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色づく
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少し肌寒い、よく晴れた秋の日のことだった。
広い庭には、赤く色づいた紅葉が何本もあった。俺がそれに目を奪われていると、母が促すように言った。
「ほら、誠。挨拶しなさい」
目線を上げると、高そうなスーツを身に纏い、燃えるように真っ赤な髪と瞳の美丈夫と、その人に隠れるように、これまた赤い髪をした小さな男の子がいた。
「はじめまして。黒川誠(くろかわ まこと)です」
俺はお辞儀をしながら言った。
「葉月。お前も挨拶なさい。今日は大事な日なんだよ」
葉月と呼ばれた髪も目も赤い男の子は、恥ずかしそうにしながら、小さな声で自己紹介をした。
「えっと、紅葉月(くれない はづき)っています。その、よろしくお願いします……」
すごく綺麗な子だ。俺はびっくりした。唐紅の髪と瞳はとても珍しいけど、葉月によく似合っている。顔立ちは中性的で、よく整っていた。
俺が呆けていると、葉月はすぐに父親の後ろに隠れてしまった。
「すまない。うちの子は恥ずかしがり屋でね」
「本当に。ごめんなさいね」
葉月のお父さんとお母さんが苦笑いをした。でも、うちの父さんはさして気にしていないようだった。
「あんまり気が強いのも困りものよ。伴侶は穏やかで優しい人がいいもの。ねっ、あなた!」
「う、うん。そうだね」
「黒川さんが言うと説得力があるなあ」
「何?」
「いやいや」
揶揄う葉月のお父さんと俺の父さんが火花を散らす。仲が良いのか悪いのかよくわからない。俺の母さんと、葉月の母さんは困ったように二人で笑っていた。
そう。今日は黒川家の長男である俺と、紅家の子息である葉月の見合いという名の婚約式だった。まだ俺は八歳、葉月に至っては七歳になったばかりだという。
何故こんなに早くから俺達は見合いをさせられているのかというと、両家に特徴があるからだ。
黒川の家は、代々優秀な女のアルファを産む。なので、女系一族ともいえる。その代償なのか、生まれてくる男は皆オメガだった。
反対に、紅の一族はアルファしか生まれない。
そもそもアルファやオメガ、そしてベータは、バース性と言われており、特殊だ。ベータは男女というように第一性そのままの性を持つが、オメガとアルファは違う。
アルファだと女男関係なく、相手がベータの男性以外なら子どもを産ませることができ、逆にオメガは相手がベータの女性以外なら子どもを産むことが可能だ。また、アルファとオメガ間には、アルファがオメガの項を噛むと番関係というものが成り立つ。これで、オメガは番の相手のみに発情が起こり、アルファの方も番のオメガにのみ欲情するようになる。
なおアルファは人よりも肉体も頭脳も優れているとされ、オメガは容姿に優れている場合が多いらしい。まあ、あくまで結果論であって、そうとは限らないこともある。ベータだって、優秀な人はいる。
学校でそう習った。
ちなみに、俺の母さんは男のオメガで、父さんは女のアルファだ。父さんは母さんにベタ惚れだけど、母さんも父さんのことをちゃんと愛している。いい夫婦だと思う。ただ外で惚気るのはやめてほしい。
「誠。葉月くんが一応あなたの婚約者だからね」
「一応って」
「当然でしょ。黒川の家を舐めないで。というか、この子達はまだ幼いのだし、どうなるかわからないでしょ」
「確かにそれは一理あるな。……そうだ、こうしよう」
葉月の父さんは何か閃いたようだった。何だろう。
「二十歳までは誠くんと葉月は仮の婚約者だ。その後、どうするかは二人で決めるといい」
「僕もそれならいいよ」
「智さん」
父さんは母さんが賛成するなら、と婚約に同意をしめした。
「私も、結婚するかどうかは葉月と誠くんの二人でじっくり考えていくのがいいと思うわ。制限を設けるのもいいことね」
葉月の母さんも賛成らしい。なので、俺と葉月の婚約はあっさり決まってしまった。文句を言うと面倒くさいことになりそうなので、俺は黙って葉月に手を差し出した。
「よろしくね、葉月くん」
俺が手を差し出すと、おずおずと葉月が手を出した。俺はその手を握る。
「葉月くんの髪と目、すごく綺麗だね」
「えっ?」
葉月が驚いたように目を見開く。これだけ綺麗な子だったら、言われ慣れているだろうに。その反応が意外だったので、俺も驚く。
「だって、あそこにある紅葉みたいに綺麗な赤でしょ。俺、紅葉好きなんだ」
「本当に?」
「うん。ほんと。おばあちゃんと紅葉狩りにもよく行くよ。綺麗な赤色、俺好きだなあ」
俺がそう言って笑うと、葉月も頬を緩ませて笑った。今日初めて葉月の笑顔を見た気がする。とても可愛い。
「僕のこと、葉月でいいよ。誠くんのことも、誠って呼んでもいい?」
「いいよ」
「ふふ、ありがと」
そのやり取りを見ていた父さん達は、にこにこと嬉しそうに笑っていた。
***
俺も、あの婚約式のときは、葉月とうまくやっていけると思ってたんだよなあ。
俺は今、高級ホテルのディナーの席にいた。白いテーブルクロスの上にはコースのフランス料理が並んでいる。目の前には、鮮やかな赤の瞳と髪の青年が座っていた。
「はあ」
「何で溜息なんて吐くんだよ」
「そりゃ、婚約者は色んな人と付き合えてるのに、俺の方は全然ダメだったら嫌にもなるだろ」
「別に誠はいいでしょ」
「よくないね!」
俺は憤慨した。俺は今年で二十一、葉月は今日で二十だ。つまり、約束の日が来たというわけである。
葉月は背が伸びて、今は俺よりもずっと高い。中性的な顔立ちはそのままで、より美しさに磨きがかかった。しかも、入学した大学は超一流。俺自身も結構良い所には行ってるけど、葉月の前だと霞んでしまう。
このままじゃやばい。モテまくりの葉月とは正反対に、俺はモテない。何より容姿が平凡の男のオメガってのは結構大変だ。
基本的にオメガは美男美女が多いので、どうやったって俺の平凡な見た目で張り合うのは困難だ。
母さん、よく父さんと結婚できたな。まあ父さんは家事もめちゃくちゃできて、気遣いのできる人だからな~。仕事も父さんほどではないけど、できるらしいし。
