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分離する天上の世界
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天界が両翼天使族と片翼天使族に分かれたのははるか遠い彼方のこと。
背に現れる両の翼が、片方だけの天使が育ち始めたのだ。
片翼の天使たちは皆、高い能力を誇っていたが、身体の一部、対の片方が必ずと言っていいほど欠けていた。
片方の指や腕がないもの、片方の足がないもの、片方の目が無いもの、欠損の部位や大小は様々であるが、どこかが欠けているのである。
癒しの大天使ラファエルは、欠けている部分を補う為に一部の能力が発達し、結果的には天界人である天使としての能力が高められたのではないかとの考えを示した。そして、片の翼は欠損の印ではなく、高い能力を示す印として現れるのではないかと見解を述べた。
『これは、天界における進化の過程である』
と、大天使ラファエルは言及した。
ラファエルの意見に、天界を統率する議会の意見は二分し荒れた。
反するものと賛するもの。
神官長は、天界におきたこの現象に、どのような意味がもたらされているのか理解しかね、二名の神官を伴い、神殿の奥深くに鎮座する神の元へと参じた。
神は両の手に宝珠と呼ばれる光の珠を持って座していた。
強烈な光を放つ神の姿は、宝珠を持つ手の形と、座しているのがかろうじてわかる。
神官達は神の前に跪き頭を垂れた。
その中のひとり、中央にて跪いている神官長が神に問うた。
神は答えた。
──あなたがたはどうしたいのか──
神官長は答えた。
「わからぬから問うております。我らから不具の者が生まれ始めたことで、皆怯えております」
神は答えた。
──生まれる者に不具の者などおらぬ。
目指す世界を創りなさい
あなたがたは常に選ぶことができる──
神官長は答えを受け取った。
『生まれる者に不具の者などおらぬ』
そうだ。神を主とする天上の世界に、不具の者など生まれるわけがない。
ましてや、片の翼が、我ら両の翼より優れているわけなどあるものか。
天界人たる天使は、両の翼を持つのが不変の定め。
両の翼こそが崇高なる神の世界を束ねる唯一の存在。
両の翼より優れるものなど━━━
生まれること自体があってはならぬのだ
「お待ち下さい!神官長!神はそのようなことは答えておりませぬ!」
「うるさい!神官長たる私の解釈が間違うてるとでも言うのか!」
「神は生まれる者はみな完璧だと申されたのです!例えそれが我らには不具の者に見えてもそれすら完璧な存在だと申されたのです!生まれる者に優劣はないと申されたのです!ラファエル様の仰った通り受け入れるべき過程なのです!!」
「黙れ!!神は目指す世界を創れと仰せになった!選べと仰せになったのだ!我らが創る世界は高貴な神の世界ぞ!高貴な世界に不具者は要らぬ!シグルト!お前こそ神の言葉を自分勝手に解釈するなど言語道断!お前に神官の資格などない!誰かこの者を捕らえよ!」
「神官長!お待ち下さい!神官長!」
神官長の怒りに触れた神官シグルトは、結界の張られた結界牢へと繋がれた。
神の言葉は神官長により天使長エアリエルに伝えられた。エアリエルは、不具の者・片の翼を持つ者を神殿に集め、彼らの生命を神の御元に還す儀式を行うと決定した。
それを知った大天使ラファエルは、捕らえられた神官シグルトを牢から逃がした。そして、命令が発動する前にできるだけ多くの不具の者・その家族、ラファエルやシグルトに同意する者達を引き連れて、天界の北の荒れ地の一部でもある樹海に行くように命じた。
樹海にさえ入れば、妖精王の庇護が受けられるためだった。
天使長エアリエルは、ラファエルとシグルトを神への謀反を企てたとし、ふたりに従い樹海に向かう者は皆、処刑せよと追手を差し向けた。
大天使ラファエルは、北の樹海に向かった者達を守るため、追手となった天使長エアリエルの戦闘部隊とひとりで戦い、命を落とした。
大天使ラファエル━━━
名を、ジェス・クライスト・ラファエルと言う。
人間から大天使ラファエルとなった、最初の者であった。
──あなたがたはあなたがたの創りたい世界を創りなさい
