テトテヲトッテ ~杖と拳と時々亜人~

更楽 茄子

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最終話 ナイトライダー伝説

その22

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その後、4人は色んな地域から特産品の露店が集まっているという通りに向う。

ドラゴンの描いてあるレリーフ、見たこともない動きをする変な玩具、独特の色とデザインの服、きれいな宝石をはめ込まれた装飾品。

今まで見たこともない工芸品が並んでおり、3人は目を輝かせながら店を見て回る。

ちなみに青年は、話には入ってこないものの、後ろからきちんと着いてきてくれていた。



「なんかいっぱい歩いてちょっと疲れちゃったね…あ、あそこにカフェがあるよ!」

リズの提案で4人はオープンカフェの様な店へと入り席に着く。

ラーズと黒衣の青年はハーブ茶、リズと少女は果実を絞ったジュースを頼み、雑談をしながらゆったりとする。


「そろそろ宿を探しにかないとだね」

リズがそう言うと、ずっと少女の横に座っていた黒衣の青年が急に席を立ちあがる。

「すぐ戻る」とだけ3人に伝えると、店の外に向かう青年。



少しして青年が戻ってくると、少女の真横に来た。

「ちょっと面倒な事になりそうだ。女、戻るぞ」

言われた少女は青年の方をじっと見ると、リズ達の方に向き頭を下げた。


「すみません、ちょっと急用ができましたの。わたくし達はこれから戻りますの」

なにを言われたか分からず、少し考えた後にリズが口を開く。

「え?。マレットちゃん、戻るってどこへ?」

「ウィズ=ダム…ですのよね?」

少女が首を向けて尋ねると、青年はこくりと頷く。


「というわけですので、すいませんが護衛を後は皆様にお願いしますの。あとジャスティンさんにも、そう伝えてもらえると嬉しいですの」

「戻るって、どうやって行くんだよ?。たまたまウィズ=ダム行きの乗り合い馬車でもありゃいいけど、もしなくて自分達だけで戻ろうってなら、とんでもない金額が掛かるぞ!?」

ラーズも二人を心配しているようだ。

「…それはオレにちょっと伝手がある。大丈夫だ」

少女が横で「そうなんですの?」と質問してるあたり、青年の独断らしい。


「…そっか、まぁそれなら仕方ないか…オレ、絶対強くなる!。あと、商団キャラバンは絶対に守る、安心して任せてくれ!」

ラーズが青年に手を差し出す。青年はその手を取ると「無理だけはするなよ」と一言釘をさした。

「そっか、短い間だったけど楽しかったよ。また一緒に冒険しようね」

「はい、そのときはよろしくですの」

女の子二人も手を取り、別れを惜しむ。


そして少女と青年は並んで、自分達が入って来た街の入口へと向かって歩いていく。

ラーズとリズはそんな2人の背中を、見えなくなるまでじっと見ていた。



街の入り口ので兵士に一礼をすると、2人は街の外へと出た。

青年が前を歩きしばらく街道を歩いていると、後ろの少女が質問をしてきた。


「ところで、どうやって戻りますの?。なにか手があるって言ってましたの?」

少女がそう言うと、青年は横の林を指さして入っていき、少女も後を追う。



ある程度進んで木々に隠れて街道が見えなくなった辺りで、青年が立ち止まる。

「早く帰った方が良さそうだからな。を使う」

青年がそう言うと、目の前の地面がモヤモヤしたと思うと、中から大きな動物の様ななにかが出てきた。


形だけ見たら馬…なのだが、そのサイズがおかしい。

普通の馬のゆうに3倍の大きさはあるように見える。


その上その骨の馬にはさらに異質なところがあった。

それは足が4対…8本足の馬の骨だったのだ。


「魔獣スレイプニールの骨を基に作られた、オレの愛馬だ」

それだけ言うと青年は馬に飛び乗り、手を伸ばし少女も引き上げる。

そしていつ用意していたのか、黒い大きな布をリュックから取り出すと、自分と少女の体をそれで覆う。


「すごい高さですの…」

布の隙間から見える景色に少女は感動の声をあげる─────この馬の骨に対する感想は特になかったようだ。

「…飛ばすぞ」

そう言うと、2人を乗せた巨馬は木の間を抜け街道に出ると、どんどん加速しながら駆けてゆく。

その速さは普通の馬の倍…いや3倍くらいは速く見えた。

轟音で蹄の音を響かせながら街道を爆走する骨の巨馬。



これがのちに語り伝えられることになる『街道の闇騎馬ナイトライダー』と呼ばれる伝説のもとになる事件だったのは、少女達が知る由もなかった。

 
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