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雨露の結晶
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雨上がりは植物たちがざわついている。
雨粒を浴びすくすくと成長する植物たちは中々の見ものだ。
だが、今回必要なのは植物についたまま取り残された雨露だ。トゥエは零さないようにと静かに雨露が残っている葉先に小瓶を近付け雨露を中に入れる。半分くらいの量になるまでこれを繰り返し、次々と小瓶の中に雨露を入れていく。途中、何度かいたずら好きの妖精に邪魔をされたがなんとか全ての瓶に入れ終わった。
あとはこれを結晶化させるだけなのだが、それは作業場で行うことにする。
中身を溢さないように慎重に歩き静かに作業場の扉を開け、作業机の上に小瓶の入った木箱を置く。
「ふう」
トゥエは一息吐くとぐぐ、と身体を伸ばした。
小瓶に栓をし、手の平で包み隠すと魔力を込めて上から下へと思い切り振る。
そうすると中に入っていた雨露が結晶化するのだ。
トゥエは手の平を開き結晶化されているのを確認すると後でクアットに封付けをしてもらうために別の箱に入れる。
全ての小瓶の結晶化が終わった所でクアットがやってきたので封付けを頼み開店の準備をすることにした。
埃をはたき落し、落ちた埃は箒で纏める。天井からぶら下がった幾つもの電灯の電球が切れていないかを確認し問題なければ商品の補充を行う。昨日は星のカケラと月のカケラをいつものギャルソンの旦那がまとめ買いをしていったのでその二種類の補充をする。他にもいくつか少なくなっている商品を補充したらいつの間にか開店の時間になっていた。
扉の鍵を開け扉にかかっているカードをOPENに変えた所で、アイリス達がやって来た。ポーションの納品を頼んでいたのでそれだろうと思ったが変に焦っている。
「どうかしたのか?」
「あの、行き倒れの人を見つけて、それで薬を」
「行き倒れを見つけてな、それに薬を作ってやりたいから雨露の結晶をくれないか」
アイリスがまごまごしていると、一緒についてきていたカークがそう言う。
「ああ、待ってな」
そう言って扉を開け中に戻るとクアットが一瓶持って待っていた。
「ん」
「ありがとな、クー」
礼を言い受け取るとトゥエは店の外に戻り、アイリスに手渡した。
「ありがとうございます!」
「悪いな、朝から」
「気にすんなよ」
カークの言葉にトゥエはそう返すと二人は、というよりアイリスが急ぎ足で帰って行った。
トゥエはそんな二人を見送ってから店内に戻ると定位置の止まり木に戻ったクアットが話しかけてくる。
「相変わらず元気な娘だな」
「まあ、そう言うなよ。元気なのはいいことだろ?」
トゥエがそう言うとクアットは「フン」と言い目を瞑り眠り始める。
それを見ながらトゥエは苦笑しカウンターの中に入っていくのだった。
雨粒を浴びすくすくと成長する植物たちは中々の見ものだ。
だが、今回必要なのは植物についたまま取り残された雨露だ。トゥエは零さないようにと静かに雨露が残っている葉先に小瓶を近付け雨露を中に入れる。半分くらいの量になるまでこれを繰り返し、次々と小瓶の中に雨露を入れていく。途中、何度かいたずら好きの妖精に邪魔をされたがなんとか全ての瓶に入れ終わった。
あとはこれを結晶化させるだけなのだが、それは作業場で行うことにする。
中身を溢さないように慎重に歩き静かに作業場の扉を開け、作業机の上に小瓶の入った木箱を置く。
「ふう」
トゥエは一息吐くとぐぐ、と身体を伸ばした。
小瓶に栓をし、手の平で包み隠すと魔力を込めて上から下へと思い切り振る。
そうすると中に入っていた雨露が結晶化するのだ。
トゥエは手の平を開き結晶化されているのを確認すると後でクアットに封付けをしてもらうために別の箱に入れる。
全ての小瓶の結晶化が終わった所でクアットがやってきたので封付けを頼み開店の準備をすることにした。
埃をはたき落し、落ちた埃は箒で纏める。天井からぶら下がった幾つもの電灯の電球が切れていないかを確認し問題なければ商品の補充を行う。昨日は星のカケラと月のカケラをいつものギャルソンの旦那がまとめ買いをしていったのでその二種類の補充をする。他にもいくつか少なくなっている商品を補充したらいつの間にか開店の時間になっていた。
扉の鍵を開け扉にかかっているカードをOPENに変えた所で、アイリス達がやって来た。ポーションの納品を頼んでいたのでそれだろうと思ったが変に焦っている。
「どうかしたのか?」
「あの、行き倒れの人を見つけて、それで薬を」
「行き倒れを見つけてな、それに薬を作ってやりたいから雨露の結晶をくれないか」
アイリスがまごまごしていると、一緒についてきていたカークがそう言う。
「ああ、待ってな」
そう言って扉を開け中に戻るとクアットが一瓶持って待っていた。
「ん」
「ありがとな、クー」
礼を言い受け取るとトゥエは店の外に戻り、アイリスに手渡した。
「ありがとうございます!」
「悪いな、朝から」
「気にすんなよ」
カークの言葉にトゥエはそう返すと二人は、というよりアイリスが急ぎ足で帰って行った。
トゥエはそんな二人を見送ってから店内に戻ると定位置の止まり木に戻ったクアットが話しかけてくる。
「相変わらず元気な娘だな」
「まあ、そう言うなよ。元気なのはいいことだろ?」
トゥエがそう言うとクアットは「フン」と言い目を瞑り眠り始める。
それを見ながらトゥエは苦笑しカウンターの中に入っていくのだった。
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