことか!」
「えーっと、本と私がどうしたの?」
「その前に、この本ともう1つ一緒に生み出された物はあるか?」
「うーん……渡されたのはこれだよ」
私は夢羽から渡された黒縁メガネを、カバンから取り出してゼウスに渡した。
「たしかにこれだ。この本とメガネの組み合わせで1つの神器となっている。この神器と、風羽。そなたも願いの女神が宇宙の願いを叶え、残した存在だ」
「私が? なんで?」
「そうだ。我もわからんが宇宙そのものにも意思があるようだ。その宇宙が消えたくないと願ったのだろう。その願いを、願いの女神である夢羽が無意識に叶えたというわけだ」
「なるほど……」
私はそう言いながらゼウスに近づき、奪われたままの本を取り返そうとした。
それをゼウスは避け、本の表紙にメガネを置いて、それらを手のひらの上に置いた。
「この神器はまだ何の依代にもなっていない。そして、そなたもまた『記憶の女神』という不安定な神のままだ」
「不安定?」
「願いの女神との双神だからな。その願いの女神も宇宙の崩壊に巻き込まれて消えてしまったから、宇宙の誕生時にも巻き込まれてしまう可能性がある」
「(こわ!)」
「どうすればいいの?」
「まあ待て。そこに立っておれ」
ゼウスは本とメガネを1つの光の玉に入れ、それを私の隣に浮かせた。そして
「な!?」
ゼウスがいきなり、私の腹に手を突っ込んできた。
「突き刺さってる!」
「落ち着け。すぐ終わる」
ゼウスはそう言い、私の腹から手を抜いた。
その手の中には手紙の封筒が握られていた。その封筒には、魂のカケラだと思われる切手が2枚貼られている。
その封筒を本とメガネの入った光の玉に入れ、さっきとは別の1通の手紙の封筒を取り出し、それにゼウスのポケットから取り出した新たな切手を貼り付けた。
そしてその切手を貼った封筒を私の腹に入れた。
「え? 何入れた?」
ゼウスは私の声を無視し、次に光の玉の中から本とメガネを取り出し、私の目の前にメガネだけを差し出してきた。
「ほれ。これで完了だ」
私は差し出されたメガネを受け取った。
「これでそなたは、全知全能の創造神である我の執行代理神『現の女神』だ」
ゼウスは持っていた本をその場に浮かせた。
「え? 記憶の女神だったんじゃ?」
「順を追って説明する」
「……はい」
「そなたから取った封筒がそなたの魂だ。あの切手は能力を付与した我の魂のカケラだ。それで、光の玉から取った封筒が神器の魂だ。それらを入れ替えた」
さっきも見たどういう原理で再現しているのかわからない方法で、私が実際にやられた事を再現している。
「いや、入れ替えたら私は神器になっちゃうじゃん」
「まあ落ち着け。神々の魂は器に宿る。神器の魂はそなたが知ってる言葉で言うと、アンテナのような物だ。本体と器が一緒なのは付喪神のような最下位神だけだ」
「(あ、付喪神も存在するのね)」
「そなたも持っていたではないか」
「うん? あ! 双子銃!?」
「そうだ」
「話を戻すぞ。もし、その身体が無くなったとしても、魂が別の場所にあるからまた復活できるようになる」
作り出された人型の頭上にパラボラアンテナが現れた。そして浮いていた本の上に封筒が現れ、そこから電波のような物が飛んで人型のアンテナに受信された。
そして次のシーンに移ったのか、人型が突然弾け飛び、そしてまた別の人型が現れた。
「なるほど……そうだったのね……」
「ああ。それで、器を安定した物に変えたことで、今まで最下位の不安定な『記憶の女神』から、最上位の『現の女神』に変わったわけだ」
「ってことは、その本が私の本体ってことじゃん! 返して!」
私は浮いていた本を取ろうとしたが、勝手に動いてゼウスの元へと飛んでいった。
「いや、これは我が預かっておく。誰も干渉できないこの空間に置いておくと、その身体が消滅しても復活できる。無敵だ」
「(無敵って言われても……なんか変な気分……)」
「まあ、慣れる」
渡されたメガネを見て、レンズに曇りはないか確認した。
「……ちなみに夢羽は?」
「夢羽は銀河系の神々と同位だ」
「なるほど……」
メガネをカバンに入れようとした。
「待て」
「うん?」
「そのメガネをかけてみろ」
「え? なんで?」
「いいから」
「(……ゼウス様メガネフェチ?)」
私は渋々黒縁メガネをかけた。
「我はメガネフェチではない。ほれ、どうだ?」
「どうだって言われても……んん?」
なぜか、ゼウスの手元にある本が、もう1冊増えて目の前にあった。
「ニートではないわ!」
「心まで読まないでくれー……」
そう言いながら、私はゼウスから本を受け取ろうとした。しかし、
「これ、願いの女神から貰った物か?」
「うん、そうだけど、どうかしたの?」