愛をもって世界を創りなさい
わたしは常にあなたがたの創る世界の神となるであろう──
背に現れる両の翼が、片方だけの天使が育ち始めたのだ。
片翼の天使たちは皆、高い能力を誇っていたが、身体の一部、対の片方が必ずと言っていいほど欠けていた。
片方の指や腕がないもの、片方の足がないもの、片方の目が無いもの、欠損の部位や大小は様々であるが、どこかが欠けているのである。
癒しの大天使ラファエルは、欠けている部分を補う為に一部の能力が発達し、結果的には天界人である天使としての能力が高められたのではないかとの考えを示した。そして、片の翼は欠損の印ではなく、高い能力を示す印として現れるのではないかと見解を述べた。
『これは、天界における進化の過程である』
と、大天使ラファエルは言及した。
ラファエルの意見に、天界を統率する議会の意見は二分し荒れた。
反するものと賛するもの。
神官長は、天界におきたこの現象に、どのような意味がもたらされているのか理解しかね、二名の神官を伴い、神殿の奥深くに鎮座する神の元へと参じた。
神は両の手に宝珠と呼ばれる光の珠を持って座していた。
強烈な光を放つ神の姿は、宝珠を持つ手の形と、座しているのがかろうじてわかる。
神官達は神の前に跪き頭を垂れた。
その中のひとり、中央にて跪いている神官長が神に問うた。
神は答えた。
──あなたがたはどうしたいのか──
神官長は答えた。
「わからぬから問うております。我らから不具の者が生まれ始めたことで、皆怯えております」
神は答えた。
──生まれる者に不具の者などおらぬ。
目指す世界を創りなさい
あなたがたは常に選ぶことができる──
神官長は答えを受け取った。
『生まれる者に不具の者などおらぬ』
そうだ。神を主とする天上の世界に、不具の者など生まれるわけがない。
ましてや、片の翼が、我ら両の翼より優れているわけなどあるものか。
天界人たる天使は、両の翼を持つのが不変の定め。
両の翼こそが崇高なる神の世界を束ねる唯一の存在。
両の翼より優れるものなど━━━
生まれること自体があってはならぬのだ
「お待ち下さい!神官長!神はそのようなことは答えておりませぬ!」
「うるさい!神官長たる私の解釈が間違うてるとでも言うのか!」
「神は生まれる者はみな完璧だと申されたのです!例えそれが我らには不具の者に見えてもそれすら完璧な存在だと申されたのです!生まれる者に優劣はないと申されたのです!ラファエル様の仰った通り受け入れるべき過程なのです!!」
「黙れ!!神は目指す世界を創れと仰せになった!選べと仰せになったのだ!我らが創る世界は高貴な神の世界ぞ!高貴な世界に不具者は要らぬ!シグルト!お前こそ神の言葉を自分勝手に解釈するなど言語道断!お前に神官の資格などない!誰かこの者を捕らえよ!」
「神官長!お待ち下さい!神官長!」
神官長の怒りに触れた神官シグルトは、結界の張られた結界牢へと繋がれた。
神の言葉は神官長により天使長エアリエルに伝えられた。エアリエルは、不具の者・片の翼を持つ者を神殿に集め、彼らの生命を神の御元に還す儀式を行うと決定した。
それを知った大天使ラファエルは、捕らえられた神官シグルトを牢から逃がした。そして、命令が発動する前にできるだけ多くの不具の者・その家族、ラファエルやシグルトに同意する者達を引き連れて、天界の北の荒れ地の一部でもある樹海に行くように命じた。
樹海にさえ入れば、妖精王の庇護が受けられるためだった。
天使長エアリエルは、ラファエルとシグルトを神への謀反を企てたとし、ふたりに従い樹海に向かう者は皆、処刑せよと追手を差し向けた。
大天使ラファエルは、北の樹海に向かった者達を守るため、追手となった天使長エアリエルの戦闘部隊とひとりで戦い、命を落とした。
大天使ラファエル━━━
名を、ジェス・クライスト・ラファエルと言う。
人間から大天使ラファエルとなった、最初の者であった。
──あなたがたはあなたがたの創りたい世界を創りなさい
愛をもって世界を創りなさい
わたしは常にあなたがたの創る世界の神となるであろう──
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