「俺、このままじゃ嫌だよ」
「は? 何が不満なわけ」
葉月がフォークとナイフの手を止め、険のある目をこちらに向ける。
「だって、葉月は何かいつもイライラしてるしさ~。俺は経験ないし」
「それは……」
「だから葉月。俺は合コンする! 女の子とイチャイチャする!」
「はあ? 何言ってんの」
「お前ばっかずるいんだよ! 俺だって青春したいんだよ。毎日研究ばっかだし。潤いが欲しい」
「誠には俺がいるでしょ」
「葉月は弟だろ」
「……」
葉月のことは可愛いと思ってる。でもそれは、家族に対する情に近い。俺には三つ下の双子の妹たちがいるけど、めちゃくちゃ可愛い。反抗はされるけど、やっぱり愛おしく感じる。そんなようなものだ。
「ふーん。じゃあ、婚約はどうするの」
「好きにしたらいいよ。あ、婚約はやっぱり解消するか?」
「……。俺さ、今日誕生日じゃん」
「うん」
「楽しみにしてたんだよね。なのにさあ」
あ~あ、と綺麗にセットされた髪を手でくしゃくしゃにしながら、気怠そうに言った。
「まじで怒るよ」
今まで見たことのない、怒りを顕わにした顔だった。俺はぞっとした。だから、機嫌を直してもらおうと、丁寧にラッピングされた袋を慌てて葉月に渡した。
「プレゼントがあるんだ」
「何」
「ピアス。葉月の好きなブランドだよ」
「それってお揃い?」
「違うけど。そもそも俺はピアス付けないし」
「じゃあ、今度俺が同じのをプレゼントするね」
俺がピアス付けれないって、ちゃんと聞いてた? そう思ったけど、突っ込んではいけない気がして、お礼を言った。
「ありがと」
「どういたしまして」
葉月は彫刻のように美しく微笑む。どうだろう。まだ怒っているのだろうか。わからない。
俺は嫌気が差して、というよりも葉月がただ怖くて、財布から一万円札を二枚取り出し、テーブルの上に置いた。
「誠?」
「今日はもう帰る。疲れた」
「何言ってんの、誠。だって今日はこれから」
「じゃあな、葉月」
俺は急いでレストランを出る。葉月の待って、という声を振り切って、俺は走った。帰る途中の電車から見える紅葉は、淡く色づいていた。
***
「えっ! じゃあお兄ちゃん、葉月くん置いて帰って来たの!?」
「うん。何か怖かったし」
「かわいそ~」
妹の杏と桃が顔を見合わせて、顔を顰めていた。いつもは全然似てない双子だけど、こういう時の表情はそっくりだ。
「まあ、葉月くんが悪いのもあるけどね~」
「だろ!? 俺だってモテたいよ」
「お兄ちゃんがそんなに言うなら紹介しよっか」
「いやいい。お兄ちゃんは捕まりたくない」
だって妹の年の子となれば、高校生だから未成年だ。どう考えても俺変態じゃん。未成年に手を出すわけがない。
「あ、大丈夫だよ。相手の人、大学生だから。最低でも成人済みだったと思うし」
「えっ、どうやってそんなの知り合ったんだよ」
「内緒。合コン組んであげるんだから、私の欲しいもの買ってね!」
「私も~」
「いや、待って」
「もう連絡したから」
かくして俺は、人生初の合コンに参加することになってしまった。妹主催ってのが兄としてだいぶ気まずいけど。
まあ、いっかあ。俺は呑気に構えていたが、それは間違いだったのかもしれない。
***
そして、合コン当日。俺は薄水色のシャツの上から黒のジャケットを羽織り、皺一つない紺のパンツを履く。俺のお気に入りの服だ。
窓に映る紅葉を見ると、婚約式の日の時みたいに、深い赤になっていた。とても綺麗だ。
俺は意気揚々と合コンに向かった。
「こんなの聞いてないんだけど……!」
「どうしたの?」
ゆるく巻かれたベージュの髪が揺れて、女の子が俺を見つめる。俺は女子に慣れてないから、どぎまぎしながらぎこちなく笑った。
「あ、いや。あの赤髪の人なんでいるのかな~って……」
「紅くんだよね。めちゃくちゃかっこいい~」
「ははは」
何でここに葉月がいるんだよ! もしかして俺、妹に嵌められた?
杏も桃も、葉月と仲が良い。しょっちゅうやり取りしてるくらいだ。一応婚約者は俺なんだけど、やっぱり嫌われてるのかなあ。
俺が恐る恐る葉月を見ると、目が合ってしまった。やばい。変な汗が背中を伝う。
「黒川さん」
葉月の方からにこやかに笑いかけてくる。声もこの間みたいに地を這うような低い声じゃなかった。なのに、俺は薄ら寒いものを感じていた。
何だろう。逃げなきゃいけない気がする。
「な、なに? 紅くん」
「こっちに来て一緒にお話しをしようよ」
葉月は俺に手招きをした。
正気か? お前の周り、めちゃくちゃ人いるじゃん。どう見ても行きづらいんだけど。
ほら、と少し空いた隣を葉月が手で叩く。周囲を見渡すと、俺に嫌というほど注目しているのがわかった。
うん。家柄よし、学歴よし、見た目よしのアルファが、オメガとはいえ平凡な男を呼んだらそうなるよな。俺もどうかと思うよ。
俺は顔を引き攣らせながら、葉月の隣に座る。
「実はさ、俺この人と許嫁なんだよね」
葉月が俺を指さして言った。
辺りは騒然となり、そこかしこで悲鳴が上がった。
何言ってんの? 許嫁ってことは周りに黙っておくって約束だったろ!
「え~! 葉月くん、付き合ってる人いたの」
「まじか。ってことは結婚するんだよな」
矢継ぎ早に質問が飛んでくる。紅は笑み一つでそれに対応していた。そして、俺に優しい声で問いかける。
「誠。俺達って結婚するんだよね?」
さっきから周りの視線がすごく痛い。紅くんから求婚されてるんだったら承諾するだろって圧がかかってくる。
俺はそんな流れに逆らえるはずもなく、首を縦に振った。
すると、歓喜の声が沸き上がった。
「おめでとう~!」
「じゃあ今日はお祝いだな! じゃんじゃん飲めよ!」
でも今日って合コンだよな? 何かおかしくないか? こんなお祝いムードに急になる?
俺が戸惑っていると、葉月が肩を抱き寄てきた。嗅いだことのない、爽やかな香りが鼻腔をくすぐる。何だか少し体が熱くなった。
「ふふ、今日はたくさん飲もうね」
「俺あんまり飲めないし」
「大丈夫だよ」
何も大丈夫じゃない、と言い返そうとしたら俺の前にどんどん酒が並べられていく。何だこの量。アルハラでは?
