澄み透る渡りの世で

秋赤音

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その代償は

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もう一度、生贄を。
ミスティとの婚姻を破棄した一年後、再び聖女が必要になった。
初めは小さな声が広がり、気づけば妃を筆頭に大半の王族が望んでいた。
争いが増える民は、穏やかさを求めて王族に反抗した。
ミスティはすでに死んだことになっているから使えない。
だから、二番目の魔力が多かったミスティの姉を選んだ。
公認の妾とし、祈りを捧げながら王家の母体とする約束を結んだ。

予定通りに妾として迎えたミスティの姉。
平民の女には珍しく魔力を多く有する体は、男なら一度は憧れる凹凸と曲線で笑む。
薄い凹凸はあったが色気が無かったミスティを思い出すが、比べることすら失礼だと思った。

「ミスティでは叶わなかったことを、私が叶えます」

「楽しみにしている」

妖艶に笑う妾を、安静が必要な最愛を代わりとして抱いた。
手からこぼれる程に豊かで柔らかな胸は初めてだった。
触れるだけ良くなる感度と、受け身ではなく自ら快楽を煽る娼婦のような淫靡さ。
純血のまま快楽を極めたような様に溺れた。
事を終え、燻る熱を抑えながら肌を重ねたまま腕に抱く。
なんとなく、巧みな技を仕込んだ男を知りたくなった。
妾は、明日の天気を告げるような声で「妾の兄です」と言う。
平民は学ぶための教師を雇うことができないのは知っていた。
性の手ほどきを兄妹で行っていることには驚いた。

「驚きました?
我が家は魔力を有する量が多いので、身を護るためです。
平民で兄妹がいれば普通ですし…もちろん、純潔は守りますけど」

明日の朝食はなんですか、と同じように言う様に生きる大変さを垣間見た気がした。


七日が過ぎ、妾が暮らしに馴染んだのを確認し、月が昇ると計画は行われた。
懐妊の確認と言い、術師は妾に分からないよう術を体へ組み込んだ。
唯一の平民術師を呼ぼうとしたが、できなかった。
ミスティの監視と廃教会を檻に変えて逃がさないよう命令もしてあった。
他の術師によって密やかに変わった妾の体は、数秒後に狂った。
触れなくても一人果てる様を見るのは初めてで、興奮がとまらず夜が明けるまで抱いた。

月夜が照らす王宮。
夜になると離れに通うのは、もはや日常になっている。
妾が待つ部屋の扉を開けると、すでに発情している妾が拘束で自由にできない体を震わせている。
与えた玩具で何度も達したのか、ドレスは濡れていた。

「あっ、早く、早く犯してっ!お願いだからぁっ!」

「まだ、壊れていないか」

「確認します」

術を施した術師いわく、流れてくる感情を浄化する副産物。
「ルカと名乗る平民の術者が造った仕組みは、おそらくよくできていました。
妾のように精を与えなければ簡単に壊れる体では、一年すら厳しいはずです」
術者は嘆くように言っていた。
解決策を場にいない術者に求めているようだったのを思い出す。

「やぁんっ、そこ、きもちい、もっとっ、強くぅあぁあんっ!」

何かを考えながら新しい玩具に術をかけた術者は、秘部にある玩具をゆっくりぬいた。
瞬間、妾は潮を吹いて果てた。
慣れた手つきで新しい玩具をゆっくりといれると、妾は喘ぎ、何度も果てながら腰を振り異物を飲み込んだ。
疲れた顔でため息をついた術者は妾から離れた。

「ぬくときに刺激を与えるのは良いようですね。
明日の玩具からは継続で取り入れます。
今日も肉体強化をしました。
ついでに、浄化の補助に使える新しい術も組んでいます。
これを…押せば玩具が振動します」

「わかった。せっかくだから、試そうか」

装置の無機質な突起を押すと、妾が艶やかな悲鳴を上げた。
人と熱を交わすだけでは足りなくなった体に与えたのは玩具。
一度任せてしまえば、楽で新たな楽しみ方もできるので続けている。

「いやあぁああっ、ぬいてっ!いれて…っ、精をっ、くださぁんうあぁああっ!!」

「嘆く妾に情けをくれてやれ」

「いえ。私の役目は健康維持です。
何かあれば呼んでください。
失礼します」

淡々と言う術者は部屋を出た。

「レオ…ブランさまぁっ、犯してっ、壊して、くださいぃあああぁああっ!」

「新しい玩具が壊れるまで、お預けだ」

「いやぁあああっ、助けて、にい、さまぁっ、熱い…っ、熱いよぉ…っ!」

青い瞳からおちる涙は、とても綺麗だった。


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