ゼウスは私に取られないように背を向けた。
「願いの女神が宇宙の願いを聞き届けたか? そうか! 風羽がここに残っているのもそういうことか!」
「えーっと、本と私がどうしたの?」
「その前に、この本ともう1つ一緒に生み出された物はあるか?」
「うーん……渡されたのはこれだよ」
私は夢羽から渡された黒縁メガネを、カバンから取り出してゼウスに渡した。
「たしかにこれだ。この本とメガネの組み合わせで1つの神器となっている。この神器と、風羽。そなたも願いの女神が宇宙の願いを叶え、残した存在だ」
「私が? なんで?」
「そうだ。我もわからんが宇宙そのものにも意思があるようだ。その宇宙が消えたくないと願ったのだろう。その願いを、願いの女神である夢羽が無意識に叶えたというわけだ」
「なるほど……」
私はそう言いながらゼウスに近づき、奪われたままの本を取り返そうとした。
それをゼウスは避け、本の表紙にメガネを置いて、それらを手のひらの上に置いた。
「この神器はまだ何の依代にもなっていない。そして、そなたもまた『記憶の女神』という不安定な神のままだ」
「不安定?」
「願いの女神との双神だからな。その願いの女神も宇宙の崩壊に巻き込まれて消えてしまったから、宇宙の誕生時にも巻き込まれてしまう可能性がある」
「(こわ!)」
「どうすればいいの?」
「まあ待て。そこに立っておれ」
ゼウスは本とメガネを1つの光の玉に入れ、それを私の隣に浮かせた。そして
「な!?」
ゼウスがいきなり、私の腹に手を突っ込んできた。
「突き刺さってる!」
「落ち着け。すぐ終わる」
ゼウスはそう言い、私の腹から手を抜いた。
その手の中には手紙の封筒が握られていた。その封筒には、魂のカケラだと思われる切手が2枚貼られている。
その封筒を本とメガネの入った光の玉に入れ、さっきとは別の1通の手紙の封筒を取り出し、それにゼウスのポケットから取り出した新たな切手を貼り付けた。
そしてその切手を貼った封筒を私の腹に入れた。
「え? 何入れた?」
ゼウスは私の声を無視し、次に光の玉の中から本とメガネを取り出し、私の目の前にメガネだけを差し出してきた。
「ほれ。これで完了だ」
私は差し出されたメガネを受け取った。
「これでそなたは、全知全能の創造神である我の執行代理神『現の女神』だ」
ゼウスは持っていた本をその場に浮かせた。
「え? 記憶の女神だったんじゃ?」
「順を追って説明する」
「……はい」
「そなたから取った封筒がそなたの魂だ。あの切手は能力を付与した我の魂のカケラだ。それで、光の玉から取った封筒が神器の魂だ。それらを入れ替えた」
さっきも見たどういう原理で再現しているのかわからない方法で、私が実際にやられた事を再現している。
「いや、入れ替えたら私は神器になっちゃうじゃん」
「まあ落ち着け。神々の魂は器に宿る。神器の魂はそなたが知ってる言葉で言うと、アンテナのような物だ。本体と器が一緒なのは付喪神のような最下位神だけだ」
「(あ、付喪神も存在するのね)」
「そなたも持っていたではないか」
「うん? あ! 双子銃!?」
「そうだ」
「話を戻すぞ。もし、その身体が無くなったとしても、魂が別の場所にあるからまた復活できるようになる」
作り出された人型の頭上にパラボラアンテナが現れた。そして浮いていた本の上に封筒が現れ、そこから電波のような物が飛んで人型のアンテナに受信された。
そして次のシーンに移ったのか、人型が突然弾け飛び、そしてまた別の人型が現れた。
「なるほど……そうだったのね……」
「ああ。それで、器を安定した物に変えたことで、今まで最下位の不安定な『記憶の女神』から、最上位の『現の女神』に変わったわけだ」
「ってことは、その本が私の本体ってことじゃん! 返して!」
私は浮いていた本を取ろうとしたが、勝手に動いてゼウスの元へと飛んでいった。
「いや、これは我が預かっておく。誰も干渉できないこの空間に置いておくと、その身体が消滅しても復活できる。無敵だ」
「(無敵って言われても……なんか変な気分……)」
「まあ、慣れる」
渡されたメガネを見て、レンズに曇りはないか確認した。
「……ちなみに夢羽は?」
「夢羽は銀河系の神々と同位だ」
「なるほど……」
メガネをカバンに入れようとした。
「待て」
「うん?」
「そのメガネをかけてみろ」
「え? なんで?」
「いいから」
「(……ゼウス様メガネフェチ?)」
私は渋々黒縁メガネをかけた。
「我はメガネフェチではない。ほれ、どうだ?」
「どうだって言われても……んん?」
なぜか、ゼウスの手元にある本が、もう1冊増えて目の前にあった。
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