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第十四章 佐久間仁と新生活
第四話 2人の3月26日
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3月26日。福岡の地は春の匂いが充満していた。小倉駅に到着した要は新幹線から電車へ乗り換える。
あまり降りたことの無い駅でおり、新居へと向かった。
恋人の迎えはなし。要はたった一人で、桜が満開を迎えた並木道を歩く。心は心機一転、浮足立つ要をそうさせていたのは、恋人との同棲が始まる新居へ向かっていたからだけではない。今日、松田要は26歳の誕生日を迎えたのだ。
そしてアパートに着き、真新しい鍵で解錠すると既に先客がいた。
「ただいま」
と言えば、午前中に引っ越しを終えた仁がリビングにいた。段ボールから顔を上げ、視線をずらしながら「うん」と言う。
それは要の欲しい返事ではなく再チャレンジを試みる。
「ただいま!」
「……お、おかえりなさい」
ぎこちなく丁寧に言う仁を要は抱きしめる。
「あと……誕生日おめでとう」
同じく30歳の誕生日を迎えた仁に囁く。
「要もね」
「四捨五入したらお前と同じ30だ」
「意味わかんない」
要の腕を振りほどいた仁が見上げると、もう二度とこの地を離れない男が部屋を見渡していた。
「今日から一緒だな」
「そうだね」
「よろしくな仁」
「うん」
ゆっくりと顔を近づけキスをする。もう一度と唇を寄せた時、部屋のインターフォンが鳴る。
「来た来た!」
サッとキスをして、玄関にかけていく要がドアを開けると、本日2度目の引っ越し業者が部屋に入ってきた。荷物は愛知県から運ばれてきたものだ。
「あっ、ベッドこっちで」
と廊下側の一部屋にベッドを運び込むようお願いしていた要を仁が押しのける。
「あっちでお願いします」
ベッドはリビングに面したもう一部屋に運び込まれ、他の荷物たちもそこに納まった。要望通り、2LDKのしかも南向き、前に比べ会社からは遠いが、電車があるので通える距離だ。要は駄々を捏ねてみたが結局部屋は別々で、仁が廊下に面した一室を、要がリビングに面した一室を使うことになった。リビングから完璧に隔絶された仁の部屋は、昔のアパートで使っていたソファーやテレビが運び込まれていて、そこだけで充分で生活できそうだ。そのため仁が自室に篭って仕舞わないかが要には心配で仕方なかった。
「本当に部屋別々なのか?」
引っ越し業者が仕事を終え帰った後、すぐさま要が不貞腐れて聞く。
「当たり前でしょ」
嬉しそうにやはり自分の部屋へ行ってしまった仁を追いかける。
「エッチどうすんだよ」
「どっちかの部屋ですればいいじゃん」
「毎晩夜這いしていいのか?」
「……月一」
非現実的な数字にげっそりしてしまう。
「お前は我慢できるのかよ」
「うん」
「嘘つけ」
要が試しに誘ってみようと、仁の背中に指を這わせる。
「もう貴重な一回使うの?」
にひるに笑った顔が振り向き、楽しそうに聞いてくる。
「何かお前機嫌がいいな」
「要は機嫌悪そう」
「だって部屋別々だし……」
「残念だったね」
「お前は何で機嫌がいいんだよ……あっ誕生日が嬉しいとか?」
「馬鹿じゃないの?」
今度はリビングに逃げてしまう仁がどうして機嫌がいいのかもちろん知っている。要以上に同棲を楽しみにしていたからだろう。いつもならどうにかしてでも隠す彼が、喜びを隠せない程の事柄なのだ。
「それにしてもよく休みが取れたよね」
「俺?」
「そう、君」
引っ越しの為に、すべての仕事を終わらせ、残り31日までは有休を出したのだ。急に出向してきたかと思えば、半年で復帰、しかもインドとのパイプラインを作った要は、日本支社に嵐を巻き起こした男として少し有名だ。そんな彼が最後に連続した休暇を取得して、事実上早めの出向切り上げをしたので、最後まで周りは驚いていた。
