暗幕の向こう側

秋赤音

文字の大きさ
上 下
14 / 59
祈りの果てに

3.優交

しおりを挟む
リリスがきて七日が過ぎた。
広かった冷たいベッドは狭くなったが、人の温かさを実感する。
両隣で眠るリリアとリリスに感謝をこめて、そっと頭を撫でた。
飼い主様は新しい世話人に夢中だ。
だから、僕が何をしても気にしない。

リリスは、世話人としての仕事を楽しそうに行っている。
喜怒哀楽が分かりやすく、傍にいるだけで場の雰囲気が変わる。
僕がたまに手伝っていても、
気にしないで受け入れて共に行ってくれた。
リリアは庭の手入れが楽しいと言っていた。
飼い主様いわく、腕も良い…らしい。
いつの間にか、馴染みの庭師が来なくなった。
僕が教えてほしいとお願いすると、快く引き受けてくれた。
二人は時間が空くと、図書室にいる僕の所へきてくれる。
楽しそうな様子の二人を見ることが楽しみで、
さらに、時折だが三人で勉強をする時間も新しい楽しみになった。
穏やかな日々を二人と時間を過ごしている。

翌日。
朝から、
急きょ会議で呼ばれた飼い主様はレイラさんと出かける
庭の散歩をしていると、
リリアとリリスが花を世話している。

「綺麗ですね」

「リン」

「リン様」

楽しそうな二人は、
花が咲く雑草をわざわざ植え替えていた。

昔、二度と会えなかった少女へあげたことがある花。
それが雑草だと知ったのは、屋敷へきてからだった。

「それ、雑草ですよね?」

「そうですね。雑草と呼ばれています。
リリア様からのご依頼で、
見つけたときはお声かけしています」

「私にとっては、思い出の花です。
だから、見つけたら植え替えて育ててます。
リリスにも見つけたら教えてもらってます」

幸せそうに微笑むリリアと、楽しそうなリリス。
雑草なのに、なぜそんなに嬉しそうなんだろう。

「雑草なのに、ですか?」

「はい。
あの人は、唯一私の心を癒してくれました。
この花は、約束の花です。
叶わないかもしれないけれど。
でも、思い出すだけでとても幸せです。
リンと出会えたから、今があります。
本当にありがとう」

眩しいくらいに輝く笑顔はそう言った。
あの少女も、リリアのように幸せでいてくれればいいと、
自分勝手に願った。
恨まれていても仕方がない、とも思う。
それでもいいから、今は一人でないことを祈った。

「リン様?どうされました?」

「なんでもないです」

「リン。泣いている人が言っても説得力ないです」

「泣いてる?」

涙をぬぐおうと思ったら、
温かく柔らかな感触が水を攫った。
口づけられたと分かったのは、
リリスが離れてからだった。

「リン様。
言いたくなければ、言わないでいいです」

「そうです。
リンには私たちがいるのだから、
辛いときは甘えてください」

僕の片手を二人が包む。
リリアとリリスの手にある土がついた僕の手は、
一人ではないと伝えている気がした。

夕刻。
慌てて帰ってきた飼い主様は、急いで屋敷を出た。
魔法塔の実験で、
試しに廃品同士を交配させたら魔力が増えたこと。
協力要請があり、
受諾したのでしばらくは留守にする…と言い残して。

三人で迎えた夕食の時間。
なぜか、
リリアとリリスが僕に食事を食べさせてくれている。

「自分で食べられます」

「今日は、こうしたい気分です。
続けさせてください。お願いします。
はい、どうぞ」

「リン様。申し訳ありません。
リリス様の意向なので…こちらも、どうぞ」

右にリリア、左にリリス。
長椅子に身を寄せて座っているので、
服越しに押しあたる体の柔さや目のやり場に困っているが、
二人は気にしていない様子。

「だったら。
僕ばかりも悪いし、リリアとリリスにもします。
だから、二人も食べてください」

「「はい」」

嬉しそうな二人と食べさせ合いをして、
なんとか皿を空にする。
ついに目のやり場がなくなった僕は、
完全に欲情している。
一度意識してしまうと駄目だった。
口を開けるリリアの唇から覗くその舌が情欲を煽り、
応えれば淫らになることを知っている。
照れているリリスは耳まで赤く、
緊張で汗ばむ首筋が色っぽい。
まずは、この場を離脱しよう。

