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【先行公開版】第一章 壁 - Wall -
首長会合 - Majlis of Sheikhs - 2
◯カナン地区・東側の地域・草地・バスの中
マフムード首長「あんた…何を言ってるんだ? 資金調達はともかく、なんで世連の職員がカナン地区の元首に? 何が目的だ?」
アヴェス「私の目的は、世界平和であり、カナン地区の平和と安全です。
私は一刻も早くシオン国の侵攻を止めたい。それだけです」
首長1「…悪いが、信用できない。突然来た外国人が、我々の足もとを見て裏工作でもする気じゃないか?」
首長2「世連の職員、しかも若いのが何故カナン地区の元首に?」
首長3「カナン地区とは縁もゆかりもないだろう」
首長4「言葉巧みに子供たちを連れ出して売り払う計略かもしれないぞ」
アヴェス、握った拳にじっとりと汗をかく。
「…初めて会った人間を信用して任せろというのも無理な話だと思います。今後も定期的に首長会合を開催して経過を報告し、協議していただく場を設けますから」
首長の一人が、身を前に乗り出して発言する。
「魔道士協会を動かす資金はどうするつもりか?」
アヴェス「…世連への借り入れを考えています」
首長5「借金か!」
首長6「この状況で借金を負わされたら、たまらんぞ!」
アヴェス「シオン国の侵攻が止まり、この地域が復興したら返済できるのではないでしょうか?」
首長7「カナン地区に莫大な借金を背負わせるつもりか? 返済するのは我々だぞ」
アヴェス「返済利率を低くするように世連と交渉します」
首長8「無法な侵略を受けた上に、借金まで負わされるのか!」
首長たち、口々に異議を唱える。アヴェス、うなだれる。
ゾット、首長たちに怒鳴る。
「この3年間、お前たちができなかった事を、こいつがやろうとしているんだぞ! 今この時だって、住民が家を追われ、砲撃や攻撃で死んでいるだろう! 不満があるなら、お前たちがさっさと議長を決めて資金を調達すればいい。できないなら、手を挙げているこいつに任せるしかないだろう!」
首長会合、ますます紛糾する。
✕ ✕ ✕
◯エンパイア国・アテナイ市・リュケイオン大学・法学研究科の教室(日替わり・休憩時間)
本から目を上げたイスマイール「…なんだ? ここは法学科の教室だぞ。学部生は入れん」
苦虫を噛み潰したような顔で、イスマイールの前に立っているアヴェス。
「…俺だけでは、無理だ」
イスマイール「…だから、なんだ?」
アヴェス「協力しろ」
イスマイール「それが人にものを頼む態度か?」
アヴェス「お前がカナン地区の元首になれ」
イスマイール「…カナンの首長たちからは選べなかったか」
アヴェス「…ああ。かといって、俺では信用が無いらしい」
イスマイール「…まあ、そうなるか」
アヴェス「だから、お前が元首になれ」
イスマイール、意地悪い表情で「いいのか? 平民のお前が王になる好機だったのだぞ?」
アヴェス「そんなものに興味は無い。俺は、カナン地区を世連に加盟させたい。そのためなら、誰が元首になろうと構わない。その役目に相応しい人物がなればいい」
イスマイール「要するに、俺はお前の盤上の駒か」
アヴェス「そうだ」
イスマイール、にっと笑う。
「面白い。乗ってやろう」
イスマイール、本を閉じて立ち上がる。
「まぁ、諸事情からいっても、俺が適任だ、と俺も思う」
アヴェス「そうだろ」
イスマイール(…俺も、この機に腹を括るか)
マフムード首長「あんた…何を言ってるんだ? 資金調達はともかく、なんで世連の職員がカナン地区の元首に? 何が目的だ?」
アヴェス「私の目的は、世界平和であり、カナン地区の平和と安全です。
私は一刻も早くシオン国の侵攻を止めたい。それだけです」
首長1「…悪いが、信用できない。突然来た外国人が、我々の足もとを見て裏工作でもする気じゃないか?」
首長2「世連の職員、しかも若いのが何故カナン地区の元首に?」
首長3「カナン地区とは縁もゆかりもないだろう」
首長4「言葉巧みに子供たちを連れ出して売り払う計略かもしれないぞ」
アヴェス、握った拳にじっとりと汗をかく。
「…初めて会った人間を信用して任せろというのも無理な話だと思います。今後も定期的に首長会合を開催して経過を報告し、協議していただく場を設けますから」
首長の一人が、身を前に乗り出して発言する。
「魔道士協会を動かす資金はどうするつもりか?」
アヴェス「…世連への借り入れを考えています」
首長5「借金か!」
首長6「この状況で借金を負わされたら、たまらんぞ!」
アヴェス「シオン国の侵攻が止まり、この地域が復興したら返済できるのではないでしょうか?」
首長7「カナン地区に莫大な借金を背負わせるつもりか? 返済するのは我々だぞ」
アヴェス「返済利率を低くするように世連と交渉します」
首長8「無法な侵略を受けた上に、借金まで負わされるのか!」
首長たち、口々に異議を唱える。アヴェス、うなだれる。
ゾット、首長たちに怒鳴る。
「この3年間、お前たちができなかった事を、こいつがやろうとしているんだぞ! 今この時だって、住民が家を追われ、砲撃や攻撃で死んでいるだろう! 不満があるなら、お前たちがさっさと議長を決めて資金を調達すればいい。できないなら、手を挙げているこいつに任せるしかないだろう!」
首長会合、ますます紛糾する。
✕ ✕ ✕
◯エンパイア国・アテナイ市・リュケイオン大学・法学研究科の教室(日替わり・休憩時間)
本から目を上げたイスマイール「…なんだ? ここは法学科の教室だぞ。学部生は入れん」
苦虫を噛み潰したような顔で、イスマイールの前に立っているアヴェス。
「…俺だけでは、無理だ」
イスマイール「…だから、なんだ?」
アヴェス「協力しろ」
イスマイール「それが人にものを頼む態度か?」
アヴェス「お前がカナン地区の元首になれ」
イスマイール「…カナンの首長たちからは選べなかったか」
アヴェス「…ああ。かといって、俺では信用が無いらしい」
イスマイール「…まあ、そうなるか」
アヴェス「だから、お前が元首になれ」
イスマイール、意地悪い表情で「いいのか? 平民のお前が王になる好機だったのだぞ?」
アヴェス「そんなものに興味は無い。俺は、カナン地区を世連に加盟させたい。そのためなら、誰が元首になろうと構わない。その役目に相応しい人物がなればいい」
イスマイール「要するに、俺はお前の盤上の駒か」
アヴェス「そうだ」
イスマイール、にっと笑う。
「面白い。乗ってやろう」
イスマイール、本を閉じて立ち上がる。
「まぁ、諸事情からいっても、俺が適任だ、と俺も思う」
アヴェス「そうだろ」
イスマイール(…俺も、この機に腹を括るか)
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