「黒川。まあ無理せず飲める分だけ飲めよ」
「ああ……」
同じ大学で見かけたことのある派手な男が言った。辺りをよく見ると、大学で美人グランプリを獲ってた子とかいる。ていうか皆顔いいな。どういう集まりなんだよ、これ。
妹のネットワークに慄きながら、俺はジョッキを掴み、やけくそで酒を飲み干した。
頭がふわふわする。体が熱い。ほどよい酩酊感に、俺はぼんやりとしていた。
気付けば酒はなくなっていて、そろそろお開きになる雰囲気だった。俺は立とうとしたけど、足がもつれて転びそうになった。
「危ないよ」
「ん、あ」
抱きとめられ、横から聞こえる声が不思議と心地よかった。俺は大人しく体を預ける。
「ふふっ、できあがってるね」
俺はそのまま外に運び出してもらった。さっきから、体が熱くてたまらない。何だろう。気持ち良くて、蕩けるような甘い疼きが下腹部からする。
「じゃあ、解散な! 二人ともお幸せに~」
遠くで聞こえる声に俺は頷くこともできず、ただ隣の人間にもたれ掛かっていた。
夜風に当たりながら、俺はふらふらと歩く。傍にいる人は何も言わずに歩みを合わせてくれた。
しばらく歩くと酔いは醒めてきた。ただ何故か体は熱く、喉が渇いていた。水が欲しいのか? 違う、これは。
「大丈夫?」
隣を向くと、葉月がいた。
「葉月」
「どっかホテルで休む?」
「いい。家に帰るよ」
「そんな状態のまま帰せるわけないでしょ」
葉月は俺の手を取って、ホテルの方へと歩いていく。力が強くて振りほどけない。
そのまま大人しく手を引かれたまま歩いていると、俺達はホテルの前に立っていた。
「頼む。離してくれ」
「嫌だ」
「俺、発情してるんだ」
俺は思い切って打ち明けた。そしたら、すぐに帰ろうって言ってくれると思ったから。でも、違った。
「それは良かった」
「え?」
「じゃあ中に入ろう」
俺はあっという間にホテルの部屋に引きずり込まれてしまった。
まずい。どうしよう。心臓が早鐘を打つ。
そもそも、何で発情中のオメガである俺に、アルファのお前が一緒に居ようとすんだよ。おかしいだろ。
けど、幸い俺はチョーカーを付けてるし、鍵も家にあるから間違っても番になることはない。
だからってホテルでオメガとアルファがやり過ごそうとするのは変だろ。無理がある。
「誠はもう発情止められないよね。だって、俺がそうなるように仕向けたんだから」
「え」
「俺のフェロモン、ちゃんと効いてるね」
気付けば葉月は服を脱いでいた。
さっきからずっと、木々の中にいるような独特の爽やかな匂いがするのはフェロモンのせいかよ。何もかもを投げ出して、アルファの精が欲しくなってくる。心なしか、俺の後ろも濡れている気がした。
何だってこんなことに。
葉月が近寄ってくる。来ないでくれ、と言おうとした口を塞がれる。柔らかい。
何度か唇が重なり合ったかと思うと、口の中に舌が入り込んできた。押しのけようとしたけど、力が入らなかった。ただ咥内を丁寧に舐め取られていく。
俺は快感がせり上がってきてるのがわかっていた。本当にこのままじゃまずい。葉月とシてしまうのかもしれない。
でも、どうして。葉月は俺のことなんてどうでもいいんじゃなかったのか?
俺はベッドに押し倒される。ベッドが、二人分の重さで沈んだ。
「可愛い」
とろりと甘く、でも獣の欲が孕んだ声だった。
葉月の顔は、ほんのり赤く染まっていた。
「好きだよ」
「え」
葉月は俺の服を慣れた手つきで脱がしながら、キスの雨を降らせてくる。くすぐったい。今、何て言った?
「好きって、なに」
「誠のことが好きなんだけど」
「あ~~、家族的な? わかったよ。じゃれ合いたいのか」
葉月が俺に対して冷たかったのは、俺に甘えたかったけどできなかった反動ってことだよな。うん、そうに違いない。
「は? 性欲込みの好きだけど?」
俺は固まった。その隙に、服は全部脱がされて、俺は裸になってしまった。
「は、づき」
「ず~~っと昔から誠のこと好きだよ。婚約式で会った時からね。本当はもっと早く俺のものにしたくて堪らなかった。でも、約束のせいでできなかった。だからずっとイライラしてた」
「約束……?」
「俺は、二十歳になるまで誠と正式な婚約者になれなかった。あの婚約式にそう決められていたから。だから、誠を番にすることも、セックスすることもできなかった」
俺は何も言えなかった。何で、どうして、という考えが頭の中でぐるぐると回っている。
「でも、今日……、本当は俺の誕生日にセックスするつもりだったけど、やっとできるね。番になるのはまた今度だけど」
俺は後ずさった。でも、すぐに葉月は近付いてきて壁際まで追いつめられる。
葉月の手の平が俺のチョーカーに触れたかと思うとそのまま降りていって、俺の胸に触れた。
「ふふ。誠、すごいドキドキしてるね。ほら、実は俺もすっごくドキドキしてるんだよ」
葉月が俺の手を掴んで、自分の胸にあてる。確かに俺も葉月も心臓の鼓動が速い。
でも、俺のは違う。さっきから、体がおかしいんだ。まるで、自分の体じゃないみたいだ。変な熱に浮かされて、苦しい。
「いっぱい気持ちよくなってくれるように、頑張るから」
葉月がキスをしながら、体中を愛撫してくる。俺はそれだけで、ぞくぞくとしたものが身体を駆け巡る。きっとこれを、気持ちいいというのだろう。
でも、おかしい。触られるだけで、こんなにも気持ちいいものなのか。
不意に、葉月の指が胸の突起に触れた。
「あっ」
「うん? 誠、胸感じるの」
俺は黙った。言えない。一人でシてるとき、乳首も弄ってるなんて。
葉月が指先で乳首に触れるか触れないかくらいで撫でてくる。
「ん、ぅ」
俺は声を押し殺す。感じてるなんて、思われたくない。でも、もどかしい。本当はもっと触ってほしい。
ちがう、ちがう、ちがう!
「やめ、」
止めようとした時、乳首を親指と人差し指で捏ねられた。俺はその快感に耐え切れず、大きな喘ぎ声を上げてしまった。
「ま、まって」
それどころか、葉月は俺の乳首を口に含んだ。舌でこりゅこりゅと潰される感覚が、たまらなく気持ちいい。
「あ、あ」
乳首を吸われ、指で捏ねられ、俺の思考は溶けていく。気持ちいい、もっと、もっと。
「きもち、いい」
俺は心の内を息とともに漏らす。葉月は嬉しそうに笑って、俺の乳首を噛んだ。瞬間、びりびりとした快感が体を走り抜け、陰茎からは精液が出てしまった。
「あっ、あ!」
「気持ち良かったね」
葉月が俺の頭を撫でる。もう、葉月に触れられる場所すべてが性感帯みたいになってる。俺の体はやっぱりおかしい。
「じゃあ、後ろ解すね」
葉月はいつ出したのかローションを手にぶちまけ、指に念入りにローションを絡めた。そのまま、俺のまだ誰にも暴かれていない場所に、指が入ってきた。
「あ、ぅ」
「すごい濡れてるね。いつもこうなの?」
「ち、ちがう」
「ふうん」
葉月の指がぐりゅぐりゅと俺の中を擦る。俺はそれだけで悦楽を感じてしまう。いつも、こんなんじゃないのに!
俺の中のある一か所を指が掠める。俺は思わず喘ぎ声を上げてしまった。
「あっ、あ、そこ、やめ」
「ここが誠の好きなところなんだね」
葉月の指が、俺の気持ちいいところをトントンと軽く叩く。俺は快楽で震えた。
指が増やされ、さっき感じたところを捏ねられ、押し潰される。俺はひたすら喘ぐほかなかった。
「あっ、はあっ、あ、あ」
「気持ち良い?」
「あっ、あ」
「ねえ。誠。さっきみたいに気持ち良かったら、気持ち良いって言ってね」
「きもちい、きもちいいからあ」
「うん」
「もう、やめて」
気持ちよすぎて頭が馬鹿になる。理性なんて、もうとっくに壊れてる。これ以上されたら、俺は完全に狂ってしまう。
「やめて? もっと欲しいの間違いでしょ」
また俺の弱いところを指で押し潰される。俺はイってしまって、陰茎から精液がとろりと溢れ出た。
「またイっちゃったね。……もうそろそろいいかな」
熱くて太いものが俺の後ろに押し当てられる。ほしい、ほしい、ほしい。きっと、今挿れたらすごく気持ちいい。でも、いいのか?
