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2. 女の正体、私の正体
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「・・・隣のクラスだったんだから知ってるでしょ?」
私は無視を貫く。
「でもあたしは悪くないわよ?死んだのは彼女の勝手だもん」
ああ、お前が苛めぬいて自殺した女子がいたんだよな。
「だってさあ、頼めばなんでも引き受けてくれるんだもん。召し使いにちょうどいいじゃない?彼女だって楽しそうだったわよ?そりゃあ言うこときかないって時は叩いたりもしたけどさ、でも叩いて鼻血出しても泣きながらニコニコしてたしさ。それにさあ、あたしだけじゃなかったじゃん?彼女を召し使いがわりにしてたのって。知ってるでしょ?あれはクラス全員のせいよね?・・・ねぇ、あたしのこと、みんな何て言ってた?」
知らねぇよ。
しかし、クラスでそんなことしてたのか。
ガタンッ!!
大きな音がして、私は顔を上げた。ページがなかなか進まん。
「やっぱり本当だったのか!!」
見知らぬ男が目の前の女の腕をつかんで言った。
誰だよお前。びっくりした。
「あ、あなた・・・」
目の前の女が呟いた。
『あなた』?━━果たしてそれは、
『You』なのか『My darling』なのか
いきなり男が現れたと思ったら、男の後ろから次々と人が現れた。
何事???
「ほ、本当って、な、何が?」
女は見るからに焦っている。
「君の苛めのせいで女生徒が自殺したって話だ!」
「し、知らないわ、そんなの・・、そんな話デタラメよ!」
「君が自分で言ったんじゃないか!召し使いにしてたって!言うこときかないときは叩いてたって!」
「あたしだけじゃないわ!あれはクラス全員がしてたことよ!!自殺だって彼女が勝手にしただけよ!なんであたしばっかり責めるのよ!!」
「死にたくなるほど苛めたんだろう!!」
怒鳴りあう男女。
その後ろでも怒鳴りあう、1、2、3、4、合計4人の男女。
話の内容からすると双方の親か。
すすり泣いて謝ってるのは女の親だな。
「だ、だいたいどうしてあなたやあたしのお母さんやお父さんまでいるの!!」
男は神妙な面持ちで言葉を発した。
「・・・君が・・、君がここで話をしていると同僚から電話があって・・・」
「は・・?何よ!それって密告じゃない!!プライバシーの侵害よ!訴えてやるわ!!」
「同僚は君を心配して連絡をくれたんだ!!」
「人の行動を告げ口するのが心配ですって!?ふざけんじゃないわよ!!」
「心配もするだろう!!君が一人で空席に向かって延々と話していたら誰だって心配するさ!!」
「・・・く、・・空席・・?」
女は私を見た。
私も女を見た。
イエーイ☆ピースしてやれーVVV
ヒョッホッホッー☆☆☆
「な、何言ってるのよ・・、いるじゃない!ここに座ってるじゃない!!このひとは隣のクラスにいた人よ!1年と、2年になってからも隣のクラスだったのよ!」
女は私を指差す。
「どこにいるって言うんだ!?誰もいないよ!・・誰もいないよ・・最初から・・・・」
「そんな・・、そんな・・」
そう。この席には誰もいない。
私はすでに死んでるからね。
高2になって、ゴールデンウィーク直前に入院して、学校のことは見舞いに来た友人達から大雑把にしか聞いていない。
私は半年間入院したが、治療のかいなく他界。
したいことがたくさんあった。未練たらたらの思いが強すぎたせいか、なかなか成仏できないでいる。
たまーにこの女みたいに私を視る人間がいる。この店のご主人もその類いの人だ。
ご主人は私をかわいそうに思ってくれたのか、私の好きだったコーヒーと、読みたかった本をこの席においてくれるようになった。
三島由紀夫、まだ全部読んでなかったんだよね。
「僕の悪口だけなら別にいいと思ったけど・・・、君が・・苛めていた子のことをあんな風に話しているなんて・・・・」
「だ、だからそれはあたしだけじゃ・・・!」
「君が中心で一番酷く苛めてたんだろ!・・全部ご両親に聞いたよ。事件になって居られなくなって、だから一度遠くに引っ越して・・。君と僕の結婚を機に、君のご両親だけこっちに戻ってきたって・・。どおりで僕がこっちに転勤になるって話にあんなに驚いたはずだ・・・」
「だから・・、だから・・あたしだけじゃなくて・・・だいいち、そんな昔のこと・・!!」
「昔?たった五年前の話だろう?・・僕から見れば、君はただの人殺しだよ」
女は無言になった。
「・・・隣のクラスだったんだから知ってるでしょ?」
私は無視を貫く。
「でもあたしは悪くないわよ?死んだのは彼女の勝手だもん」
ああ、お前が苛めぬいて自殺した女子がいたんだよな。
「だってさあ、頼めばなんでも引き受けてくれるんだもん。召し使いにちょうどいいじゃない?彼女だって楽しそうだったわよ?そりゃあ言うこときかないって時は叩いたりもしたけどさ、でも叩いて鼻血出しても泣きながらニコニコしてたしさ。それにさあ、あたしだけじゃなかったじゃん?彼女を召し使いがわりにしてたのって。知ってるでしょ?あれはクラス全員のせいよね?・・・ねぇ、あたしのこと、みんな何て言ってた?」
知らねぇよ。
しかし、クラスでそんなことしてたのか。
ガタンッ!!
