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第2章 さて、こうして町に僕は向かい、彼女達と出会う

72、侮られた気がします

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 現れたのはエリザだった。
 いつものように笑顔で僕達にそう声をかけてくるがそこで、僕達に子供が依頼を受けるのか? と聞いてきた男性に、

「クロウ、この子たちがどうかしたのか?」
「子供だけで依頼を受けるつもりらしい。知り合いか? エリザ」
「いや、以前はなした神殿の子達だ。強い力を持っているが……無茶をする」
「なるほど。今も子供たちだけで依頼を受けようとしていたので、俺は止めようとしていた所だ」
「それは良い事だ」

 エリザがこのお兄さん、クロウに同意する。
 しかしそれにサナとカレンが目に見えて機嫌が悪くなり、

「でもエリザがあっていたフィスは、私達と同じ年くらいなのに“魔物使い”に関することに関わらせてもらえている」
「不公平です。私達だって強いのに」

 サナとカレンが口々にエリザに言いつける。
 僕はというと左右でいろいろ言っている二人に対して何かを口出しできるような状態でないので、黙っていた。
 そこでエリザがため息をついて、

「フィスはああ見えて私の一つ下の年だ」
「「!?」」

 サナとカレンは驚いたようだった。
 僕も当然だけれど、驚いた。
 何処からどう見ても同い年にしか見えなかったので、意外な話だった。

 “森の眠り人(エルフ)”はそういった生き物なのかもしれない。
 そう思っていると今度は、サナは、

「ミミだって私と同じです!」
「ああ、あの獣人の子か。だが彼女には役目があるわけで」
「でも、私たちの力が侮られた気がします」

 そう言い返すサナにエリザは困ったような顔になる。
 そして僕もサナやカレンが引かなそうなので、

「あの、依頼を受けるのにエリザ達を雇いたいのですがよろしいでしょうか」

 そう話を切り出したのだった。
 
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