葉月が俺の耳元で、低く甘い声で囁く。ふわりと、森林の中にいるような香りがした。俺はその香りが、頭が痺れるほど気持ち良かった。
「誠。今これを挿れたら、すっごく気持ちいいよ。誰も止めなんてしないよ」
「あ」
「誠が一言、俺のが欲しいって言ってくれたらたくさん突いてあげる。気持ち良くなれるよ」
俺はもう、我慢できなかった。俺の中に早くそれが欲しい。だから、言った。
「葉月の、挿れてほしい」
「嬉しい」
ずぷん、と俺の中に葉月のが入ってくると同時に、俺は多幸感に満ちていた。
葉月はそのまま俺の好きなところを何度も陰茎で押し潰してくる。俺はその度にびくびくと震えた。きもちいい、もっと欲しい。
「あ、きもちいいっ」
「うん。俺のちゃんと覚えてね」
「ん、あっ」
ばちゅばちゅと音を立て、俺の奥を葉月のが突いてくる。じくじくと甘くそこが疼く。そこ、気持ちいいっ。
「奥も好きなんだ。エロいね」
「うんっ、好きっ」
「……好きってもう一回言って」
「? 好き」
「誰のことが?」
中であれほど動いていたそれが、止まってしまった。いやだ、もっと、俺の奥を突いてほしい。中を葉月のでぐちゃぐちゃにしてほしい。
「葉月、お願いだから動いて」
「じゃあ、俺のこと好きって言って」
葉月が泣きそうな顔で俺を見る。なんで、そんな顔するんだよ。俺は困惑した。だから、言ってやらないと、と思った。
「……好きだよ」
「本当に?」
「ほんとう」
俺は葉月を抱き締めた。何でだろう。わからない。葉月の声と匂いが俺を動かす。
「嬉しいな、すごく嬉しい」
葉月は俺の額にキスをして、再び動き始めた。幾度も俺の奥にそれを突いてきて、俺はただ喘いだ。
「あ、あっ、あ」
繋がっているところから快楽が全身に広がっているのがわかった。俺はもう、快楽にどっぷりと浸かってしまっている。だって、さっきからひっきりなしにイってるんだ。
「はっ、俺も、そろそろ限界……っ」
より一層激しく挿入が繰り返される。しかも、葉月のそれは一段と大きくなって、俺の気持ちいいところを何度も擦り、突いてくる。
「あ~~っ、あっ、あ!」
「……っ」
後ろが今日一番締まったのが自分でもわかった。
そして、びゅるるると精が放たれた。あたたかくて、気持ちいい。俺は、ずっとこれが欲しかったんだ。
「誠、好きだよ。愛してる」
葉月が俺を抱き締める。
俺の中にある葉月のものを強く感じながら、それさえも気持ち良くて、俺の意識は溶けていった。
***
やってしまった。弟だと思っていた子とセックスをしてしまった。俺は痛む腰を抑えながら、洗面所に行こうとした。
だけど、強い力で腕を引っ張られて、再びベッドへと戻されてしまった。見れば、葉月は怪訝な顔をした。明らかに機嫌が悪そうだ。
「どこ行くの」
「顔でも洗おうと思って」
「嘘。逃げようとしたんでしょ」
「……」
だって、気まずいだろ。そりゃ婚約者だけど、ほとんど解消しているようなものだし。
「あ~~、でもこれでやっと誠を番にできる!」
「は?」
「だって誠、俺のこと好きって言ってくれたでしょ」
「あれは、フェロモンで無理矢理……」
「ちゃんと録音してるから。これで正式に俺達は親御さんに婚約者だと認められて、結婚もできるよ! 俺、すごく幸せ者だ」
葉月はよほど嬉しいのか、ずっとにこにこしている。まあ、何だその。そこまで喜んでもらえるのなら悪い気はしないというか。でも、家族みたいに思ってたし。う~ん。
それに、葉月はずっと他の人間と付き合ってたじゃないか。何か、むかついてきた。
「でも葉月は他の人と色々してるだろ」
「……」
「俺は葉月以外を知らないのに」
まるで拗ねたみたいな言い方になってしまったことに俺は驚いた。あれ?
「もしかして、焼きもち焼いてくれてるの?」
「違う」
「ちなみに俺、付き合ったことはないよ。全員セフレ」
「問題大ありだろ」
「だってさ、その。好きな人とするのに失敗したら嫌じゃん。だからその練習してた」
葉月はまるで紅葉みたいに顔が真っ赤だった。言ってることは最悪だけど、たどたどしく言うその姿は昔のようで、可愛いと思ってしまった。
俺はふと婚約式の日に見た紅葉を思い出していた。綺麗だったな。また見に行きたい。
「というかそもそも、何で俺のことが好きなんだよ」
俺は平凡な人間だ。勉強はそこそこできるけど、それでも葉月や妹たちには及ばない。容姿だって、普通の黒髪黒目だ。葉月のように、美しく色づいた紅葉のような、息を呑む美しさは俺にはない。
「だって、誠が初めて俺のこの真っ赤な目と髪を褒めてくれたから」
「いや、誰だって褒めるだろ。葉月は綺麗だよ」
「俺が小学校に入ったばっかの頃は、全然そんなことなかった。揶揄われて、すごく嫌だったんだ。何なら、いじめみたいなものもあった。真っ暗な世界だった」
葉月は口を一文字に結ぶ。そんな酷いこと、知らなかった。
「だから、誠は俺の運命の人なんだよ。俺の全てを変えてくれた。俺の黒一色だった世界に色を与えてくれた」
「……」
どう答えればいいかわからない。あの日、俺は思ったことをそのまま伝えただけだ。励まそうとか思って言ったわけじゃない。
「そうだ、誠。お揃いのピアス買ったんだよ。ほら、耳貸して」
「いやだから俺ピアスしてないって」
「今からすればいいよ」
葉月はバッグからピアッサーを取り出した。えっ?
「動かないでね」
「ちょっ、やめろ!」
俺は暴れた。わざわざ痛い思いしてまで付けたくない!
