捨てられた魔法道具師は天才だった。究極の道具で国を救いますよ?

みなわなみ

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第4章 その後

始まりの村で

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 王都での騒動を終え、数週間後、僕は久しぶりに北のあの村の入り口に立っていた。
王都での凱旋も、国王陛下との謁見も、まるで遠い夢のようだ。
今はただ、この慣れ親しんだ土の道と、遠くに見える村の明かりに、心が安らいでいくのを感じる。

「ただいま」

 そっと呟くと、風がその言葉を運んでいく。
村の中へ足を踏み入れると、すぐに活気に満ちた声が聞こえてきた。
以前よりもずっと、明るく、生き生きとした声だ。
魔物の脅威が去り、王都からの支援も始まったことで、村人たちの暮らしは確実に良い方向へと向かっている。

 僕を見つけた子供たちが、目を輝かせながら駆け寄ってきた。

「リヒト兄ちゃん、おかえりなさい!」

 彼らの無邪気な笑顔が、何よりも僕の心を温めてくれた。

 やがて、エレンとガンツも、僕の元へとやってきた。
エレンは以前にも増して、はつらつとした表情で、ガンツも少し若返って、口元にいつもの無骨な笑みを浮かべている。

「リヒト、おかえり! 待ってたぞ!」

 ガンツが僕の肩を力強く叩いた。

「リヒト、おかえりなさい! 皆、あなたが帰ってくるのを楽しみにしてたのよ!」

 エレンが優しい声で言った。
彼女の瞳は、僕がいなかった間も、ずっと僕を信じてくれていたことを物語っていた。

「ただいま、ガンツ、エレン。皆も、元気そうで良かった」

 僕がそう言うと、エレンは僕の手を引いた。

「リヒト。こっち!」
「なんだよ、急に!」

 案内されたのは、村の少し奥まった場所にあった、以前は物置として使われていた小屋だ。
しかし、そこはもう、ただの小屋ではなかった。真新しい木材が使われ、窓からは明るい光が差し込んでいる。
中に入ると、以前僕が使っていた簡素な道具が、綺麗に整頓されて置かれていた。

「これは……」
「陛下からの御命令で、リヒトのために、村に工房を作ることになったのよ。
皆で協力して、急ピッチで完成させました!」

 エレンが誇らしげに胸を張る。

「こんなに立派な……ありがとう、みんな」

 胸がいっぱいになった。
王都に作った研究施設は、確かに最新鋭だ。
だが、僕の原点であり、僕の心の拠り所は、間違いなくこの村にある。
そして、こうして村人たちが、僕のために「自由に魔道具を研究できる場所」を用意してくれたのだ。

「これで、リヒトもすぐに新しい魔道具を作れるな! 村の畑を耕す魔道具とか、どうだ?」

 ガンツが興奮した様子で言う。

「ああ、もちろん。もっと便利で、みんなが笑顔になれる魔道具を、たくさん作っていくよ!」

 僕は、新しくなった工房を見回した。
ここから、また新たな魔道具が生まれる。
そして、それがこの村を、そしてこの国を、もっと豊かにしていく。

 村人たちは、以前にも増して生き生きとしていた。
子供たちは工房の周りを走り回り、大人たちは将来への希望に満ちた目で、僕の工房を見つめている。
魔物の脅威が去り、彼らの心には、確かな光が灯っていた。
笑顔の彼らは、もう自分たちの未来を諦めていない。

僕の新しい居場所は、ここだ。
愛する村の仲間たちと共に、僕は最高の魔道具師として、ここで生きよう。
それが、僕の選んだ道なのだから。
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