「いいんだよ。やることやったし、31日に引っ越し、そんで翌日から門司支社復帰の方がどう考えても無理があんだろ」
「確かに」
「月嶋や村崎部長元気かなー? 楽しみだな!」
インテリア事業部の面々を思い出している要に、仁は何かを言いかけたが止めた。
「そろそろ行くか」
「もう?」
「おう! 行こうぜ、お揃いの食器買いに」
お互いの誕生日プレゼントに食器を買おうと約束をしていて、もちろんこういうことを言い出すのも要だ。仁は言葉より行動や仕草に気持ちが現れることが多い。
「要が赤ね」
男には似合わない色を押し付けてきたが、その言葉には、恋人が買う定番の赤と青の食器を連想している仁がいて、それに気が付いて口角が上がってしまう。
「お前、本当可愛いよな」
「はっ?」
「いや、別に……行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「仁は?」
「……い、行ってきます」
「行ってらっしゃい!」
そしてベタにもキスをし、沸騰して真っ赤になる仁を置いて玄関から飛び出る。怒った顔をした仁が鍵を閉め、追いつきブツブツ呟く。
「毎日する気?」
「おう!」
「……あっそ」
新婚のベタなやり取りに許可を貰い、二人でインテリアショップへ向かい、食器を買いそろえる。お茶碗から箸から、コップまで全てお揃いだ。
「……店内見てくる」
一緒にレジに並ぶのは恥ずかしかったのか仁がお金を渡して離れて行く。払い終えて店内を探し回れば寝具のコーナーにいた。しかもダブルベッドのところだ。要の存在に気が付き慌ててソファーのコーナーに行ったが、ソファーは既に持っている。
「やっぱり買うか?」
「ソファー?」
「ちげえよ……あれ」
寝具コーナーへ視線を向けたが、仁はスタコラ出口へ向かっていた。
「早く帰ろ」
耳を赤くした仁の後姿を見て
(やべ、月一回の夜這い今日で使っちまう)
と確信した要だった。
そして帰宅後、要はとんでもない事実を知ってしまう。
「お前、料理できんのかよ!」
「うん」
涼しい顔で言う仁が晩御飯に作ってくれたのは、赤魚の煮つけ、味噌汁、そして大根サラダだった。「今日は俺が作る」と初めて台所で調理する仁を不安気に見守っていたが、軽快な包丁の音、食欲をそそる匂いに唖然としてしまった。
「前は作ってくれなかったじゃねえか」
花火大会用の浴衣を買いに行った時、料理を断ったせいで苦手だと思っていた要。
「あのね、30代の独身なの。これぐらいできる」
「もう独身じゃねえだろ」
「……食べなくてよろしい」
「悪かったよ!」
皿を下げようとする仁の手を払いのける。
「いただきます」
「いただきます……うまっ!」
口の中に広がる甘辛い煮つけのタレでご飯が進んでしまう。
「よかったね」
いつもと何ら変わらないであろう仁は特に表情も変えずに味噌汁を飲む。要も味噌汁を口にすれば
「やべえ、毎朝飲みたい」
「よかったね」
「……サラダも、うますぎ」
「いい大根なんじゃないの?」
照れ隠しの冷たい声が聞こえてくる。
「仁……」
「何?」
「愛妻弁当作って」
「そんなもの作れない」
「弁当」が駄目なのか、「愛妻弁当」が駄目なのかは分からないが、答えは出勤初日に分かった。どうやら「弁当」はOKのようだ。
4月1日の朝、無言で手渡された紙袋を大事に抱えて頬ずりをしてしまった。
「今日、弁当箱買って帰るから遅くなる。うわあ……今の発言、夫ぽくね?」
「……どこが?」
玄関で革靴を履き、出勤しようとする仁を止める。
「何?」
「……」
要は無言で仁を見つめる。
「遅刻するんだけど」
「……」
唇を突き出す要に仁は折れた。
「……もう! ……行ってきます!」
チュッと雑に唇を押し付けてくる。
「行ってらっしゃい。俺も、行ってきます!」
今度は丁寧に長く要から仁にキスをする。
「行ってらっしゃい」
こちらを見ずに先に出勤していく彼と同じ目的地まで行くため要も慌てて準備をする。
「久しぶりのオフィスだ!」