「お揃いにしたいのなら、他のアクセサリーにしたらいいだろ。ほら、例えば指輪とかどうだ」
葉月が面を食らったような顔になる。何だよ、そんなおかしいこと……あっ。
「それ、もしかしてプロポーズ?」
「ちがう!」
「嬉しい」
葉月に強い力で抱き締められる。俺は爽やかな香りに包まれて、ふわふわした気持ちになる。
「一生大事にするから」
正直、ここまで言われて悪い気はしない。我儘で、不遜で、自分勝手な奴だけど、素直で可愛いところもある。
「じゃあ、紅葉を一緒に見に行こう」
「紅葉?」
「初めて会った時の紅葉、綺麗だったから」
葉月は笑った。その笑顔は、あの婚約した日に見た、世界で一番可愛いと思った顔だった。
広い庭には、赤く色づいた紅葉が何本もあった。俺がそれに目を奪われていると、母が促すように言った。
「ほら、誠。挨拶しなさい」
目線を上げると、高そうなスーツを身に纏い、燃えるように真っ赤な髪と瞳の美丈夫と、その人に隠れるように、これまた赤い髪をした小さな男の子がいた。
「はじめまして。黒川誠(くろかわ まこと)です」
俺はお辞儀をしながら言った。
「葉月。お前も挨拶なさい。今日は大事な日なんだよ」
葉月と呼ばれた髪も目も赤い男の子は、恥ずかしそうにしながら、小さな声で自己紹介をした。
「えっと、紅葉月(くれない はづき)っています。その、よろしくお願いします……」
すごく綺麗な子だ。俺はびっくりした。唐紅の髪と瞳はとても珍しいけど、葉月によく似合っている。顔立ちは中性的で、よく整っていた。
俺が呆けていると、葉月はすぐに父親の後ろに隠れてしまった。
「すまない。うちの子は恥ずかしがり屋でね」
「本当に。ごめんなさいね」
葉月のお父さんとお母さんが苦笑いをした。でも、うちの父さんはさして気にしていないようだった。
「あんまり気が強いのも困りものよ。伴侶は穏やかで優しい人がいいもの。ねっ、あなた!」
「う、うん。そうだね」
「黒川さんが言うと説得力があるなあ」
「何?」
「いやいや」
揶揄う葉月のお父さんと俺の父さんが火花を散らす。仲が良いのか悪いのかよくわからない。俺の母さんと、葉月の母さんは困ったように二人で笑っていた。
そう。今日は黒川家の長男である俺と、紅家の子息である葉月の見合いという名の婚約式だった。まだ俺は八歳、葉月に至っては七歳になったばかりだという。
何故こんなに早くから俺達は見合いをさせられているのかというと、両家に特徴があるからだ。
黒川の家は、代々優秀な女のアルファを産む。なので、女系一族ともいえる。その代償なのか、生まれてくる男は皆オメガだった。
反対に、紅の一族はアルファしか生まれない。
そもそもアルファやオメガ、そしてベータは、バース性と言われており、特殊だ。ベータは男女というように第一性そのままの性を持つが、オメガとアルファは違う。
アルファだと女男関係なく、相手がベータの男性以外なら子どもを産ませることができ、逆にオメガは相手がベータの女性以外なら子どもを産むことが可能だ。また、アルファとオメガ間には、アルファがオメガの項を噛むと番関係というものが成り立つ。これで、オメガは番の相手のみに発情が起こり、アルファの方も番のオメガにのみ欲情するようになる。
なおアルファは人よりも肉体も頭脳も優れているとされ、オメガは容姿に優れている場合が多いらしい。まあ、あくまで結果論であって、そうとは限らないこともある。ベータだって、優秀な人はいる。
学校でそう習った。
ちなみに、俺の母さんは男のオメガで、父さんは女のアルファだ。父さんは母さんにベタ惚れだけど、母さんも父さんのことをちゃんと愛している。いい夫婦だと思う。ただ外で惚気るのはやめてほしい。
「誠。葉月くんが一応あなたの婚約者だからね」
「一応って」
「当然でしょ。黒川の家を舐めないで。というか、この子達はまだ幼いのだし、どうなるかわからないでしょ」
「確かにそれは一理あるな。……そうだ、こうしよう」
葉月の父さんは何か閃いたようだった。何だろう。
「二十歳までは誠くんと葉月は仮の婚約者だ。その後、どうするかは二人で決めるといい」
「僕もそれならいいよ」
「智さん」
父さんは母さんが賛成するなら、と婚約に同意をしめした。
「私も、結婚するかどうかは葉月と誠くんの二人でじっくり考えていくのがいいと思うわ。制限を設けるのもいいことね」
葉月の母さんも賛成らしい。なので、俺と葉月の婚約はあっさり決まってしまった。文句を言うと面倒くさいことになりそうなので、俺は黙って葉月に手を差し出した。
「よろしくね、葉月くん」
俺が手を差し出すと、おずおずと葉月が手を出した。俺はその手を握る。
「葉月くんの髪と目、すごく綺麗だね」
「えっ?」
葉月が驚いたように目を見開く。これだけ綺麗な子だったら、言われ慣れているだろうに。その反応が意外だったので、俺も驚く。
「だって、あそこにある紅葉みたいに綺麗な赤でしょ。俺、紅葉好きなんだ」
「本当に?」
「うん。ほんと。おばあちゃんと紅葉狩りにもよく行くよ。綺麗な赤色、俺好きだなあ」
俺がそう言って笑うと、葉月も頬を緩ませて笑った。今日初めて葉月の笑顔を見た気がする。とても可愛い。
「僕のこと、葉月でいいよ。誠くんのことも、誠って呼んでもいい?」
「いいよ」
「ふふ、ありがと」
そのやり取りを見ていた父さん達は、にこにこと嬉しそうに笑っていた。
***
俺も、あの婚約式のときは、葉月とうまくやっていけると思ってたんだよなあ。
俺は今、高級ホテルのディナーの席にいた。白いテーブルクロスの上にはコースのフランス料理が並んでいる。目の前には、鮮やかな赤の瞳と髪の青年が座っていた。
「はあ」
「何で溜息なんて吐くんだよ」
「そりゃ、婚約者は色んな人と付き合えてるのに、俺の方は全然ダメだったら嫌にもなるだろ」
「別に誠はいいでしょ」
「よくないね!」
俺は憤慨した。俺は今年で二十一、葉月は今日で二十だ。つまり、約束の日が来たというわけである。
葉月は背が伸びて、今は俺よりもずっと高い。中性的な顔立ちはそのままで、より美しさに磨きがかかった。しかも、入学した大学は超一流。俺自身も結構良い所には行ってるけど、葉月の前だと霞んでしまう。
このままじゃやばい。モテまくりの葉月とは正反対に、俺はモテない。何より容姿が平凡の男のオメガってのは結構大変だ。
