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臨時放送、明日の犠牲者
第一話:猿夢にて現象は開始された
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がったんごっとんと揺れる電車の中で、月のように輝く銀髪を揺らして少女が立ち上がる。彼女は俺の想い人である、月華咲先輩だ。
周りには誰もおらず、向かい合わせに座っている俺たちだけのはずだが、月華先輩はまるで俺のことが見えていないかのように虚空を見つめている。
「次は終点の卒業、卒業です。お忘れ物はないようにお願いします。くれぐれも
ね?」
どこか軽妙な語り口のアナウンスが車内に響き渡る。
月華先輩はそのアナウンスに反応したように、扉に向かって歩き出した。
「月華先輩」
俺は声をかけたが月華先輩は振り返る様子がなく、扉の前で立ち止まった。
「日向くん、君は一体何に乗っているんだい? このままでは2月の駅に行ってしまうよ「何を言っているんですか?」
「お猿さんに殺されたくないだろう? まあ、そういう話だ」
月華先輩はほうとため息をつくと、目を閉じた。
「君はまだ2年生だ。終点には辿り着けないよ」
彼女は一体、何を言っているのだろうか。いまいち会話がかみ合っていないような気がする。
「先輩は何を言いたいんですか?」
「活けづくりになりたいのかい? それともひき肉かい? えぐり出しもいいね」
月華先輩がそう言うと、どこからか現れたのか、数匹の猿の人形が電車の中を歩き回っていた。
「あーあ、もう卒業だ。君はいつも判断が遅いんだ。いや、遅いのは告白をするのだけかな?」
月華先輩がため息をつくと、突如として視界が真っ暗になった。目を開けると、飽きるほどに何度も見た光景が広がっていた。俺の部屋の天井だ。ぐしょっりと汗で濡れた枕と、背中に張り付いたパジャマが鬱陶しい。
どうやら、先ほど見たのは夢だったらしい。
「今日から2年生だっていうのに、あんな悪夢を見るか?」
俺は上半身を起こすと、苦笑した。
「猿の夢か。確か先輩が好きなお話だったよな?」
そんなことを呟きながら、俺は不快な汗を流すべく、浴室へと向かった。
周りには誰もおらず、向かい合わせに座っている俺たちだけのはずだが、月華先輩はまるで俺のことが見えていないかのように虚空を見つめている。
「次は終点の卒業、卒業です。お忘れ物はないようにお願いします。くれぐれも
ね?」
どこか軽妙な語り口のアナウンスが車内に響き渡る。
月華先輩はそのアナウンスに反応したように、扉に向かって歩き出した。
「月華先輩」
俺は声をかけたが月華先輩は振り返る様子がなく、扉の前で立ち止まった。
「日向くん、君は一体何に乗っているんだい? このままでは2月の駅に行ってしまうよ「何を言っているんですか?」
「お猿さんに殺されたくないだろう? まあ、そういう話だ」
月華先輩はほうとため息をつくと、目を閉じた。
「君はまだ2年生だ。終点には辿り着けないよ」
彼女は一体、何を言っているのだろうか。いまいち会話がかみ合っていないような気がする。
「先輩は何を言いたいんですか?」
「活けづくりになりたいのかい? それともひき肉かい? えぐり出しもいいね」
月華先輩がそう言うと、どこからか現れたのか、数匹の猿の人形が電車の中を歩き回っていた。
「あーあ、もう卒業だ。君はいつも判断が遅いんだ。いや、遅いのは告白をするのだけかな?」
月華先輩がため息をつくと、突如として視界が真っ暗になった。目を開けると、飽きるほどに何度も見た光景が広がっていた。俺の部屋の天井だ。ぐしょっりと汗で濡れた枕と、背中に張り付いたパジャマが鬱陶しい。
どうやら、先ほど見たのは夢だったらしい。
「今日から2年生だっていうのに、あんな悪夢を見るか?」
俺は上半身を起こすと、苦笑した。
「猿の夢か。確か先輩が好きなお話だったよな?」
そんなことを呟きながら、俺は不快な汗を流すべく、浴室へと向かった。
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