と散りゆく桜の花びらを纏った要に、仁は再び何かを言いかけた。
しかし仁は口を閉じた。
あまり降りたことの無い駅でおり、新居へと向かった。
恋人の迎えはなし。要はたった一人で、桜が満開を迎えた並木道を歩く。心は心機一転、浮足立つ要をそうさせていたのは、恋人との同棲が始まる新居へ向かっていたからだけではない。今日、松田要は26歳の誕生日を迎えたのだ。
そしてアパートに着き、真新しい鍵で解錠すると既に先客がいた。
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と言えば、午前中に引っ越しを終えた仁がリビングにいた。段ボールから顔を上げ、視線をずらしながら「うん」と言う。
それは要の欲しい返事ではなく再チャレンジを試みる。
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「……お、おかえりなさい」
ぎこちなく丁寧に言う仁を要は抱きしめる。
「あと……誕生日おめでとう」
同じく30歳の誕生日を迎えた仁に囁く。
「要もね」
「四捨五入したらお前と同じ30だ」
「意味わかんない」
要の腕を振りほどいた仁が見上げると、もう二度とこの地を離れない男が部屋を見渡していた。
「今日から一緒だな」
「そうだね」
「よろしくな仁」
「うん」
ゆっくりと顔を近づけキスをする。もう一度と唇を寄せた時、部屋のインターフォンが鳴る。
「来た来た!」
サッとキスをして、玄関にかけていく要がドアを開けると、本日2度目の引っ越し業者が部屋に入ってきた。荷物は愛知県から運ばれてきたものだ。
「あっ、ベッドこっちで」
と廊下側の一部屋にベッドを運び込むようお願いしていた要を仁が押しのける。
「あっちでお願いします」
ベッドはリビングに面したもう一部屋に運び込まれ、他の荷物たちもそこに納まった。要望通り、2LDKのしかも南向き、前に比べ会社からは遠いが、電車があるので通える距離だ。要は駄々を捏ねてみたが結局部屋は別々で、仁が廊下に面した一室を、要がリビングに面した一室を使うことになった。リビングから完璧に隔絶された仁の部屋は、昔のアパートで使っていたソファーやテレビが運び込まれていて、そこだけで充分で生活できそうだ。そのため仁が自室に篭って仕舞わないかが要には心配で仕方なかった。
「本当に部屋別々なのか?」
引っ越し業者が仕事を終え帰った後、すぐさま要が不貞腐れて聞く。
「当たり前でしょ」
嬉しそうにやはり自分の部屋へ行ってしまった仁を追いかける。
「エッチどうすんだよ」
「どっちかの部屋ですればいいじゃん」
「毎晩夜這いしていいのか?」
「……月一」
非現実的な数字にげっそりしてしまう。
「お前は我慢できるのかよ」
「うん」
「嘘つけ」
要が試しに誘ってみようと、仁の背中に指を這わせる。
「もう貴重な一回使うの?」
にひるに笑った顔が振り向き、楽しそうに聞いてくる。
「何かお前機嫌がいいな」
「要は機嫌悪そう」
「だって部屋別々だし……」
「残念だったね」
「お前は何で機嫌がいいんだよ……あっ誕生日が嬉しいとか?」
「馬鹿じゃないの?」
今度はリビングに逃げてしまう仁がどうして機嫌がいいのかもちろん知っている。要以上に同棲を楽しみにしていたからだろう。いつもならどうにかしてでも隠す彼が、喜びを隠せない程の事柄なのだ。
「それにしてもよく休みが取れたよね」
「俺?」
「そう、君」
引っ越しの為に、すべての仕事を終わらせ、残り31日までは有休を出したのだ。急に出向してきたかと思えば、半年で復帰、しかもインドとのパイプラインを作った要は、日本支社に嵐を巻き起こした男として少し有名だ。そんな彼が最後に連続した休暇を取得して、事実上早めの出向切り上げをしたので、最後まで周りは驚いていた。
「いいんだよ。やることやったし、31日に引っ越し、そんで翌日から門司支社復帰の方がどう考えても無理があんだろ」
