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第3話
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記憶を失った瞬間に駆け巡る走馬灯。
いや、これを走馬灯と呼んでもいいのかは分からないが。
ともかく、俺の頭の中を今まで経験してきた過去がグルングルンと駆け巡ったのは確かだ。
子供の頃、友人たちと大きなよく分からない木の下の祠の周りをグルグルと回って遊んだこと。
捕まえられもしない、川の魚を日が暮れるまで夢中に追い続けたこと。
そして小学二年生の頃に突然姿を消してしまったとある友人のこと。
様々なことを思い出していた。
あの女神たちの話が本当ならば、別に死ぬわけではないのだろう。ただ、あの地球という星のあった世界とはさよならするというわけだ。
いや、もしかしたら向こうの世界でも俺の暮らす星は地球かもしれない。
と、そんなどうでもいいことを考えているうちに段々と視界が明るくなっていく。
「・・せい・・・・だ・・・」
「・・・・・・さ・・・お・・・な・・」
なにか聞こえてくる。多分、これは異世界の人々の声だろう。だが、俺の五感はぼやけきっている。
ぼやけるということがほぼない触覚ですら、ぼやけきっており自分が今どこを背にして寝ているのかすら分からない。
「・・・さまっ! ・・・・・・・さまっ!」
おっ、聴覚が何となく目覚めてきたな。
それに・・・
うん、わかる。今俺が何やらごっつごつした硬い地面に寝かされているというのはものすんごいわかる。おぉ、痛み始めた。これは良くない事態だ。動けるようになるのには多分まだまだ時間がかかるのに。
そして嗅覚も働き出し、周りでは薪を燃やして火を炊いてることもわかる。さらに僅かな汗臭さ。多分叫んでるのも男の声だろう。
そして次に視覚。
おうおう。やっぱり俺を読んでいたのはおっさんだったか。いや、まぁ、頭がすっぽりはまるようなヘルム付けてるからほんとにおっさんなのかは分からないが、こんだけでかかったらおっさんだよね?
「おおっ! 転生者様っ! お目覚めになりましたかっ! ご自分の足であるけますかな!?」
おお、やっぱりおっさんだった。
んー、声出せるかな? いけるよな?
「あー、あー、」
声は出るみたいだな。てか、なんか俺の声高くね? まっ、いっか。
「自力で歩くのはもうちょっとだけ待ってもらいたいですかね・・・あはは」
「おお、そうであるか。ならば我がおぶって行こうではないか! ぶははは! 転生者をおぶれるとは幸運この上ないな!」
ご、豪快な人だなぁ・・・ という印象はさておき、今の会話でわかったことがいくつかある。
まずは、この世界には転生者が頻繁ではないのかもしれないが、一定数存在するということである。
次に、転生者は予め好意的な印象を持って貰っているという事だ。
ならば、俺がいきなり問答無用で殺されるということは少ないだろう。よかった。転生してすぐに死ぬなんてこと、嫌だからな。
そんなことを考えながら、甲冑を纏ったおっさんに揺られること十数分。その間に色々な風景を見ることが出来た。
とは言っても見たものは山と川、そして畑ぐらいである。どうやらここはかなりの田舎であるようだ。まぁ、生前俺の過ごしていた場所も田舎だったからな。こっちの方が居心地はいい。
「さぁ、着いたであるぞ! ここが今日から転生者様が暮らす家である! この中のものなら好きに使ってもらってもよいし、足りないものがあれば言ってもらえれば補充するのである! 明日からは少ししてもらわなければならないことがあるが、今日はもう何もないのである! ゆっくりして欲しいのである!」
甲冑を纏った男が俺を背負って辿り着いたのは、一件の家。家族で住むには少し狭いが、1人で住むなら十分という広さだろう。
「あ、ありがとうございます。もう多分自分で歩けるので大丈夫です」
「おお、そうであるか! しっかり休むのであるぞ!」
俺が甲冑のおっさんの背中から降りると、おっさんはそう言い残して元きた道を走り去っていった。なんともパワフルな人である。
俺もこんな所で立ちすくんでないで、色々と確認をしよう。
まずはなにより住処の確認だ。
俺は家の中に入り、そこらじゅうを適当に片っ端から漁っていく。
ふむふむ、なるほど。食料もあるし、衣服もある。ある程度の質のベッドもあるし、ちゃんと生活はして行けるみたいだ。
ただ、食料はなんかよく分からない見た目のものばかりで怖かったりする。毒とかないよね? 怖いからちゃんとじっくり火を通してから食べることにしよう。
・・・あと、家の中漁ってて気づいたことがある。
俺、若返ってる。それも5歳ぐらいに。そんなの聞いてないんだけど? 大丈夫? 存在自体変化したとかない? いや、病弱さが変わってないのは家の中を漁るだけでスタミナ切れを起こす時点で分かってるんだけどさ。
まぁ、いいや。それはそれとして。次はステータスとかスキルとかの確認だ!
ふっふっふっ! 普通ならこういう所でみんなどうやって見るのか躓くのだろう・・・
しかし! 俺は知っている! なんか、何となく知っているのである!
『あっ、それは誰にでも分かるように転生する時、仕込んでおくルールなので皆さん知ってますよ!』
・・・えっ!? なんで黒い空間で聞こえた女神様の声が聞こえてくるんだっ!?
「あら? 言っていませんでしたか。加護を与えた人間には神の方から直接通信を行えるのですよ? 人間の方から申請することもできるのです。 覚えておいてくださいね。では」
ぷつり·····
あっ、、、はい、わかりました。
てか恥ずかしっ! いきっちゃった! ミスった!
