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“スープ花”
しおりを挟む更に洞窟の奥に進んでいくと、道が二つに分かれている。
その片方に進んでいくと、坂道になっていてやがて……おいしそうなにおいのする地底湖にやってくる。
透明だけれどほんのり、コンソメのような香りがする。
その地底湖の天井をはうように、花が咲いていて、それが時折湖の中に落ちて、溶けていく。
と、その花を指さしながら、
「“スープ花”です。あれを水に入れるだけで、冷たいスープになります。色の違いで違う味のスープになるのです」
そういって、再びどこからともなくカップを取り出して、地底湖の水を汲み、僕に好きな色の花をとるよう言う。
すぐそばの壁にまで這って花を咲かせていたので、緑色の花を一つとって入れて飲んでみる。
「濃厚なほうれん草とジャガイモのポタージュのような味がして美味しいです」
「スープとして美味しい、なるほど。そのうち乾燥させたものもご馳走しますね。そちらの方も感想が聞きたい」
そう、マリーは言ったのだった。
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