「確かに」
「月嶋や村崎部長元気かなー? 楽しみだな!」
インテリア事業部の面々を思い出している要に、仁は何かを言いかけたが止めた。
「そろそろ行くか」
「もう?」
「おう! 行こうぜ、お揃いの食器買いに」
お互いの誕生日プレゼントに食器を買おうと約束をしていて、もちろんこういうことを言い出すのも要だ。仁は言葉より行動や仕草に気持ちが現れることが多い。
「要が赤ね」
男には似合わない色を押し付けてきたが、その言葉には、恋人が買う定番の赤と青の食器を連想している仁がいて、それに気が付いて口角が上がってしまう。
「お前、本当可愛いよな」
「はっ?」
「いや、別に……行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「仁は?」
「……い、行ってきます」
「行ってらっしゃい!」
そしてベタにもキスをし、沸騰して真っ赤になる仁を置いて玄関から飛び出る。怒った顔をした仁が鍵を閉め、追いつきブツブツ呟く。
「毎日する気?」
「おう!」
「……あっそ」
新婚のベタなやり取りに許可を貰い、二人でインテリアショップへ向かい、食器を買いそろえる。お茶碗から箸から、コップまで全てお揃いだ。
「……店内見てくる」
一緒にレジに並ぶのは恥ずかしかったのか仁がお金を渡して離れて行く。払い終えて店内を探し回れば寝具のコーナーにいた。しかもダブルベッドのところだ。要の存在に気が付き慌ててソファーのコーナーに行ったが、ソファーは既に持っている。
「やっぱり買うか?」
「ソファー?」
「ちげえよ……あれ」
寝具コーナーへ視線を向けたが、仁はスタコラ出口へ向かっていた。
「早く帰ろ」
耳を赤くした仁の後姿を見て
(やべ、月一回の夜這い今日で使っちまう)
と確信した要だった。
そして帰宅後、要はとんでもない事実を知ってしまう。
「お前、料理できんのかよ!」
「うん」
涼しい顔で言う仁が晩御飯に作ってくれたのは、赤魚の煮つけ、味噌汁、そして大根サラダだった。「今日は俺が作る」と初めて台所で調理する仁を不安気に見守っていたが、軽快な包丁の音、食欲をそそる匂いに唖然としてしまった。
「前は作ってくれなかったじゃねえか」
花火大会用の浴衣を買いに行った時、料理を断ったせいで苦手だと思っていた要。
「あのね、30代の独身なの。これぐらいできる」
「もう独身じゃねえだろ」
「……食べなくてよろしい」
「悪かったよ!」
皿を下げようとする仁の手を払いのける。
「いただきます」
「いただきます……うまっ!」
口の中に広がる甘辛い煮つけのタレでご飯が進んでしまう。
「よかったね」
いつもと何ら変わらないであろう仁は特に表情も変えずに味噌汁を飲む。要も味噌汁を口にすれば
「やべえ、毎朝飲みたい」
「よかったね」
「……サラダも、うますぎ」
「いい大根なんじゃないの?」
照れ隠しの冷たい声が聞こえてくる。
「仁……」
「何?」
「愛妻弁当作って」
「そんなもの作れない」
「弁当」が駄目なのか、「愛妻弁当」が駄目なのかは分からないが、答えは出勤初日に分かった。どうやら「弁当」はOKのようだ。
4月1日の朝、無言で手渡された紙袋を大事に抱えて頬ずりをしてしまった。
「今日、弁当箱買って帰るから遅くなる。うわあ……今の発言、夫ぽくね?」
「……どこが?」
玄関で革靴を履き、出勤しようとする仁を止める。
「何?」
「……」
要は無言で仁を見つめる。
「遅刻するんだけど」
「……」
唇を突き出す要に仁は折れた。
「……もう! ……行ってきます!」
チュッと雑に唇を押し付けてくる。
「行ってらっしゃい。俺も、行ってきます!」
今度は丁寧に長く要から仁にキスをする。
「行ってらっしゃい」
こちらを見ずに先に出勤していく彼と同じ目的地まで行くため要も慌てて準備をする。
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