d+d【先行公開版】

Hilde

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【先行公開版】第一章 壁 - Wall -

ルイ - Rui - 2

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◯ベイト・ラヒア市・アル・シマー小学校・校庭

校庭の入口に立つ見張りが手を上げる。

ゾット「まずい、シオン軍が来るぞ」

エーリン「えっ」

ゾット「女と子供は、このシェルターに入れるだけ入れ! 男たちは入口を固めろ!」
周囲の人々の誘導を始める。

ルイ「義姉ねえさん、あなたは俺と一緒に世連本部へ。そこで状況を説明してください」

エーリン「え、でも」

ゾット、周囲を警戒しながら、
「行け! エーリン」

エーリン「でも、ゾット」

ゾット、エーリンをじっと見つめる。
「早く行け。助けを頼んだぞ」

エーリン「…うん。わかった」

ゾット、ルイに「おい、魔道士。空の壁も残していけ」

ルイ「あれは…無理です。魔道士協会ギルドが関与したと知られたくない。…このシェルターは残しますから」

ゾット、ちっ舌打ちし、
「早く戻れよ。…エーリンを頼んだ」

ルイ「はい」

ルイ、エーリンの肩を抱え、
「俺につかまってください」
上空へ 浮遊フローサドする。

ヤンシャより荒っぽい上昇に、
「きゃあーっ」
エーリン、ルイにしがみつく。

ゾット、二人の様子を見て舌打ちしながら、
「…頼んだぞ」


◯カナン地区・上空

シオン国とカナン地区の間に広がる更地の緩衝地帯を、一個中隊が隊列を組んでカナン地区へ進んでいるのが見える。

ルイ「あの軍隊が住民を攻撃するのですか?」

エーリン「そうよ」

統率の取れた動きで、検問所からカナン地区に侵入する軍隊。

ルイ、彼らに気付かれないように、さらに高く上昇する。
しばらくして、カナン地区でフォースがいくつか消滅したことを感じる。
青ざめたルイ、頭を振ってバラトール共和国に向かい飛行する。

ルイ「義姉ねえさん、とりあえず父さんの家に送ります。あなたも俺も埃まみれなので世連には連れて行けない」

エーリン「でも!」

ルイ「俺も一度、魔道士協会ギルドに戻って役員に報告したい。世連本部に行くのは明日にしましょう」

エーリン、しぶしぶ「…わかったわ」


◯バラトール共和国・メッシュ市・シゥイン宅・玄関前

ドアを開けたシゥイン、真っ白で埃まみれの二人に驚く。
「エーリン!? ルイ!? 二人ともどうしたんだい!?」

ルイ「父さん、義姉ねえさんに、お湯の用意を」

シゥイン「わかった」
すぐに2階の居住階に向かう

出迎えたルルディ「ママ、おかえりなさい」

緊張の糸が切れたエーリン「ルルディ」
ほっとして、ルルディの頬にキスをする。

ルイ「義姉ねえさん、明日の朝に迎えに来ます」

エーリン「わかったわ、ルイ。今日はありがとう」

ルイ、ケルト市の自宅に高速移動する


◯バラトール共和国・ケルト市・ルイ宅・玄関前

ドアを開けたルイの妻シルヴィア、真っ白で埃まみれのルイに驚く。
「どうしたの!? 協会ギルドで何かあったの?」
ルイの頬に手をやる。
「顔も白いけど…顔色が悪いわ。大丈夫?」

緊張の糸が切れたルイ、倒れ込むようにシルヴィアに寄りかかる。
「シルヴィー…、俺は…地獄を見てきた」


◯ルイ宅・ダイニング

体を洗い終えたルイ、ダイニングテーブルにシルヴィアと向かい合って座る。

ルイ、テーブルに肘をつき、額に手を当てる。
「見渡す限り、灰色の世界だった。
街が崩れていて、人々は煙と埃で真っ白で…痩せていた。そこに空から砲弾が飛んできて、地上では軍隊が攻撃してくる。あちこちに血だまりがあって、砲撃で破壊された建物には、血と…人間の体の一部が引っかかっているんだ。
攻撃されている人たちは皆、民間人に見えた。子供が大勢居て、その子たちが砲撃にさらされないように障壁バンドでシェルターを作ってきた。それくらいしかできなかった…」

「…ひどい」
シルヴィア、口元を両手で覆う。
「…子供たちもそんな過酷な状況の中で…」

シルヴィア、両手を握り合わせる。
「ねぇ、子供たちだけでも救い出して保護することはできないかしら?」

ルイ、顔を上げる。

シルヴィア「うちの保育園で預かれないか園長に相談してみるわ。他の施設にも声を掛けてもらう。魔道士協会ギルドでも引き受けられないかしら? 協会ギルドの幼稚舎に余裕は無い?」

ルイ「…そうだな。役員たちに相談してみる。世連本部にも相談したい。シルヴィー、一緒に来てくれないか?」
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