22 / 66
【先行公開版】第一章 壁 - Wall -
砲撃 - The Shelling - 1
しおりを挟む
◯アル・シマー小学校・2階・教室(日替わり・夜)
就寝準備のためにマットを敷いているエーリン。
ラシャーが年上の女の子と連れ立ってやって来る。
少し照れたように「今日は、ザイナと一緒に寝るの」
エーリン、微笑む。
「そう、いいわね」
ラシャー「おやすみなさい」
エーリン「おやすみなさい。きっといい夢が見られるわ」
ラシャーとザイナ、手を取り合って隣の教室に向かう。
エーリン、ほっとする。
(ラシャー、元気になってきたのね)
✕ ✕ ✕
エーリンを独占できて嬉しそうなリリアン。エーリンとくすぐりあってクスクス笑い、エーリンに抱きついて眠る。
エーリン、リリアンが眠ってから隣のライラに尋ねる。
「リリアンは3歳よね? そろそろお喋りする頃かしら…?」
ライラ「リリアンは、以前は喋れていたようです。両親を失ってから言葉を発しなくなったと聞きました」
エーリン「そうだったの…」
リリアンをきゅっと抱き締め目を閉じる。
ドォォン
バアァーン
遠くで、近くで、断続的な砲撃音が聞こえる。
エーリン(今夜は多いわね…)
気になって寝付けなかったが、いつしか眠りに落ちる。
◯2階・教室(早朝)
シュウゥゥゥ
ド、グヮッシャァァッ!!!!!!
大音量と凄まじい衝撃。
校舎がグラグラ激しく揺れる。
天井や壁がきしみ、天井の石膏の破片がバラバラと顔や体に落ちてくる。
「!!?」
エーリン目覚める。
耳をつんざくような子供たちの悲鳴。
飛び起きたライラとテクラが、教室から駆け出していく。
エーリンも慌てて起き上がり、怯えてしがみつくリリアンを抱えて、二人の後を追う。
◯2階・隣の教室
もうもうと埃が舞っている。
血の匂いと、子供たちの叫び声。
壁や天井が崩れ、教室の壁に開いた大穴から明け方の空と市街地が見える。
大量の血と小さな手足が大穴を中心に飛び散っている。
血まみれで動かない子供たちと、泣き叫んでいる子供たち。
大怪我をしている子供に、ヘナンが必死に心臓マッサージをしている。
「ああーーっ!! 神よ!!」
ライラ叫んで血溜まりに飛び込み、身体が欠けている子供たちを順に揺さぶる。
「シドラ…リーム…ヒンド…ああ、神よ、神よ…ウォード、ザイナ、ラシャー…、起きて…ねえ、お願い、目を開けて!」
(ラシャー…!!)
エーリンよろける。
ライラ、崩れた天井に頭部を潰され動かないヤキーンを揺さぶる。
「ねえ、ヤキーン、朝よ…起きて…起きて…起きてよっ!」
わああああっ
ライラ、ヤキーンの亡骸にしがみついて号泣する。
かろうじて生き残った子供たちも、テクラやライラ、年上の子にしがみついて泣いている。
「エーリンッ!!」
ゾットが息を切らせて教室に飛び込んで来る。
「無事だったか」
エーリンをリリアンごと背後から抱き締める。
が、ぱっと腕をほどく。
エーリン、振り向き、震える声で、
「ラシャーが…。私…ラシャーに幸せになれるよ、って言ったのに…」
ゾットの肩に寄りかかるようにして泣く。
ゾット、躊躇してから、そっとエーリンの肩に手をやる。
ゾット「エーリン…マフムード首長に報告しないといけない。遺体を埋葬するために応援も呼んでくる」
就寝準備のためにマットを敷いているエーリン。
ラシャーが年上の女の子と連れ立ってやって来る。
少し照れたように「今日は、ザイナと一緒に寝るの」
エーリン、微笑む。
「そう、いいわね」
ラシャー「おやすみなさい」
エーリン「おやすみなさい。きっといい夢が見られるわ」
ラシャーとザイナ、手を取り合って隣の教室に向かう。
エーリン、ほっとする。
(ラシャー、元気になってきたのね)
✕ ✕ ✕
エーリンを独占できて嬉しそうなリリアン。エーリンとくすぐりあってクスクス笑い、エーリンに抱きついて眠る。
エーリン、リリアンが眠ってから隣のライラに尋ねる。
「リリアンは3歳よね? そろそろお喋りする頃かしら…?」
ライラ「リリアンは、以前は喋れていたようです。両親を失ってから言葉を発しなくなったと聞きました」
エーリン「そうだったの…」
リリアンをきゅっと抱き締め目を閉じる。
ドォォン
バアァーン
遠くで、近くで、断続的な砲撃音が聞こえる。
エーリン(今夜は多いわね…)
気になって寝付けなかったが、いつしか眠りに落ちる。
◯2階・教室(早朝)
シュウゥゥゥ
ド、グヮッシャァァッ!!!!!!
大音量と凄まじい衝撃。
校舎がグラグラ激しく揺れる。
天井や壁がきしみ、天井の石膏の破片がバラバラと顔や体に落ちてくる。
「!!?」
エーリン目覚める。
耳をつんざくような子供たちの悲鳴。
飛び起きたライラとテクラが、教室から駆け出していく。
エーリンも慌てて起き上がり、怯えてしがみつくリリアンを抱えて、二人の後を追う。
◯2階・隣の教室
もうもうと埃が舞っている。
血の匂いと、子供たちの叫び声。
壁や天井が崩れ、教室の壁に開いた大穴から明け方の空と市街地が見える。
大量の血と小さな手足が大穴を中心に飛び散っている。
血まみれで動かない子供たちと、泣き叫んでいる子供たち。
大怪我をしている子供に、ヘナンが必死に心臓マッサージをしている。
「ああーーっ!! 神よ!!」
ライラ叫んで血溜まりに飛び込み、身体が欠けている子供たちを順に揺さぶる。
「シドラ…リーム…ヒンド…ああ、神よ、神よ…ウォード、ザイナ、ラシャー…、起きて…ねえ、お願い、目を開けて!」
(ラシャー…!!)
エーリンよろける。
ライラ、崩れた天井に頭部を潰され動かないヤキーンを揺さぶる。
「ねえ、ヤキーン、朝よ…起きて…起きて…起きてよっ!」
わああああっ
ライラ、ヤキーンの亡骸にしがみついて号泣する。
かろうじて生き残った子供たちも、テクラやライラ、年上の子にしがみついて泣いている。
「エーリンッ!!」
ゾットが息を切らせて教室に飛び込んで来る。
「無事だったか」
エーリンをリリアンごと背後から抱き締める。
が、ぱっと腕をほどく。
エーリン、振り向き、震える声で、
「ラシャーが…。私…ラシャーに幸せになれるよ、って言ったのに…」
ゾットの肩に寄りかかるようにして泣く。
ゾット、躊躇してから、そっとエーリンの肩に手をやる。
ゾット「エーリン…マフムード首長に報告しないといけない。遺体を埋葬するために応援も呼んでくる」
0
あなたにおすすめの小説
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる