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鶴川花美と云う女
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「一緒に帰らない?」彼女の一言に僕は顔を一気に赤くさせた。
「いいよ。」僕の曖昧な返事は彼女を困惑させてしまった。
「どっちの意味?」Yes か No、どちらかと聞いているのだろう。
「一緒に帰ってもいいよ。」
「じゃあ、準備。早く。」
弱ったぁ。女の人と一緒に帰るなんて。しかも、二人きり!こんなこと、僕の歴史上初めての出来事だ。経験の無いことに対する策は無い。この山をどう登りきるか…。僕の腕に懸かっている。
僕の教室は二階の階段横にある。準備が整うと鶴川さんを呼んだ。
「鶴川さん、準備できたよ。」しかし、返事はない。確か最後に話した後に教室の外に行ってたような…。僕は確認のため教室の外へ向かった。ドアを開け、廊下を右左と首を振りながら確認したが見当たらなかった。
まさか、鶴川さんに嵌められた!!この現実は到底受け入れられない。そもそも、鶴川さんと言う人間はこんな人間ではないはずだからだ。
鶴川さんは簡単に言うと、モテ女だ。優しく、穏やかな性格で勉強も出来、運動も二重丸。さらには、美しさも兼ね備えている。その高スペックJK鶴川は、入学からの4ヶ月の間で既に二桁の男子から思いを伝えられたと言われている、まさにモテモテモテ女なのだ。
ひゃ~、自分で言って恥ずかしくなるなぁ。なんてなる訳が無い。どこだ、鶴川さ~ん。僕はそう心の中で叫びながら、ふと教室の方を振り返った。
「あっ!」僕は驚いた。教室に鶴川さんがいたのだ。自分の席に座ってこちらを見る鶴川さん。僕は少し恥ずかしくなった。見つめられているのもそうなのだが、何より鶴川さんを呼んだ後教室を見渡していなかったからだ。うっかり篠栗くん。あぁ、気持ち悪い。
「篠栗くん、準備できたね。」鶴川さんはそう言うと立ち上がり、教室を出た。僕も慌てて追って教室を後にした。
下駄箱にて。
「私たちあんまり喋らないよね。」鶴川さんは靴を履きながら言った。
「確かにそうだね。」僕も思っていたことだ。
「折角だからさ、仲良くならない?」鶴川さんはこちらを見ているようだ。
僕はその方を見ず、ただ自分の靴を見て言った。
「折角だしね。」この時の僕の心情をどう表そう。いや、表しきれないと言う言葉でしか表せない。そんな心情である。ただ、嬉しいと言う単純な感情だけは表せると言いたい。
下駄箱を離れ、正門に近付いてきた。
「夏って、暑いね。」鶴川さんは何と当たり前の事を尋ねてくるのか…。僕は「そうだね。」と答えた。
正門を通りすぎる。
「今、何度くらいかな?」信じられないほどつまらない。この人が鶴川さんじゃなければ走って帰っていたところだ。僕は「学校の温度計は32℃ってなってた。」と答える。
「へぇ、よく見てたね!」目を丸めてそう言う鶴川さん。自分の観察眼を少し誇らしく思った。
「たまたまだよ。」僕は謙遜した。その時に、ちらっと鶴川さんの顔を見た。とても赤かった。少し心配になって、「水飲んでる?」と聞いた。
「うん。」と答える。同時に半分ほどしか残ってないペットボトルを見せた。確かに、下駄箱でも見たがこれより残っていた。ここでまた、例の観察眼を発揮した。
「どうして?」と鶴川さんは聞いてきた。
僕は「顔が赤かったから。」と少し躊躇ったが答えた。いつもは色白で有名な鶴川さんが、顔を赤くしていたのである。頭の中のイメージでは「よく見てるのね!」と今から誉めてくれるはずだ。
しかし、その返事を聞いた鶴川さんは少し挙動がおかしくなり、黙りこんだ。
「なんだそれ?」心の中で叫んだ。期待外れのその結果は僕をうんざりさせた。
学校は山の上にある。下に着くまでに一時間はかかるので、この時期には暑さも相まってかなり過酷な行程だ。
僕はただ鶴川さんが心配だ。彼女にしたい人ランキング一位の人である。もし何かあったら…。考えるだけで、チビりそうだ。
それにしても、あれから鶴川さんの口数が減った。それと同時に、話もさらにつまらなくなった。改めて言おう。あなたが鶴川さんじゃなかったら、走って帰っています!
「ねぇ、あそこ寄らない?疲れた。」彼女が久々にまともなことを言った。指差していたのは道路脇の喫茶店。
「いいよ。僕も疲れた。」などと言って、喫茶店へ入った。
店内は珈琲の臭いが漂い、少し大人な様子を見せていた。僕たちは店の一番奥、窓側のテーブル席に腰を下ろした。
「鶴川さん、奢るよ。」僕は態とそう言った。財布の中に万札が7枚入っていたからだ。お金に余裕がある。ここで、いいところ見せたいものだ。
「いや、いいよ、篠栗くん。自分で払う!」まあ、まずはこんな会話だよな。
「いや、ホントに俺払うよ。」ここで、一押し。
「いや、ホントに良いから。」おや?
「いやいやいや、払いたいから。」何言ってるんだ、僕。
「本当に大丈夫。篠栗くんに迷惑かけたくない。」うん、僕が折れよう。
「そう、ごめんね。」何で謝ってんだろ。
「私もごめんね、篠栗くんの顔持たせなくて。」分かってたのかよ。この人があの鶴川さんなのか?少し疑問に思った。
「いいよ。」僕の曖昧な返事は彼女を困惑させてしまった。
「どっちの意味?」Yes か No、どちらかと聞いているのだろう。
「一緒に帰ってもいいよ。」
「じゃあ、準備。早く。」
弱ったぁ。女の人と一緒に帰るなんて。しかも、二人きり!こんなこと、僕の歴史上初めての出来事だ。経験の無いことに対する策は無い。この山をどう登りきるか…。僕の腕に懸かっている。
僕の教室は二階の階段横にある。準備が整うと鶴川さんを呼んだ。
「鶴川さん、準備できたよ。」しかし、返事はない。確か最後に話した後に教室の外に行ってたような…。僕は確認のため教室の外へ向かった。ドアを開け、廊下を右左と首を振りながら確認したが見当たらなかった。
まさか、鶴川さんに嵌められた!!この現実は到底受け入れられない。そもそも、鶴川さんと言う人間はこんな人間ではないはずだからだ。
鶴川さんは簡単に言うと、モテ女だ。優しく、穏やかな性格で勉強も出来、運動も二重丸。さらには、美しさも兼ね備えている。その高スペックJK鶴川は、入学からの4ヶ月の間で既に二桁の男子から思いを伝えられたと言われている、まさにモテモテモテ女なのだ。
ひゃ~、自分で言って恥ずかしくなるなぁ。なんてなる訳が無い。どこだ、鶴川さ~ん。僕はそう心の中で叫びながら、ふと教室の方を振り返った。
「あっ!」僕は驚いた。教室に鶴川さんがいたのだ。自分の席に座ってこちらを見る鶴川さん。僕は少し恥ずかしくなった。見つめられているのもそうなのだが、何より鶴川さんを呼んだ後教室を見渡していなかったからだ。うっかり篠栗くん。あぁ、気持ち悪い。
「篠栗くん、準備できたね。」鶴川さんはそう言うと立ち上がり、教室を出た。僕も慌てて追って教室を後にした。
下駄箱にて。
「私たちあんまり喋らないよね。」鶴川さんは靴を履きながら言った。
「確かにそうだね。」僕も思っていたことだ。
「折角だからさ、仲良くならない?」鶴川さんはこちらを見ているようだ。
僕はその方を見ず、ただ自分の靴を見て言った。
「折角だしね。」この時の僕の心情をどう表そう。いや、表しきれないと言う言葉でしか表せない。そんな心情である。ただ、嬉しいと言う単純な感情だけは表せると言いたい。
下駄箱を離れ、正門に近付いてきた。
「夏って、暑いね。」鶴川さんは何と当たり前の事を尋ねてくるのか…。僕は「そうだね。」と答えた。
正門を通りすぎる。
「今、何度くらいかな?」信じられないほどつまらない。この人が鶴川さんじゃなければ走って帰っていたところだ。僕は「学校の温度計は32℃ってなってた。」と答える。
「へぇ、よく見てたね!」目を丸めてそう言う鶴川さん。自分の観察眼を少し誇らしく思った。
「たまたまだよ。」僕は謙遜した。その時に、ちらっと鶴川さんの顔を見た。とても赤かった。少し心配になって、「水飲んでる?」と聞いた。
「うん。」と答える。同時に半分ほどしか残ってないペットボトルを見せた。確かに、下駄箱でも見たがこれより残っていた。ここでまた、例の観察眼を発揮した。
「どうして?」と鶴川さんは聞いてきた。
僕は「顔が赤かったから。」と少し躊躇ったが答えた。いつもは色白で有名な鶴川さんが、顔を赤くしていたのである。頭の中のイメージでは「よく見てるのね!」と今から誉めてくれるはずだ。
しかし、その返事を聞いた鶴川さんは少し挙動がおかしくなり、黙りこんだ。
「なんだそれ?」心の中で叫んだ。期待外れのその結果は僕をうんざりさせた。
学校は山の上にある。下に着くまでに一時間はかかるので、この時期には暑さも相まってかなり過酷な行程だ。
僕はただ鶴川さんが心配だ。彼女にしたい人ランキング一位の人である。もし何かあったら…。考えるだけで、チビりそうだ。
それにしても、あれから鶴川さんの口数が減った。それと同時に、話もさらにつまらなくなった。改めて言おう。あなたが鶴川さんじゃなかったら、走って帰っています!
「ねぇ、あそこ寄らない?疲れた。」彼女が久々にまともなことを言った。指差していたのは道路脇の喫茶店。
「いいよ。僕も疲れた。」などと言って、喫茶店へ入った。
店内は珈琲の臭いが漂い、少し大人な様子を見せていた。僕たちは店の一番奥、窓側のテーブル席に腰を下ろした。
「鶴川さん、奢るよ。」僕は態とそう言った。財布の中に万札が7枚入っていたからだ。お金に余裕がある。ここで、いいところ見せたいものだ。
「いや、いいよ、篠栗くん。自分で払う!」まあ、まずはこんな会話だよな。
「いや、ホントに俺払うよ。」ここで、一押し。
「いや、ホントに良いから。」おや?
「いやいやいや、払いたいから。」何言ってるんだ、僕。
「本当に大丈夫。篠栗くんに迷惑かけたくない。」うん、僕が折れよう。
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