まぁ、うん。そういうこともあるさ。うん。だって俺、いや僕、推定5歳児だもん。
いや、これを走馬灯と呼んでもいいのかは分からないが。
ともかく、俺の頭の中を今まで経験してきた過去がグルングルンと駆け巡ったのは確かだ。
子供の頃、友人たちと大きなよく分からない木の下の祠の周りをグルグルと回って遊んだこと。
捕まえられもしない、川の魚を日が暮れるまで夢中に追い続けたこと。
そして小学二年生の頃に突然姿を消してしまったとある友人のこと。
様々なことを思い出していた。
あの女神たちの話が本当ならば、別に死ぬわけではないのだろう。ただ、あの地球という星のあった世界とはさよならするというわけだ。
いや、もしかしたら向こうの世界でも俺の暮らす星は地球かもしれない。
と、そんなどうでもいいことを考えているうちに段々と視界が明るくなっていく。
「・・せい・・・・だ・・・」
「・・・・・・さ・・・お・・・な・・」
なにか聞こえてくる。多分、これは異世界の人々の声だろう。だが、俺の五感はぼやけきっている。
ぼやけるということがほぼない触覚ですら、ぼやけきっており自分が今どこを背にして寝ているのかすら分からない。
「・・・さまっ! ・・・・・・・さまっ!」
おっ、聴覚が何となく目覚めてきたな。
それに・・・
うん、わかる。今俺が何やらごっつごつした硬い地面に寝かされているというのはものすんごいわかる。おぉ、痛み始めた。これは良くない事態だ。動けるようになるのには多分まだまだ時間がかかるのに。
そして嗅覚も働き出し、周りでは薪を燃やして火を炊いてることもわかる。さらに僅かな汗臭さ。多分叫んでるのも男の声だろう。
そして次に視覚。
おうおう。やっぱり俺を読んでいたのはおっさんだったか。いや、まぁ、頭がすっぽりはまるようなヘルム付けてるからほんとにおっさんなのかは分からないが、こんだけでかかったらおっさんだよね?
「おおっ! 転生者様っ! お目覚めになりましたかっ! ご自分の足であるけますかな!?」
おお、やっぱりおっさんだった。
んー、声出せるかな? いけるよな?
「あー、あー、」
声は出るみたいだな。てか、なんか俺の声高くね? まっ、いっか。
「自力で歩くのはもうちょっとだけ待ってもらいたいですかね・・・あはは」
「おお、そうであるか。ならば我がおぶって行こうではないか! ぶははは! 転生者をおぶれるとは幸運この上ないな!」
ご、豪快な人だなぁ・・・ という印象はさておき、今の会話でわかったことがいくつかある。
まずは、この世界には転生者が頻繁ではないのかもしれないが、一定数存在するということである。
次に、転生者は予め好意的な印象を持って貰っているという事だ。
ならば、俺がいきなり問答無用で殺されるということは少ないだろう。よかった。転生してすぐに死ぬなんてこと、嫌だからな。
そんなことを考えながら、甲冑を纏ったおっさんに揺られること十数分。その間に色々な風景を見ることが出来た。
とは言っても見たものは山と川、そして畑ぐらいである。どうやらここはかなりの田舎であるようだ。まぁ、生前俺の過ごしていた場所も田舎だったからな。こっちの方が居心地はいい。
「さぁ、着いたであるぞ! ここが今日から転生者様が暮らす家である! この中のものなら好きに使ってもらってもよいし、足りないものがあれば言ってもらえれば補充するのである! 明日からは少ししてもらわなければならないことがあるが、今日はもう何もないのである! ゆっくりして欲しいのである!」
甲冑を纏った男が俺を背負って辿り着いたのは、一件の家。家族で住むには少し狭いが、1人で住むなら十分という広さだろう。
「あ、ありがとうございます。もう多分自分で歩けるので大丈夫です」
「おお、そうであるか! しっかり休むのであるぞ!」
俺が甲冑のおっさんの背中から降りると、おっさんはそう言い残して元きた道を走り去っていった。なんともパワフルな人である。
俺もこんな所で立ちすくんでないで、色々と確認をしよう。
まずはなにより住処の確認だ。
俺は家の中に入り、そこらじゅうを適当に片っ端から漁っていく。
ふむふむ、なるほど。食料もあるし、衣服もある。ある程度の質のベッドもあるし、ちゃんと生活はして行けるみたいだ。
ただ、食料はなんかよく分からない見た目のものばかりで怖かったりする。毒とかないよね? 怖いからちゃんとじっくり火を通してから食べることにしよう。
・・・あと、家の中漁ってて気づいたことがある。
俺、若返ってる。それも5歳ぐらいに。そんなの聞いてないんだけど? 大丈夫? 存在自体変化したとかない? いや、病弱さが変わってないのは家の中を漁るだけでスタミナ切れを起こす時点で分かってるんだけどさ。
まぁ、いいや。それはそれとして。次はステータスとかスキルとかの確認だ!
ふっふっふっ! 普通ならこういう所でみんなどうやって見るのか躓くのだろう・・・
しかし! 俺は知っている! なんか、何となく知っているのである!
『あっ、それは誰にでも分かるように転生する時、仕込んでおくルールなので皆さん知ってますよ!』
・・・えっ!? なんで黒い空間で聞こえた女神様の声が聞こえてくるんだっ!?
「あら? 言っていませんでしたか。加護を与えた人間には神の方から直接通信を行えるのですよ? 人間の方から申請することもできるのです。 覚えておいてくださいね。では」
ぷつり·····
あっ、、、はい、わかりました。
てか恥ずかしっ! いきっちゃった! ミスった!
まぁ、うん。そういうこともあるさ。うん。だって俺、いや僕、推定5歳児だもん。
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