大きな音がして、私は顔を上げた。ページがなかなか進まん。
「やっぱり本当だったのか!!」
見知らぬ男が目の前の女の腕をつかんで言った。
誰だよお前。びっくりした。
「あ、あなた・・・」
目の前の女が呟いた。
『あなた』?━━果たしてそれは、
『You』なのか『My darling』なのか
いきなり男が現れたと思ったら、男の後ろから次々と人が現れた。
何事???
「ほ、本当って、な、何が?」
女は見るからに焦っている。
「君の苛めのせいで女生徒が自殺したって話だ!」
「し、知らないわ、そんなの・・、そんな話デタラメよ!」
「君が自分で言ったんじゃないか!召し使いにしてたって!言うこときかないときは叩いてたって!」
「あたしだけじゃないわ!あれはクラス全員がしてたことよ!!自殺だって彼女が勝手にしただけよ!なんであたしばっかり責めるのよ!!」
「死にたくなるほど苛めたんだろう!!」
怒鳴りあう男女。
その後ろでも怒鳴りあう、1、2、3、4、合計4人の男女。
話の内容からすると双方の親か。
すすり泣いて謝ってるのは女の親だな。
「だ、だいたいどうしてあなたやあたしのお母さんやお父さんまでいるの!!」
男は神妙な面持ちで言葉を発した。
「・・・君が・・、君がここで話をしていると同僚から電話があって・・・」
「は・・?何よ!それって密告じゃない!!プライバシーの侵害よ!訴えてやるわ!!」
「同僚は君を心配して連絡をくれたんだ!!」
「人の行動を告げ口するのが心配ですって!?ふざけんじゃないわよ!!」
「心配もするだろう!!君が一人で空席に向かって延々と話していたら誰だって心配するさ!!」
「・・・く、・・空席・・?」
女は私を見た。
私も女を見た。
イエーイ☆ピースしてやれーVVV
ヒョッホッホッー☆☆☆
「な、何言ってるのよ・・、いるじゃない!ここに座ってるじゃない!!このひとは隣のクラスにいた人よ!1年と、2年になってからも隣のクラスだったのよ!」
女は私を指差す。
「どこにいるって言うんだ!?誰もいないよ!・・誰もいないよ・・最初から・・・・」
「そんな・・、そんな・・」
そう。この席には誰もいない。
私はすでに死んでるからね。
高2になって、ゴールデンウィーク直前に入院して、学校のことは見舞いに来た友人達から大雑把にしか聞いていない。
私は半年間入院したが、治療のかいなく他界。
したいことがたくさんあった。未練たらたらの思いが強すぎたせいか、なかなか成仏できないでいる。
たまーにこの女みたいに私を視る人間がいる。この店のご主人もその類いの人だ。
ご主人は私をかわいそうに思ってくれたのか、私の好きだったコーヒーと、読みたかった本をこの席においてくれるようになった。
三島由紀夫、まだ全部読んでなかったんだよね。
「僕の悪口だけなら別にいいと思ったけど・・・、君が・・苛めていた子のことをあんな風に話しているなんて・・・・」
「だ、だからそれはあたしだけじゃ・・・!」
「君が中心で一番酷く苛めてたんだろ!・・全部ご両親に聞いたよ。事件になって居られなくなって、だから一度遠くに引っ越して・・。君と僕の結婚を機に、君のご両親だけこっちに戻ってきたって・・。どおりで僕がこっちに転勤になるって話にあんなに驚いたはずだ・・・」
「だから・・、だから・・あたしだけじゃなくて・・・だいいち、そんな昔のこと・・!!」
「昔?たった五年前の話だろう?・・僕から見れば、君はただの人殺しだよ」
女は無言になった。
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