王子さまは二人いる

鳴澤うた

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買い物は楽しい……かな?

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 それからわたしたちは、アリナ姉さんの提案で買い物に行くことに。
「でも、わたし学校……」
 と、呟いたけれど、今から行っても遅刻だ。

「パパが学校に連絡して『卒業式までお休みします』って話をしたって言ってたわよ。だから莉緒は、卒業式まで学校に行かなくても大丈夫よ」
「そうなのかな……。中学で通う学校も、受験とかなにもしてないのに入学できるなんて」
 
 そこが不思議だ。
 私立リアラ翠ヶ丘学園中等部。略して『リア翠(すい)』
 少人数制で一クラス十五~二十人で、一学年三クラスほどしかないんだって。
 
 幼稚園から高校までで、白い洋館みたいな校舎が人気で幼稚園から入れたい! という親御さんが多いらしい。
 ただし、受験は中学までで高校からは受け付けてないということ。
 けっこう偏差値が高そうなんだけれど……。

「今までの成績表を提出して、理事長と話し合った上で合格もらったから、いいんだろう」
 
 シオンくんがサラリと言う。
 なんか、そこによく耳にする『大人の事情』が絡んでいる気がするけれど。

「まあ、莉緒は今より勉強、頑張らなきゃ大変そうだぞ。この学校、英会話必須だから」
「ええ!」
 ビビるわたし。

「英語で話す授業があるみたいよ」
「ええ!? 英語で?」
 英会話、無理! 授業でもあったけれど、中学校のほうが本格的そうだよ!
 
 真っ青になったわたしを見て、レフくんはシオンくんに助言。

「シオン、たまに英語で莉緒と話しなよ。少しは慣れるだろうし」
「そうしたほうがよさそうだな」
 シオンくんも同意した。

「わたし……聞き取れるかな」
「耳が慣れていく。最初はゆっくり話すし、訳もするから安心しろ」
「よろしくお願いします!」

「ようし! これから買い物しながらたまに英語で話しちゃうぞ!」
「ぇえ!」
 アリナ姉さんの提案に驚くわたし。

「よし、そうするか」
「レッツ・トライ!」
 シオンくんとレフくんも賛成して、ますます驚くわたし。

「Let's hit the go!」

「きゃー!」
「あはははは、莉緒、可愛い! キュートよ!」
 
 わたしの恐怖が混じった雄たけびに笑うアリナ姉さん。



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