基本的にオメガは美男美女が多いので、どうやったって俺の平凡な見た目で張り合うのは困難だ。
母さん、よく父さんと結婚できたな。まあ父さんは家事もめちゃくちゃできて、気遣いのできる人だからな~。仕事も父さんほどではないけど、できるらしいし。
「俺、このままじゃ嫌だよ」
「は? 何が不満なわけ」
葉月がフォークとナイフの手を止め、険のある目をこちらに向ける。
「だって、葉月は何かいつもイライラしてるしさ~。俺は経験ないし」
「それは……」
「だから葉月。俺は合コンする! 女の子とイチャイチャする!」
「はあ? 何言ってんの」
「お前ばっかずるいんだよ! 俺だって青春したいんだよ。毎日研究ばっかだし。潤いが欲しい」
「誠には俺がいるでしょ」
「葉月は弟だろ」
「……」
葉月のことは可愛いと思ってる。でもそれは、家族に対する情に近い。俺には三つ下の双子の妹たちがいるけど、めちゃくちゃ可愛い。反抗はされるけど、やっぱり愛おしく感じる。そんなようなものだ。
「ふーん。じゃあ、婚約はどうするの」
「好きにしたらいいよ。あ、婚約はやっぱり解消するか?」
「……。俺さ、今日誕生日じゃん」
「うん」
「楽しみにしてたんだよね。なのにさあ」
あ~あ、と綺麗にセットされた髪を手でくしゃくしゃにしながら、気怠そうに言った。
「まじで怒るよ」
今まで見たことのない、怒りを顕わにした顔だった。俺はぞっとした。だから、機嫌を直してもらおうと、丁寧にラッピングされた袋を慌てて葉月に渡した。
「プレゼントがあるんだ」
「何」
「ピアス。葉月の好きなブランドだよ」
「それってお揃い?」
「違うけど。そもそも俺はピアス付けないし」
「じゃあ、今度俺が同じのをプレゼントするね」
俺がピアス付けれないって、ちゃんと聞いてた? そう思ったけど、突っ込んではいけない気がして、お礼を言った。
「ありがと」
「どういたしまして」
葉月は彫刻のように美しく微笑む。どうだろう。まだ怒っているのだろうか。わからない。
俺は嫌気が差して、というよりも葉月がただ怖くて、財布から一万円札を二枚取り出し、テーブルの上に置いた。
「誠?」
「今日はもう帰る。疲れた」
「何言ってんの、誠。だって今日はこれから」
「じゃあな、葉月」
俺は急いでレストランを出る。葉月の待って、という声を振り切って、俺は走った。帰る途中の電車から見える紅葉は、淡く色づいていた。
***
「えっ! じゃあお兄ちゃん、葉月くん置いて帰って来たの!?」
「うん。何か怖かったし」
「かわいそ~」
妹の杏と桃が顔を見合わせて、顔を顰めていた。いつもは全然似てない双子だけど、こういう時の表情はそっくりだ。
「まあ、葉月くんが悪いのもあるけどね~」
「だろ!? 俺だってモテたいよ」
「お兄ちゃんがそんなに言うなら紹介しよっか」
「いやいい。お兄ちゃんは捕まりたくない」
だって妹の年の子となれば、高校生だから未成年だ。どう考えても俺変態じゃん。未成年に手を出すわけがない。
「あ、大丈夫だよ。相手の人、大学生だから。最低でも成人済みだったと思うし」
「えっ、どうやってそんなの知り合ったんだよ」
「内緒。合コン組んであげるんだから、私の欲しいもの買ってね!」
「私も~」
「いや、待って」
「もう連絡したから」
かくして俺は、人生初の合コンに参加することになってしまった。妹主催ってのが兄としてだいぶ気まずいけど。
まあ、いっかあ。俺は呑気に構えていたが、それは間違いだったのかもしれない。
***
そして、合コン当日。俺は薄水色のシャツの上から黒のジャケットを羽織り、皺一つない紺のパンツを履く。俺のお気に入りの服だ。
窓に映る紅葉を見ると、婚約式の日の時みたいに、深い赤になっていた。とても綺麗だ。
俺は意気揚々と合コンに向かった。
「こんなの聞いてないんだけど……!」
「どうしたの?」
ゆるく巻かれたベージュの髪が揺れて、女の子が俺を見つめる。俺は女子に慣れてないから、どぎまぎしながらぎこちなく笑った。
「あ、いや。あの赤髪の人なんでいるのかな~って……」
「紅くんだよね。めちゃくちゃかっこいい~」
「ははは」
何でここに葉月がいるんだよ! もしかして俺、妹に嵌められた?
杏も桃も、葉月と仲が良い。しょっちゅうやり取りしてるくらいだ。一応婚約者は俺なんだけど、やっぱり嫌われてるのかなあ。
俺が恐る恐る葉月を見ると、目が合ってしまった。やばい。変な汗が背中を伝う。
「黒川さん」
葉月の方からにこやかに笑いかけてくる。声もこの間みたいに地を這うような低い声じゃなかった。なのに、俺は薄ら寒いものを感じていた。
何だろう。逃げなきゃいけない気がする。
「な、なに? 紅くん」
「こっちに来て一緒にお話しをしようよ」
葉月は俺に手招きをした。
正気か? お前の周り、めちゃくちゃ人いるじゃん。どう見ても行きづらいんだけど。
ほら、と少し空いた隣を葉月が手で叩く。周囲を見渡すと、俺に嫌というほど注目しているのがわかった。
うん。家柄よし、学歴よし、見た目よしのアルファが、オメガとはいえ平凡な男を呼んだらそうなるよな。俺もどうかと思うよ。
俺は顔を引き攣らせながら、葉月の隣に座る。
「実はさ、俺この人と許嫁なんだよね」
葉月が俺を指さして言った。
辺りは騒然となり、そこかしこで悲鳴が上がった。
何言ってんの? 許嫁ってことは周りに黙っておくって約束だったろ!
「え~! 葉月くん、付き合ってる人いたの」
「まじか。ってことは結婚するんだよな」
矢継ぎ早に質問が飛んでくる。紅は笑み一つでそれに対応していた。そして、俺に優しい声で問いかける。
「誠。俺達って結婚するんだよね?」
さっきから周りの視線がすごく痛い。紅くんから求婚されてるんだったら承諾するだろって圧がかかってくる。
俺はそんな流れに逆らえるはずもなく、首を縦に振った。
すると、歓喜の声が沸き上がった。
「おめでとう~!」
「じゃあ今日はお祝いだな! じゃんじゃん飲めよ!」
でも今日って合コンだよな? 何かおかしくないか? こんなお祝いムードに急になる?
俺が戸惑っていると、葉月が肩を抱き寄てきた。嗅いだことのない、爽やかな香りが鼻腔をくすぐる。何だか少し体が熱くなった。
「ふふ、今日はたくさん飲もうね」
「俺あんまり飲めないし」
「大丈夫だよ」
何も大丈夫じゃない、と言い返そうとしたら俺の前にどんどん酒が並べられていく。何だこの量。アルハラでは?