「ごちそうさまでした。
僕が片付けてきますから、
二人はゆっくり」

「リン。まだ、です」

「リリア、何を」

唇を奪われ、舌を絡め、吸われて理性が霞む。
疼く下肢に負けず立ち上がろうとした僕の前に、
リリアが跪く。
そして、下肢を覆う服から昂ぶりをそっと撫でた。

「辛そう、なので…いい、ですか?」

「あ…申し訳ありません。
お世話を任せてもらっているのに…私もご奉仕します」

リリアの手は確実に僕を追い詰めていく。
リリスも、
服を乱して僕の手をとり胸の柔さに押し当てている。
応えるように熱を増す昂ぶりは、とめられない。

「お願い、します」

僕の合意に嬉しそうな二人は視線を交わした。

「リリス。見ていてくださいね」

「はい。リリア様」

「リン。もう、いれますね。
私、見ての通りです」

隣でじっと僕たちを見るリリスの前で、
リリアはスカートをたくし上げる。
下着はよく濡れていて、役割の半分は果たしていない。
そこへ指を入れると、蜜が溢れこぼれてくる。

「リン…っ!指、もいいけど…、私はリンがほしいです…っ」

「確かに。お願いした身だから…自由に、してください」

そっと指をぬくと、迷わず僕の膝に跨って全てをのんだ。
奥まで届いた瞬間の強い締めつけに、思わず達した。
しかし、リリアは遠慮なく腰を振り、再び射精を促している。

「ぁ…っ!奥、まで…リン、気持ちいい…っ、もっと出してくださいね」

「リリア、加減を…また、出るから…っ、は…っ、く…ぅっ」

「あっ、ぁ、…っ、ん、リン、イ、く…っ」

力がぬけたリリアは僕の肩へもたれると、
名残惜しむように首筋へ口づけていた。
呼吸が落ち着くと膝から降りて、リリスの手をひく。

「リリス」

「はい。リン様、とても辛そうです…。
私で楽になってくださいね」

するりと服をぬいで下着だけをまとうリリスは、
交代するように僕の膝へ跨った。

「お二人を見ていると、私も…」

めくられたスカートの中は、蒸れていた。
秘部は、見るだけで分かるほど濡れている。
なぜか肝心なところがギリギリ隠れていない何かのおかげで、
するりとナカへ入った自身は遠慮なく狭いところを進んでいく。
痛そうなので加減をしようにも、
夢中になってのみこんでいくリリスの腰使いで意味がない。
純潔を奪ってしまった感覚に戸惑うが、
激しい水音と喘ぐ吐息に、思わず下から突き上げた。

「ぁんっ!いた、いけど…っ、気持ちい、です…っ!
リン様ぁ…私にもご寵愛、をください…っ」

嬉しそうに強請り微笑むリリスに、射精感が高まっていく。
ここまで世話を望んではいなかったはず、だった。
しかし、僕へ様々な感情を向けるリリスも、
いつの間にか大切になっていた。
そんなリリスに望まれたこと、受け入れられた嬉しさ。
僕に合わせて優しく、
時に激しく求める様に理性が堕ちた。

「リリス…っ、僕、もう…っ、ぅ、あ、…ぁあっ」

「リン様…ぁ、ああああぁっ!…っっ!」

達したと同時に締めつけられたナカは、
放たれた熱を受けとめてさらに締めつけを増す。
リリスは荒い呼吸のまま一度ぬこうとするが、
わずかにこぼれた白濁に焦っている。
受け入れた熱をこぼさないようにしているようだった。
その様子を見ていると、手をとられた。

「リン」

拗ねたようなリリアの声に振り向くと、
頬に手が添えられ唇が塞がれた。
舌を絡めれば嬉しそうに微笑む。
とられた手は秘部へ導かれ、
動きに応えてナカへ入れると気持ちよさそうに腰を振り始めた。

しおりを挟む

処理中です...