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現代編
早すぎた結婚
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事情聴取の為、連行された俺は強面の刑事さんに、理不尽な取調べを受けていた。
女湯を覗こうとしていただろとか、それならなぜ、あんな所に挟まってたんだとか、やましい事があったから逃げようとしたんだろとか、公務執行妨害で逮捕しても良いんだぞとか全く意味のわからない、理不尽な質問責めを受けたが俺は、黙秘を貫いた。
まるで俺が犯人だと決めつけ、自白させようとしてるように思えた。
ただ、女湯がある壁に挟まっていた。
ただそれだけの善良なる一般市民をなんだと思っているんだ。
下手な言い訳をすれば、足元をすくわれる事を知っている。
俺の母親も同じことを俺にしてきたからわかる。
強者は、自分が間違っていても自分を正そうとしないで相手を無理やり納得させようとする。
俺が小学生の頃、夜中に起こされ祖母にお金を借りてこいと言われた事が多々あった。
徒歩10分程の場所に住んでいた祖母の家は、小学生の俺からしたらかなり遠く、夜道が怖かったからいつも、嫌がった。
俺が嫌がると決まって母親は、こう言う。
「お前は、私を苦しめる為に産まれて来たのか! どうして私があんたを育てないといけないだ! 早く行って来なさい!」
黙ってその場をやり過ごす事が一番だと、この時、学習したのだ。
故にこの様な場面は、黙って相手が諦めるのを待つのが得策である。
我々には、「黙秘権」なる特権があるからだ。
その作戦が功を奏し、何とか厳重注意だけで終わり自由の身になった。
次は、捕まえるからなとか良くわからない事を言われたが、無視して警察署を出る。
「勝手に連れて来たくせに、家まで送らないで帰すとか常識がなさすぎだろ!」
そう呟く俺の目の前には、あの女性がいた。
「どうして、ここに……?」
「警察官に連行されるのを見て心配になって待っていました。」
何て優しい人なんだ。誰ともわからない俺なんかの為に……。
まさか、俺の事が……。
そんな事を考える俺は、いてもたっていられず期待に胸を膨らませ、思わず聞いてしまった。
「どうして、俺なんかの為に……?」
「……カサ。」
「へ?」
「え?」
ですよね。そんなに甘くないですよね。散々、俺に厳しい人生を与え続けたこの世界がこんな美女と奇跡を準備してくれる訳ない。
夢が壊れる音と共に頭が真っ白になった俺は、またもや無意識に心の声を漏らしてしまった。
「結婚して下さい。」
「はい。よろこんで。」
こうして俺は、めでたく名前も知らない女性と童貞のまま結婚する事になった。
神は、俺を見捨てていなかった。
俺は、童貞を捨てていなかった。
彼女は、傘を返して欲しかった。
少し早かったかも知れないが、過ぎたことを気にしても仕方がない、愛が何なのか知らないが結婚した俺は、勝ち組だ。
女湯を覗こうとしていただろとか、それならなぜ、あんな所に挟まってたんだとか、やましい事があったから逃げようとしたんだろとか、公務執行妨害で逮捕しても良いんだぞとか全く意味のわからない、理不尽な質問責めを受けたが俺は、黙秘を貫いた。
まるで俺が犯人だと決めつけ、自白させようとしてるように思えた。
ただ、女湯がある壁に挟まっていた。
ただそれだけの善良なる一般市民をなんだと思っているんだ。
下手な言い訳をすれば、足元をすくわれる事を知っている。
俺の母親も同じことを俺にしてきたからわかる。
強者は、自分が間違っていても自分を正そうとしないで相手を無理やり納得させようとする。
俺が小学生の頃、夜中に起こされ祖母にお金を借りてこいと言われた事が多々あった。
徒歩10分程の場所に住んでいた祖母の家は、小学生の俺からしたらかなり遠く、夜道が怖かったからいつも、嫌がった。
俺が嫌がると決まって母親は、こう言う。
「お前は、私を苦しめる為に産まれて来たのか! どうして私があんたを育てないといけないだ! 早く行って来なさい!」
黙ってその場をやり過ごす事が一番だと、この時、学習したのだ。
故にこの様な場面は、黙って相手が諦めるのを待つのが得策である。
我々には、「黙秘権」なる特権があるからだ。
その作戦が功を奏し、何とか厳重注意だけで終わり自由の身になった。
次は、捕まえるからなとか良くわからない事を言われたが、無視して警察署を出る。
「勝手に連れて来たくせに、家まで送らないで帰すとか常識がなさすぎだろ!」
そう呟く俺の目の前には、あの女性がいた。
「どうして、ここに……?」
「警察官に連行されるのを見て心配になって待っていました。」
何て優しい人なんだ。誰ともわからない俺なんかの為に……。
まさか、俺の事が……。
そんな事を考える俺は、いてもたっていられず期待に胸を膨らませ、思わず聞いてしまった。
「どうして、俺なんかの為に……?」
「……カサ。」
「へ?」
「え?」
ですよね。そんなに甘くないですよね。散々、俺に厳しい人生を与え続けたこの世界がこんな美女と奇跡を準備してくれる訳ない。
夢が壊れる音と共に頭が真っ白になった俺は、またもや無意識に心の声を漏らしてしまった。
「結婚して下さい。」
「はい。よろこんで。」
こうして俺は、めでたく名前も知らない女性と童貞のまま結婚する事になった。
神は、俺を見捨てていなかった。
俺は、童貞を捨てていなかった。
彼女は、傘を返して欲しかった。
少し早かったかも知れないが、過ぎたことを気にしても仕方がない、愛が何なのか知らないが結婚した俺は、勝ち組だ。
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