「黒川。まあ無理せず飲める分だけ飲めよ」
「ああ……」
同じ大学で見かけたことのある派手な男が言った。辺りをよく見ると、大学で美人グランプリを獲ってた子とかいる。ていうか皆顔いいな。どういう集まりなんだよ、これ。
妹のネットワークに慄きながら、俺はジョッキを掴み、やけくそで酒を飲み干した。
頭がふわふわする。体が熱い。ほどよい酩酊感に、俺はぼんやりとしていた。
気付けば酒はなくなっていて、そろそろお開きになる雰囲気だった。俺は立とうとしたけど、足がもつれて転びそうになった。
「危ないよ」
「ん、あ」
抱きとめられ、横から聞こえる声が不思議と心地よかった。俺は大人しく体を預ける。
「ふふっ、できあがってるね」
俺はそのまま外に運び出してもらった。さっきから、体が熱くてたまらない。何だろう。気持ち良くて、蕩けるような甘い疼きが下腹部からする。
「じゃあ、解散な! 二人ともお幸せに~」
遠くで聞こえる声に俺は頷くこともできず、ただ隣の人間にもたれ掛かっていた。
夜風に当たりながら、俺はふらふらと歩く。傍にいる人は何も言わずに歩みを合わせてくれた。
しばらく歩くと酔いは醒めてきた。ただ何故か体は熱く、喉が渇いていた。水が欲しいのか? 違う、これは。
「大丈夫?」
隣を向くと、葉月がいた。
「葉月」
「どっかホテルで休む?」
「いい。家に帰るよ」
「そんな状態のまま帰せるわけないでしょ」
葉月は俺の手を取って、ホテルの方へと歩いていく。力が強くて振りほどけない。
そのまま大人しく手を引かれたまま歩いていると、俺達はホテルの前に立っていた。
「頼む。離してくれ」
「嫌だ」
「俺、発情してるんだ」
俺は思い切って打ち明けた。そしたら、すぐに帰ろうって言ってくれると思ったから。でも、違った。
「それは良かった」
「え?」
「じゃあ中に入ろう」
俺はあっという間にホテルの部屋に引きずり込まれてしまった。
まずい。どうしよう。心臓が早鐘を打つ。
そもそも、何で発情中のオメガである俺に、アルファのお前が一緒に居ようとすんだよ。おかしいだろ。
けど、幸い俺はチョーカーを付けてるし、鍵も家にあるから間違っても番になることはない。
だからってホテルでオメガとアルファがやり過ごそうとするのは変だろ。無理がある。
「誠はもう発情止められないよね。だって、俺がそうなるように仕向けたんだから」
「え」
「俺のフェロモン、ちゃんと効いてるね」
気付けば葉月は服を脱いでいた。
さっきからずっと、木々の中にいるような独特の爽やかな匂いがするのはフェロモンのせいかよ。何もかもを投げ出して、アルファの精が欲しくなってくる。心なしか、俺の後ろも濡れている気がした。
何だってこんなことに。
葉月が近寄ってくる。来ないでくれ、と言おうとした口を塞がれる。柔らかい。
何度か唇が重なり合ったかと思うと、口の中に舌が入り込んできた。押しのけようとしたけど、力が入らなかった。ただ咥内を丁寧に舐め取られていく。
俺は快感がせり上がってきてるのがわかっていた。本当にこのままじゃまずい。葉月とシてしまうのかもしれない。
でも、どうして。葉月は俺のことなんてどうでもいいんじゃなかったのか?
俺はベッドに押し倒される。ベッドが、二人分の重さで沈んだ。
「可愛い」
とろりと甘く、でも獣の欲が孕んだ声だった。
葉月の顔は、ほんのり赤く染まっていた。
「好きだよ」
「え」
葉月は俺の服を慣れた手つきで脱がしながら、キスの雨を降らせてくる。くすぐったい。今、何て言った?
「好きって、なに」
「誠のことが好きなんだけど」
「あ~~、家族的な? わかったよ。じゃれ合いたいのか」
葉月が俺に対して冷たかったのは、俺に甘えたかったけどできなかった反動ってことだよな。うん、そうに違いない。
「は? 性欲込みの好きだけど?」
俺は固まった。その隙に、服は全部脱がされて、俺は裸になってしまった。
「は、づき」
「ず~~っと昔から誠のこと好きだよ。婚約式で会った時からね。本当はもっと早く俺のものにしたくて堪らなかった。でも、約束のせいでできなかった。だからずっとイライラしてた」
「約束……?」
「俺は、二十歳になるまで誠と正式な婚約者になれなかった。あの婚約式にそう決められていたから。だから、誠を番にすることも、セックスすることもできなかった」
俺は何も言えなかった。何で、どうして、という考えが頭の中でぐるぐると回っている。
「でも、今日……、本当は俺の誕生日にセックスするつもりだったけど、やっとできるね。番になるのはまた今度だけど」
俺は後ずさった。でも、すぐに葉月は近付いてきて壁際まで追いつめられる。
葉月の手の平が俺のチョーカーに触れたかと思うとそのまま降りていって、俺の胸に触れた。
「ふふ。誠、すごいドキドキしてるね。ほら、実は俺もすっごくドキドキしてるんだよ」
葉月が俺の手を掴んで、自分の胸にあてる。確かに俺も葉月も心臓の鼓動が速い。
でも、俺のは違う。さっきから、体がおかしいんだ。まるで、自分の体じゃないみたいだ。変な熱に浮かされて、苦しい。
「いっぱい気持ちよくなってくれるように、頑張るから」
葉月がキスをしながら、体中を愛撫してくる。俺はそれだけで、ぞくぞくとしたものが身体を駆け巡る。きっとこれを、気持ちいいというのだろう。
でも、おかしい。触られるだけで、こんなにも気持ちいいものなのか。
不意に、葉月の指が胸の突起に触れた。
「あっ」
「うん? 誠、胸感じるの」
俺は黙った。言えない。一人でシてるとき、乳首も弄ってるなんて。
葉月が指先で乳首に触れるか触れないかくらいで撫でてくる。
「ん、ぅ」
俺は声を押し殺す。感じてるなんて、思われたくない。でも、もどかしい。本当はもっと触ってほしい。
ちがう、ちがう、ちがう!
「やめ、」
止めようとした時、乳首を親指と人差し指で捏ねられた。俺はその快感に耐え切れず、大きな喘ぎ声を上げてしまった。
「ま、まって」
それどころか、葉月は俺の乳首を口に含んだ。舌でこりゅこりゅと潰される感覚が、たまらなく気持ちいい。
「あ、あ」
乳首を吸われ、指で捏ねられ、俺の思考は溶けていく。気持ちいい、もっと、もっと。
「きもち、いい」
俺は心の内を息とともに漏らす。葉月は嬉しそうに笑って、俺の乳首を噛んだ。瞬間、びりびりとした快感が体を走り抜け、陰茎からは精液が出てしまった。
「あっ、あ!」
「気持ち良かったね」
葉月が俺の頭を撫でる。もう、葉月に触れられる場所すべてが性感帯みたいになってる。俺の体はやっぱりおかしい。
「じゃあ、後ろ解すね」
葉月はいつ出したのかローションを手にぶちまけ、指に念入りにローションを絡めた。そのまま、俺のまだ誰にも暴かれていない場所に、指が入ってきた。
「あ、ぅ」
「すごい濡れてるね。いつもこうなの?」
「ち、ちがう」
「ふうん」
葉月の指がぐりゅぐりゅと俺の中を擦る。俺はそれだけで悦楽を感じてしまう。いつも、こんなんじゃないのに!
俺の中のある一か所を指が掠める。俺は思わず喘ぎ声を上げてしまった。
「あっ、あ、そこ、やめ」
「ここが誠の好きなところなんだね」
葉月の指が、俺の気持ちいいところをトントンと軽く叩く。俺は快楽で震えた。
指が増やされ、さっき感じたところを捏ねられ、押し潰される。俺はひたすら喘ぐほかなかった。
「あっ、はあっ、あ、あ」
「気持ち良い?」
「あっ、あ」
「ねえ。誠。さっきみたいに気持ち良かったら、気持ち良いって言ってね」
「きもちい、きもちいいからあ」
「うん」
「もう、やめて」
気持ちよすぎて頭が馬鹿になる。理性なんて、もうとっくに壊れてる。これ以上されたら、俺は完全に狂ってしまう。
「やめて? もっと欲しいの間違いでしょ」
また俺の弱いところを指で押し潰される。俺はイってしまって、陰茎から精液がとろりと溢れ出た。
「またイっちゃったね。……もうそろそろいいかな」
熱くて太いものが俺の後ろに押し当てられる。ほしい、ほしい、ほしい。きっと、今挿れたらすごく気持ちいい。でも、いいのか?
葉月が俺の耳元で、低く甘い声で囁く。ふわりと、森林の中にいるような香りがした。俺はその香りが、頭が痺れるほど気持ち良かった。
「誠。今これを挿れたら、すっごく気持ちいいよ。誰も止めなんてしないよ」
「あ」
「誠が一言、俺のが欲しいって言ってくれたらたくさん突いてあげる。気持ち良くなれるよ」
俺はもう、我慢できなかった。俺の中に早くそれが欲しい。だから、言った。
「葉月の、挿れてほしい」
「嬉しい」
ずぷん、と俺の中に葉月のが入ってくると同時に、俺は多幸感に満ちていた。
葉月はそのまま俺の好きなところを何度も陰茎で押し潰してくる。俺はその度にびくびくと震えた。きもちいい、もっと欲しい。
「あ、きもちいいっ」
「うん。俺のちゃんと覚えてね」
「ん、あっ」
ばちゅばちゅと音を立て、俺の奥を葉月のが突いてくる。じくじくと甘くそこが疼く。そこ、気持ちいいっ。
「奥も好きなんだ。エロいね」
「うんっ、好きっ」
「……好きってもう一回言って」
「? 好き」
「誰のことが?」
中であれほど動いていたそれが、止まってしまった。いやだ、もっと、俺の奥を突いてほしい。中を葉月のでぐちゃぐちゃにしてほしい。
「葉月、お願いだから動いて」
「じゃあ、俺のこと好きって言って」
葉月が泣きそうな顔で俺を見る。なんで、そんな顔するんだよ。俺は困惑した。だから、言ってやらないと、と思った。
「……好きだよ」
「本当に?」
「ほんとう」
俺は葉月を抱き締めた。何でだろう。わからない。葉月の声と匂いが俺を動かす。
「嬉しいな、すごく嬉しい」
葉月は俺の額にキスをして、再び動き始めた。幾度も俺の奥にそれを突いてきて、俺はただ喘いだ。
「あ、あっ、あ」
繋がっているところから快楽が全身に広がっているのがわかった。俺はもう、快楽にどっぷりと浸かってしまっている。だって、さっきからひっきりなしにイってるんだ。
「はっ、俺も、そろそろ限界……っ」
より一層激しく挿入が繰り返される。しかも、葉月のそれは一段と大きくなって、俺の気持ちいいところを何度も擦り、突いてくる。
「あ~~っ、あっ、あ!」
「……っ」
後ろが今日一番締まったのが自分でもわかった。
そして、びゅるるると精が放たれた。あたたかくて、気持ちいい。俺は、ずっとこれが欲しかったんだ。
「誠、好きだよ。愛してる」
葉月が俺を抱き締める。
俺の中にある葉月のものを強く感じながら、それさえも気持ち良くて、俺の意識は溶けていった。
***
やってしまった。弟だと思っていた子とセックスをしてしまった。俺は痛む腰を抑えながら、洗面所に行こうとした。
だけど、強い力で腕を引っ張られて、再びベッドへと戻されてしまった。見れば、葉月は怪訝な顔をした。明らかに機嫌が悪そうだ。
「どこ行くの」
「顔でも洗おうと思って」
「嘘。逃げようとしたんでしょ」
「……」
だって、気まずいだろ。そりゃ婚約者だけど、ほとんど解消しているようなものだし。
「あ~~、でもこれでやっと誠を番にできる!」
「は?」
「だって誠、俺のこと好きって言ってくれたでしょ」
「あれは、フェロモンで無理矢理……」
「ちゃんと録音してるから。これで正式に俺達は親御さんに婚約者だと認められて、結婚もできるよ! 俺、すごく幸せ者だ」
葉月はよほど嬉しいのか、ずっとにこにこしている。まあ、何だその。そこまで喜んでもらえるのなら悪い気はしないというか。でも、家族みたいに思ってたし。う~ん。
それに、葉月はずっと他の人間と付き合ってたじゃないか。何か、むかついてきた。
「でも葉月は他の人と色々してるだろ」
「……」
「俺は葉月以外を知らないのに」
まるで拗ねたみたいな言い方になってしまったことに俺は驚いた。あれ?
「もしかして、焼きもち焼いてくれてるの?」
「違う」
「ちなみに俺、付き合ったことはないよ。全員セフレ」
「問題大ありだろ」
「だってさ、その。好きな人とするのに失敗したら嫌じゃん。だからその練習してた」
葉月はまるで紅葉みたいに顔が真っ赤だった。言ってることは最悪だけど、たどたどしく言うその姿は昔のようで、可愛いと思ってしまった。
俺はふと婚約式の日に見た紅葉を思い出していた。綺麗だったな。また見に行きたい。
「というかそもそも、何で俺のことが好きなんだよ」
俺は平凡な人間だ。勉強はそこそこできるけど、それでも葉月や妹たちには及ばない。容姿だって、普通の黒髪黒目だ。葉月のように、美しく色づいた紅葉のような、息を呑む美しさは俺にはない。
「だって、誠が初めて俺のこの真っ赤な目と髪を褒めてくれたから」
「いや、誰だって褒めるだろ。葉月は綺麗だよ」
「俺が小学校に入ったばっかの頃は、全然そんなことなかった。揶揄われて、すごく嫌だったんだ。何なら、いじめみたいなものもあった。真っ暗な世界だった」
葉月は口を一文字に結ぶ。そんな酷いこと、知らなかった。
「だから、誠は俺の運命の人なんだよ。俺の全てを変えてくれた。俺の黒一色だった世界に色を与えてくれた」
「……」
どう答えればいいかわからない。あの日、俺は思ったことをそのまま伝えただけだ。励まそうとか思って言ったわけじゃない。
「そうだ、誠。お揃いのピアス買ったんだよ。ほら、耳貸して」
「いやだから俺ピアスしてないって」
「今からすればいいよ」
葉月はバッグからピアッサーを取り出した。えっ?
「動かないでね」
「ちょっ、やめろ!」
俺は暴れた。わざわざ痛い思いしてまで付けたくない!
「お揃いにしたいのなら、他のアクセサリーにしたらいいだろ。ほら、例えば指輪とかどうだ」
葉月が面を食らったような顔になる。何だよ、そんなおかしいこと……あっ。
「それ、もしかしてプロポーズ?」
「ちがう!」
「嬉しい」
葉月に強い力で抱き締められる。俺は爽やかな香りに包まれて、ふわふわした気持ちになる。
「一生大事にするから」
正直、ここまで言われて悪い気はしない。我儘で、不遜で、自分勝手な奴だけど、素直で可愛いところもある。
「じゃあ、紅葉を一緒に見に行こう」
「紅葉?」
「初めて会った時の紅葉、綺麗だったから」
葉月は笑った。その笑顔は、あの婚約した日に見た、世界で一番可愛いと思った顔だった。
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